その2「対決! 赤のバニー戦士VS蜘蛛女アラクネー」
初めて三ツ矢学園に足を踏み入れた主人公・宗春を襲う謎の怪異!
そんな宗春を救うために颯爽と現れたのは赤いバニーガールの少女。
今、赤のバニー戦士と怪異のちょっとアレな(笑)バトルが始まる!!
その2「対決! 赤のバニー戦士VS蜘蛛女アラクネー」
(な、なんでここで「バニーガール」? そもそもさっきから一体何が起こってるの??)
正直わけがわからないことばかりで、頭に「?」が飛び交う宗春だったが、突如として現れた赤いバニー姿の美少女は、あくまで「戦うヒロイン」然とした態度で、歯がみをする「影」にビシッと人差し指を突きつけた!
「学園を騒がす《禍つ神》の眷属よ! 今度という今度こそ、絶対にお前を倒してみせる! そのために今回は『これ』をもらってきたんだから!」
そう高らかに宣言すると、バニースーツの盛り上がった胸元(けっこう大きい)から、小さく丸めた紙のようなものを取り出す赤バニー。
(そ、そんなとこから出しちゃうの!?)
バニーガール的には「基本」、でも思春期男子的にはドギマギの中、赤バニーはどうだっ!とばかりに紙を広げて、書いてある内容を読み上げる!
「神域を侵したる《なりそこない》--その属性は『蜘蛛』! 我、汝を『アラクネー』と命名す! 代読ッ!」
--しマッた! 『名付け』ノ護符かッ!?
血相を変えて「影」が叫んだその瞬間、たちまちにしてその姿に変化が現れた!
「えええええ!?」
驚きに目を見張る宗春の前で、シルエットのみだったその姿がみるみるうちに「実体化」を遂げていく。そして最後には、上半身は妖艶な半裸の美女、しかし下半身は巨大な蜘蛛という、美しくも禍々しい化け物の姿へと変貌した!
「あわわわわわ……」
目の前で具現化した怪異にSAN値をガリガリ削られながらも、同時に宗春は苦しげに「前」を押さえてうずくまる。何せ全体としてはおぞましいけど、上半身は大人な美女そのものだし、しかもめちゃくちゃ露出度が高くて(具体的には紐……というか『糸』みたいなV字水着風)、ウブな宗春的にはあまりに刺激が強すぎたのだ!
だがまぁ、そんな「青少年あるある」な苦悩はさておき!
「さぁ、これで闇に紛れては逃げられないぞ! 攻撃も通るようになったし、観念するといい!」
強制的に実体化させられた「影」改め《邪霊アラクネー》に、赤バニーはよし!と拳を握りしめると、意気揚々と必殺パンチを放とうとして--
アラクネーの放った糸に、あっという間に絡め取られた。
「ああっ、しまった!?」
愕然とする赤バニーを見て、嘲るようにアラクネーが嗤う。
「フフフ、お馬鹿サン。実体化シタってことは、コチらの攻撃も通ルってことヲ忘れちゃっタノぉ?」
「くっ……は、離せ……」
胴体をぐるぐる巻きにされただけでなく、そのままギリギリと締め付けられて、顔に苦悶の色を浮かべる赤バニー。ていうか、何て言うか、その……
スタイル抜群のバニーさんが紐みたいな糸で縛られ、ぎゅうぎゅう締められながらアンアン悶絶している姿とか、正直実に「アレ」すぎる!!
(さ、さっきから刺激が強すぎだよ~!!)
ボディスーツはもちろんだけど、網柄ストッキングの太股にキリリと糸が食い込んで、柔らかそうなお肉がむちっ♪とはみ出しちゃってるトコとか特に……げふんげふん!
……と、色々近くで見ちゃった結果、ますますうずくまってしまう宗春であったが、それを見てニンマリと嗤ったアラクネーが、新たに放った糸で今度は宗春の身体を絡め取る!
「……ひっ!?」
そして「あわわ……!?」と狼狽える宗春の身体を、ギュン!とばかりに引き寄せたかと思うと--
「あああっ!?」「わっ、わ~~~!?」
身動きの利かない赤バニーの身体に、ムギュッ☆とばかりに密着させた! より具体的に言えば、そのふくよかなバニースーツの胸元に。正面から顔を押しつけるようにッ!!
「ウフフ、糸ヲ通して伝ワッてくるワァ♪ アナタたちノ心臓のドキドキが☆」
からかうようにそう言うと、更に糸を引き絞っては、二人の身体をぐりぐり密着させるアラクネー!
「あわわ……ご、ごめんなさい! でも、僕にはどうにもできなくて……むぐっ!?」
「き、君は悪くない! 悪いのは全部あの魔物……んはぁぁぁっっ☆」
「フフフ、羞恥ト屈辱、興奮ト情欲。若さ溢レル思春期の《エナジー》……たまんナイわぁ☆」
盛大にパニクる二人をゾクゾクした表情で眺めながら、立ち上った淡い虹色の光を吸い続けるアラクネーであったが、やがて物足りなくなったのか、あわあわする宗春に向け、更なる誘惑の言葉を口にする。
「ドウ坊や? どうせナラ、『直に』顔ヲ埋めちゃってミナぁい?」
「「うええええええっ!?」」
とんでもないお誘いに、宗春と赤バニーが同時に叫ぶ! だが、むしろそのリアクションは期待通りだったようで、アラクネーは満足げに嗤いながら甘やかな声で誘惑を続ける。
「ママのおっぱいニハしたことアッても、他ノ女、マシて同じ年頃ノ女の子ノお胸に顔ヲ埋めた経験ナンてないでショお? フフ、と~っテモ柔らかくッテいい匂いガするのヨォ? セッかくのチャンスなんダシ、たっプリと埋めチャっていいわヨ~ぉ☆」
「ふ、ふざけるな! そんなことしていいわけないだろ!?」
勝手に許可を出された赤バニーが、怒りと羞恥にバニースーツよりも赤くなる。だがアラクネーはニヤニヤと嗤うだけで、それどころか提案を実行に移すべく、シュルシュルと太めの糸を何本も胸元に伸ばしていく。
一体何をする気!?と身構える赤バニーの前で、糸たちはまるで編み物のようにまとまっていき、やがて大きな「大人の手」のような形となった!
「なっ!?」
これは良く誤解されているのだが、バニースーツは露出度のワリにはそんなに簡単にポロリ☆などしない。あれはあくまで接客用の「ユニフォーム」であり、そんなにポロポロこぼしていては、当然仕事にならないからだ。
……だがもちろん、力尽くで引っぺがすとなれば別の話で、というわけで、バニースーツの胸元を糸でできた手がガシッとつかんで、スタンバイOK!
「ば、バカっ! やめろっ! 何考えてるんだっ!」
このままではひん剥かれてしまう!という恐怖と羞恥に、どうにか逃れようと身をよじる赤バニー。しかしそんな程度では身体を縛る糸は切れず、むしろ更に食い込んで微妙なことになるだけだ!
「サァ、それジャあ……ポロリ☆といっチャいなさァい♪」
そんな赤バニーの抵抗を楽しげに眺めながら、無慈悲に宣告するアラクネー。その声に合わせ、糸でできた大きな手がぐいっ!とバニースーツを引き下ろそうとした--
まさにそのとき!
「いい加減に……しろぉぉぉぉ!!!」
羞恥の限界と共に我慢の限界に達した赤バニーが、キッと表情を引き締めると同時に、はぁぁぁと全身に気合いを込める!
「……できれば使いたくなかったけど仕方無い! 《神気解放》ッ! 限界突破--《バニー・ブレイクッ》!!」
裂帛の気合いと共に赤バニーが叫んだその瞬間! 彼女がまとうバニースーツから紅の《神気》があふれ出す!!
そして「やああああっ!!」と力を解き放つや否や、身体をぐるぐると縛った糸を、まさに一瞬にして吹き飛ばした!
「なアアああアアッ!?」
驚愕するアラクネーの目の前で、自由になった赤バニーが「とおっ!」と空にジャンプする!
何という跳躍力か!? たちまちにして3F建て校舎の屋上レベルにまで跳び上がった赤バニー! そして、そのまま明るい月をバックに空中でくるくると回転して勢いを付けると、
ビュウウウウウウン!と一直線に急降下した!!
「し、シマった!?」
狼狽するアラクネー! だが、実体化している以上闇に溶け込んで逃げることもできず、しかも直前まで若い《エナジー》に陶然としていた分、どうしても反応が遅れてしまい--
そしてその遅れが、アラクネーの命取りとなった!
「邪霊退散! 《ジャンピング・バニー・キーーーーック》!!」
赤いハイヒールの靴底に神聖なる《気》を集中させた赤バニーの一撃が、アラクネーの蜘蛛状の下半身に勢いよく突き刺さる!
そして次の瞬間、そこから放射線状に広がった《神気》の爆光が、邪霊の全身をズタズタに引き裂いた!
「ギャアアアアアア!!!」
断末魔の絶叫と共に、粉々になったアラクネーの身体が元の「影」へと戻っていく。いやそれだけでなく、その「影」の全ての欠片が淡く輝く紅の《神気》に包まれ、まるで雪が溶けるように消えていき……
--オノれぇ……せっカクここまで育ツことがデキたというノニぃ……無念……
そして最後に悔しそうにそうつぶやくと、敗北した《邪霊アラクネー》は、完全に--消滅した。
……これで決着と思わせて、次回は「とんでもないこと」が起こりますよ!(笑)
ということで、その3「ど、どうしちゃったんですか!? バニーさん!」は
4/8(金)掲載です!(^^)/