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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第3話「動き出す学園の闇! ゴブリン軍団をやっつけろ!」
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その2「なお全国の有名店でも取り扱ってます(お取り寄せも可能☆)」

続きデス!

その2「なお全国の有名店でも取り扱ってます(お取り寄せも可能☆)」


「………………はぁ」


 それまで無言で宗春を見下ろしていた碧衣が、不意にため息をついたかと思うと、苛だたたしげに黒髪をかきあげ、そのまま宿坊とは逆方向に歩き出す。


 そして戸惑う宗春に向け、碧衣は振り返りもせずにこう言った。


「冗談よ。ほら、さっさと付いて来なさい。来ないなら置いてくわよ」


「……え? いいんです……か?」


 突然の展開にますます戸惑う宗春に、ひとまず立ち止まった碧衣がぶっきらぼうに答える。


「あんまり虐めすぎると、後であかりに怒られそうだしね。それに私はこの学園の副会長だから、入学前とはいえ困ってる生徒がいたら助けるのが責務--それだけの話よ」


「あ、ありがとうございます! そ、その……碧衣さんって、意外と優し--」


「…………は?」


「い、いえ! 何でも無いです!!」


 ものすごく冷たい目で一瞥されて、震え上がってブンブン首を振る宗春。とはいえ、碧衣もそれ以上締め上げる気は無いらしく、「時間の無駄だから行くわよ」と言い捨て再びスタスタ歩き出す。


「あ、ま、待ってくださ~い!」


 そんな碧衣の背中を慌てて追いかけながら(身重差があるだけに歩幅が違う!)、それでも宗春はようやくホッとするものを感じていた--


 --そしてしばらくの時間が流れ、


 その後は碧衣も熱心とは言わなくてもそれなりにマトモに案内をしてくれ、おかげで宗春もこのやたらと広い学園の概観を知ることができた。


 もちろん田舎の学校とは思えぬ施設の充実っぷりにも驚かされたのだが(さすがは三ツ矢グループ全面バックUP!)、それと同じくらい驚かされたのが碧衣の「敬われっぷり」で、あちこちで女生徒たちとすれ違ったのだが、その度ごとにみな実に礼儀正しく挨拶をしてくる。


(さ、さすがは三ツ矢グループの一角、小早川家のお嬢様だなぁ……)


 明朗快活なあかりや、フランクなキイロとは違い、クールな気品にあふれたその姿はまさに「学園一のお嬢様」--というかむしろ「女王様」というべきか。だって敬いはしつつもけっこうみんなビビってる感じだし……


 まぁでもそのおかげで、一緒にいる自分が全く注目されていないのは、ありがたいと言えばありがたい。本来なら「あの子誰? 見ない顔ね?」とかなりそうなものだが、みんなナチュラルに「あら、碧衣様の新しい下僕かしら?」程度の受け止め方をしているようだ。そ、それはそれでどうなのかとは思うけど……


 と、色々考えながら歩いている内に時間もお昼にさしかかり、パシリを仰せつかった宗春が「ポ〇ラ」とかいうあまり見たことの無い赤いコンビニで食べ物を買ってくると、二人は近くにあったベンチに腰掛け、昼食がてらの休憩を取ることにした。


(おごってくれたし、やっぱり碧衣さんって、おっかないけどけっこう面倒見はいい人なんじゃ……)


 露骨に距離は取られているが、それでも同じベンチに座って同じパンを食べながら、チラチラと碧衣の横顔をうかがう宗春。あと、それはそれとして、このリクエストされたクリームパン、ものすっごく美味しいんだけど!?


挿絵(By みてみん)


「驚いた? 『八〇堂』って言う、私の故郷・三原にある和菓子屋さんが作ってるんだけど、この『くりーむパン』の味は全国で通用するわ。本来ポ〇ラでは扱ってないけど、この店舗だけは特別に私が取り寄せさせてるの♪」


 基本クールな碧衣でも地元自慢は嬉しいらしく、「クリームパン」ならぬ「くりーむパン」をかじるその横顔に、ふふん♪と少し得意げな微笑みが浮かぶ。


(…………ッ!)


 ずっとおっかないと思っていただけに、そんな年相応な少女らしい笑顔を見せられると、何だか胸がドキッとして、宗春は慌てて「くりーむパン」にかぶりつく。うん、ホント美味しい。でも、何だかさっきよりも更に甘く感じられるのは、気のせいだろうか--


 そんなこんなで一緒に美味しい昼食を取り、ほんの少しだけど打ち解けた雰囲気が流れる中で、今なら聞けるかも……と、宗春は思い切って尋ねてみることにした。


「……あの、一つ聞いてみてもいいですか?」


「何?」


「その、昨日からずっと気になっていたんですけど、あかりさんと碧衣さんはあのとき、どうして、その……『あんな格好』だったんです……か?」


 ストレートに言えば「バニー姿」のことだが、さすがに口にするのははばかられて、びみょーに遠回しに尋ねた宗春だったが、


「ノーコメント」


(で、ですよね……)


 実ににべも無く即答されて、宗春はタハハと苦笑する。しかもその瞬間、せっかく少し緩んでいた気がする碧衣の「冷気」が一瞬で元に戻ったのが露骨に分かり、思わずぶるっと震えた--そのときだった!


「「「きゃああああああああっっっ!!!」」」


 突如として聞こえてきたけたたましい少女の悲鳴! それも一人では無く複数のもので、この後行くことになっていた第2グラウンドの方向から聞こえてくる! 


「あ、碧衣さん! 何か悲鳴が--」


 だが、驚いた宗春が問いかけるより早く、チッ!と舌打ちした碧衣はすぐさま立ち上がると、次の瞬間、悲鳴のした方向に向け一目散に走り出した! 


「まっ、待ってください、碧衣さ~ん!」


 慌てて追いかける宗春だったが、碧衣は全く待つ気が無いし、そこは運動神経の格差もあって、ブレザーの背中はグングン遠ざかっていく!


(そ、それにスカートって、走りにくい……!) 


 そこは男の子なんだからめくれても別にいい気はするけど、でもやはり何だか気恥ずかしくて(しかも下は白いブリーフだし!)、ますます減速する宗春だったが--


「《バニー・チェンジ》ッ!」


 そんな宗春の視界の先で、小さく叫んだ碧衣の身体が青い輝きに包まれる! そして光が消えたそのとき、ブレザーだった後ろ姿は一瞬にしてバニーガールのそれへと変わっていた!


「え”え”ええええええええ!?」


 だが、宗春が驚愕したのも束の間、一気に加速を遂げた碧衣の背中はあっという間に小さくなって、ついには見えなくなってしまう。


「やっぱり……バニーガールだ……。でも、何で……??」


 頭の中はもう「??」だらけで、宗春はもはや追いかけるのも忘れ、茫然とその場に立ち尽くす。


 そんな宗春のスカートの間を、碧衣の巻き起こした一陣の風が、ヒュウウ……と音を立てて吹き抜けていった……

おっかないイメージの碧衣ですが、今回のタマネギーニョさんのイラストの得意げな顔可愛いですよね☆あと、セーラー服の宗春もw


ちなみにタイトルにもしたように三原市発祥の「八天堂」の「くりーむパン」は広島以外でも買えますよ!(もしくは県外の方なら広島駅が狙い目)マジで美味しいのでぜひ一度お試しあれ☆

※付記:ちなみに2024年現在は普通にファミマで買えますが、地元限定味とかもあるので要チェック!


でもってこの続きは8/7(日)更新の予定デス!(^^)/

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