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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
序章 準備期間
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第8話 メンバー選出



 弔いの後、会議室に向かうと、ほどなくしてメンバーがそろった。


 先にやってきた、姫ちゃんに啓区ぼくと未利、なあちゃん。

 そしてエアロ。


 あとは……。


 ギルドトーチカのメンバー、三座ちゃん。

 そして、お城の兵士達であるハイネルさんとディークさん。メリルさん。

 後、イフィールさんとラルドさんと、ウーガナ。


 最後にコヨミ姫、グラッソさん。


 とりあえず、その場に全員が集合したわけなので話を進める事になった。


 最初に口を開くのはコヨミ姫。


「今日集まってもらったのは、他でもないわ。聖堂教に探りを入れるメンバーを決めるためよ」


 ある程度その事は、予想がついていた。

 例のツンデレさん(未利)が、敵対勢力に対して盛大にケンカを売ってしまったものだから、この機にたたみこまなければいけない。


 だが、相手は僕達をひどく翻弄した相手。

 メンバーの選考は慎重にならなければならない。


 考えている間に、皆の様子を見まわして反応を窺っていたらしいコヨミ姫が次の言葉を口にした。


「まず、ここにはいないけど、中央に向かうメンバーはイフィールが決まってるわ」


 その言葉に反応したのは姫ちゃんだ。


「怪我の治療ですよね。中央領は、確か医療技術が優れてると聞きましたけど……大丈夫なんですか?」


 探りを入れるために僕達が向かう場所、中央領グロリアは医療がそこそこ発展しているらしい。

 他の町より優秀な医者が多くいて設備も整っているため、希少な難病でも治療できるかもしれない場所らしかった。


 この城に勤める金髪の兵士、イフィール。

 彼女は、氷裏の策略で足に重い怪我を負ってしまっている。

 おそらく、最初のメンバー選抜の理由はその治療のためなのだろう。

 早期治療のために、イフィールを中央領に向かわせるのは必要な事だった。

 彼女はこの城の貴重な戦力だし、コヨミ姫が部下を蔑ろにするはずがない。


 だが、動けない彼女を、何があるか分からない場所に送り出すのは不安だ。

 そう思うのは、姫ちゃんだけではないはず。


 未利もなあちゃんも、心配そうに声をあげる。


「一人で行かせるってわけじゃないんでしょ?」

「イフィールさん、心配なの」


 そんな二人の発現を聞いて、イフィールは安心させるようにうなづいた。


 そしてコヨミ姫が、未利達に安心させるようにそれに答える。

 彼女は、元兵士である男と、元海賊である男の名前を口にした。


「大丈夫よ二人とも。イフィールにはラルドとウーガナをつけるから」


 前者はともかく。

、後者はちょっと不安なんだけどな。


 予想通り未利がウーガナの方をみて、渋い顔になる。


 ウーガナは文句あんのか、って感じの顔だ。


「えぇぇ、あの海賊ぅ? ちょっと。大丈夫なわけ? あいつ初対面の時、ウチ等にケンカ売ってきたし、イフィールとガンつけ合ってたんだけど」


 その言葉に同意するのは、あの時人質になっていたエアロだ。


「そ、そうですよね。あの場にいた私も見てましたし」


 けれど、コヨミ姫は特に心配はしてないらしい。

 彼女なりに、何か今回の人選を判断するに至った理由があるのだろう。


「そう思うのは無理ないけど。でも今は大丈夫よ。何があったのかは知らないけど、二人共、大分うちとけてきたみたいだもの」

「えっ、そう?」

「そうなんですか?」


 これには未利とエアロだけでなく、僕達も頭の上に疑問符を浮かべた。

 ウーガナたちの方をみるが、よくわからない。

 確かにイフィールさんの、ウーガナに対する風あたりが弱くなっているような気はするけど、二人が一緒にいるところを見た事があまりないので、どうにもよくわからない。


 腑に落ちない、という顔をする面々だが、人を見る目をもっているコヨミ姫がそういうのならそうだろうと、最終的に皆は納得した。


「彼女達には、先に中央領に行ってもらうわね。治療は早い方が良いし、お医者さんへの紹介状には期限もあるから」


 城の中の最大戦力であるイフィールさんを失うのはかなりの痛手だ。

 これからの終止刻の状況を考えると、ぜひ戦線復帰してほしいのだろう。


 だけど、そうじゃないとしてもコヨミはイフィールを先に行かせただろう。


 彼女の性格を考えると、怪我人を放っておく事が出来ないだろう、というのもあるけど……。


 彼女は、きっと一人一人を活かすために行動する。

 人間を数字で見たりはしないのだ。


 コヨミ姫は、そういう領主になるだろう。

 いいや、なりたいと思っているはずだから。



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