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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第7章 3巡目

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第56話 ネコの無事



 中央領 ディテシア聖導協会 客室


 ……時間がない。


 覚醒した瞬間、自分がすべき事に思い至って焦った。

 ベッドから飛び起きて、着替えもそこそこに、部屋をでる。


 姫ちゃんは……無事だった。

 なら、この時点で気にすべき事は後一つ。

 

 客室を出た後、全速力でわきめもふらずに、廊下をかけぬける。

 朝早い司教さん達に挨拶する暇もない。


 数分後、聖堂教の入り口に到着した。


 嫌な予感は的中していた。

 それは、今まで見過ごしていた悲劇。

 今までの世界では救えなかった証拠。


 直視しがたい事実だったけど、目をそらすわけにはいかない。


 聖堂教会の玄関口。そこには数人の若者がいる。


「こいつ、俺の足にかみついてきたんだぜ?」

「なんなんだよ! 反抗的な目しやがって、生意気だな!」

「こんな子ネコウ踏んづけてやる! 回り込んで逃げ道をふさげ!」

 

 白シャツの男性に、黒ジャケットの男性に、赤いマーブル模様のシャツの女性。


 彼らはよってたかって、子ネコウをいじめていた。

 彼らは僕が来る前に、子ネコウに何かされたのだろう。

 それで、仕返しをしているらしい。


 石を投げて、遊んでいる。

 人間相手には何でもない事でも、小動物である子ネコウには大した攻撃だ。

 焦れた彼らが本気になったら、きっとひとたまりもない。


 誰かがとめなければ、命を落とす事もありえるかもしれない。

 血を流して、倒れるなんて事も

 だから、今までの世界では……。


 脳裏に浮かんだ、出来事を振り返る。

 でも、今回はそんなことはさせない。


「そこで、何やってやるの」


 自分でも平静を保てていたのかはわからない。


「僕は、そこで何をやってるんだって聞いてるんだけどな」


 けれど、石を投げていじめていたもの達をびびらせるくらいの怒気は出ていたのだろう。


 彼らは一目散にその場を逃げていった。


「ちっ、憂さ晴らしもさせてくんないのかよ」

「エイミィ姉さん、騒ぎになると面倒だよ」


 その中で金髪の女性が舌うちして、こちらをにらみつけていたが、弟らしき人物に話しかけられてその場を去っていった。


 何か理由があるのかもしれない。けれどそうだとしても僕は、小動物相手に大人げない仕返しをする向こうの事をおもんばかってやれるほど善人ではない


 遅れてその場に、ハイネルさん達がやってくる。


 まさか、寝起きに全力疾走されるとは思わなかったのだろう。

 不意をつかれた彼らは、とっさに追いかけてこれなかったようだ。


 仕方がない。


 彼等には悪いけど、緊急事態だったんだ。


 ハイネルさんが冷静に訪ねてくる。けど、ディークさんはこちらを見てのけぞった。


「勇気殿、どうかしましたか」

「うわっ、どうしたんだ。啓区様、めっちゃ怒ってるじゃんか」


 そんなにおっかない顔してるのかなー。

 みんなにおびえられたりしたらショックだから、なおしとかないと。


 ほっぺをつねったりしてみるが、鏡でも見ないとよく分からなかった。


「ちょっとね。みんなを起こしてくれる? 話をしなくちゃ……」


 ならないんだ。

 そう続けようとしたところで、めまいがきた。


 そして、唐突にこの手の中に一冊の本が出現する。


 魔法?


 これは……。


 物語の本だ。


 僕達が巻き込まれている物語の。


 どうして今になって?


 首を傾げつつ、本をめくってみる。


 そこには、姫ちゃんを主人公にしたファンタジーストーリーがかかれていた。

 その中には、僕達の知らない視点の事や、バックストーリー。キャラクターエピソード。SSなどもある。


 その視点は様々。

 人物の視点に寄り添って描かれたものから、俯瞰で描かれた話もある。


 これからの事を考えるなら、俯瞰視点で今までにあった物事を知るのは重要な事だ。


 けれど、僕は驚いた。


 そこにつづられていた内容に。


 俯瞰で描かれたこれは、僕達がかかわっている物語のすべてが書き記されているのだおる。


 この時点まで、大筋に関係する「すべての」物語が。


 うすうすは分かっていた。

 でも、認めたくはなかった事実も。


 そこには、おぞましいほどの失敗の数々についても、かかれていたのだった。


 バッドエンドの数々についても。



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