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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第6章 2巡目

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第48話 消失の理由



 心域


 どうやらその後、一日目の夕方にイフィールさんが不明になって、二日目の昼は未利が行方不明になったらしい。そして、コヨミ姫やルミナリア・三座ちゃん達とも連絡がつかない。


 僕は、至近距離で起きた爆発に巻き込まれて、まだ目が覚めないまま。


 なのに、なぜそれが分かるのかというと……。


「まだ、もうしばらくは、ここにいなければなりません。現実の貴方は起きられる状況ではないです。幸い、大した怪我ではなかったようですが」


 目の前にアジスティアがいるからだ。


 ベッドに横たわっている自分・勇気啓区の姿を、当人である僕が見つめる。アジスティアが映し出してくれた水鏡で見てるっていう、シュールな状況だ。


 僕の魂は、生死の境をさまよう事で心域にきてしまっているらしい。


 アジスティアの好意に甘えるしかない僕は、やるせない気持ちでいっぱいだ。


「こうしている間にどれだけの時間を無駄にしちゃってるんだろうねー」


 二日。


 もう二日目の昼だ。


 まる一日犠牲にしてしまっている。


 このまま何もしなかったら、この世界もまた多くの犠牲を生み出してしまうだろう。


「そういえば……。アジスティア、君は姫ちゃんが消えちゃった原因、何があるのか分かる?」

「それは、プライバシーに関する事なので、言葉を選んでしまいます」

「知ってるって事?」


 目の前の少女はためらいがちに口を開いた。

 迷うようなそぶりを見せるのは、どういう意味でだろう。

 できるなら姫ちゃんを傷つけるような事はしたくないが、こう分からない事ばかりだと情報がほしくなる。


 彼女は目を伏せながら、こちらに言葉を続ける。


「できればきちんとした手順を踏んでからこの問題に向きあってほしかったのですが、そうも言っていられないようですね」

「教えて。姫ちゃんを助けないといけないんだ」


 アジスティアは分かりました、と頷く。

 そして、僕に視線をあわせて語りだした。


「姫乃さんは、人間ではありません」

「え?」


 しかし、その事実はまったく予想していなかったものだ。


「イブ・フランカに行使されている魔法、作られた人格です」








 姫ちゃんが人間でない?

 イブ・フランカに作られた人格。


「魔法で起きている現象。設定された人格。魂の無い存在。それが結締姫乃なのです」

「そんな……」


 魂がない?

 心がない。

 そんな事あるはずない。


 だって、ずっと彼女は笑ったり泣いたり、憤ったりしてきていた。

 普通の少女のように。


 アジスティアは頷いた。


「ええそうです。けれど、足りない。心ができるまでの、色々なものが。あえて、彼女は、そうしているから。無意識に、ですけど」

「どういう事?」


 姫ちゃんには心が、魂ができるはずだった。

 なのに、それを本人が拒んでいた。


 それを拒む理由が、僕にはわからない。


「別人になりたくなかったのでしょう。同じ思いを抱きたかったのでしょう。再会したかった相手と、あの時の自分と同じ思いで再会するために」


 分からない。

 そんな謎めかした言葉で説明されても困る。


「ようするに、僕はどうすればいいの? どうやったら、姫ちゃんを助けてあげられるの?」

「蝶となって飛び散ったのは、記憶。その蝶を集めて、再び魔法を発動させる必要があります」


 必要なのは魔法の設計図らしい。


 そして、飛び散った記憶という名の破片。


 けれど、時間がもう残されていない。


「しかし、ループすれば、その状況はリセットされます。貴方だけが過去に飛べば、姫乃さんは元通りです」

「でもそれは……」


 進んでこの世界を諦めるのも、一つの選択だ。

 けれど。

 そんな事、できるわけがない。

 苦しんでいる仲間を無視して自分だけ逃げるなんて、そんなひどい事。


 この世界の彼女を諦める事。

 それだけは、してはならない事だと思っている。


 僕は、アスウェルじゃないんだから。


「私はこうやってほんの少ししか手助けする事しかできない。頑張ってください」






 目を覚ましたのは、医術寮のベッドの上だった。

 看護師さんから説明された、やはりあのボールが爆発したらしい。

 誰かが爆弾を、仕掛けていたみたいだ。といっても犯人は知れているけど。


 それで、道を歩いていた人たちが他にも何人か病院おくりになった。

 巻き添えをくらってしまったらしい。

 氷裏は僕達を狙っていたのに、さすがに申しわけなくなった。




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