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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第6章 2巡目

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第47話 見たくないと思った物



 ボア研究所


 幸先が悪いことが続いている。

 けれど、目をそらすわけにもいかないから、嫌な感じが余裕の居所を圧迫していくような心地だ。


 玄関での一幕があった後、僕達はボア研究所に向かった。

 そこで、セルスティーさんと話をしながら、今後の予定をまとめた。


 決めたのは、

 計測器を使って、できるだけ早く災害が起こるというデータを集める。

 そして、避難誘導をすすめるために、セインさんと話をしなければならない。

 という事。

 

 でも、前回と同じ事をするだけじゃ、だめだ。

 避難準備は進まないだろう。


 そうしたら、未利レミーが「でしたら」と発言。


 子ネコウの事、まだ話してないんだよね。

 一言「最近どう?」みたいに聞けばいいだけなのに。


 ムラネコがひょっこりでてきてくれたら、杞憂なんだけど。


 彼女はそんなこちらに内心など知らない態度だ。


「協力を求めてみてはどうですか?」


 その場にいた者達は首をかしげる。


「漆黒の刃の皆さんに、です。ループの最中に拠点を突き止めたのなら、力の証明になったかと。手を組んでもらうには十分なのでは?」


 なるほど、その考え方もある、かな?


 考えを整理するようにエアロが口を開く。


「そうなると、漆黒の刃が味方につくって事になりますね。私は反対したいですけど……」


 それに言葉を重ねるのはハイネルさんとディークさん。


「いささか、状況が悪すぎるかと、ここは使えるものは利用しないと悲劇を食い止める事はできないでしょうな」

「俺はよく分かんないけど。兄貴に賛成だ。何もしないよりは、うんと可能性が上がる気がします。あいつらの事は嫌いだけどさ」


 司教達が抱えているもの、不都合な真実を暴けば彼等の権力を地に落とすことができるはず。そうすれば、セインさんの行動に反対する人は、表向きいなくなると思う。


 敵と手を組むなんて、あんまり考えてなかったから、予測がつきづらいのが難点だし抵抗感があるけど。


 それが、今の所は一番の方法かな。






 そういうわけで、再び聖堂教に戻って、セインさんに話をした後、さびれた人形店の前へ。


 しかし、そこに店はなかった。

 前のループがあった穴もない。


 いかにも突貫工事、みたいなつくりの穴だったから、数時間で掘ったのだろう。


 なら、まだこの時点では穴はなかったという事だ。

 店はどうだか知らないけど。幻とかだったら分からないが。


「現物の店を用意したとしたら、氷裏ってー。どういう力もってるんだろうねー」


 相手の手札をいまだに読み切れてない感があって怖い。


 敵のカードを完全に読み取れないと、いつまでも後手にまわってしまう。


 こんなところまできて先手を打とうとしてるのに、僕達は結局的に振り回されるばかり。


 地面を見つめていると、未利レミーが辛辣な一言。


「ただ突っ立っているならカカシにだってできます。どうにかして、漆黒に刃とコンタクトを取る方法を模索しましょう」


 そこは全然変わらないよね。

 歯に衣をきせなさすぎ。


 みんなは互いの顔を見合わせる。


 どこからも「どうする?」みたいな心の声が読み取れたが、いい案が浮かばない。


 とりあえずといったように挙手するのはメリルさん。


「ここからいったん離れましょう。氷裏がいつここにやってくるか分かりません。彼と遭遇するのは色々とやっかいですし」


 確かに。

 だとすると、どこで落ち着けばいいかな。


 頭を悩ませながら、その場から移動していると、ふと目の前をボールが横切っていくところだった。


 右から左へ転がっていく茶色ボール。

 弾力のある革製のボール。

 だけど手作り感いっぱいで、縫製の跡が丸見えだ。


 どうやら持ち主がいるようで、小さな少年が慌てておいかけてくるところだった。


 僕はそれを拾い上げる。


「あ、お兄ちゃんありがとう」

「どういたしましてー」


 そして、それをなにげなく手渡す。


 少年は、にっこりと笑って連れらしい人間に声をかけた。


「あっちのお兄ちゃんがくれたボールなんだよ」

「へー、親切な人がいたもんだねー」


 そういわれて、視線を向けると、そこにはあいつがいた。

 心臓を掴まれたような思い。


 心霊現象か。とかなんとか、考えてる余裕もない。


 氷裏が口元に弧をえがいた。あいつが笑っている。

 あいつの顔なんて、もう二度と見たくないって思ってた。


「っ」


 もうすでにここにいた。

 そして、見られていた。

 一体いつから。


 次にとるべき行動を考えて、一瞬の硬直。

 その時間で状況が変化してしまう、目の前。

 少年の手にあったボールが、爆発した。



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