第42話 地下道
僕達は降り立った地下道を歩いていく。
けど、地下道は主要な大きな道の両脇に、短い小部屋がいくつもある、という形になっていた。
そんな地下道には時折り、趣味の悪そうな(華美な)美術品が色々と飾られている。
そこを進んでいくと、早々に未利達と合流できた。
達、と述べたのはアスウェルがおまけにくっついていたからだ。
遭遇の瞬間、その辺に流れる妙な雰囲気。
「……」
「「……」」
アスウェルは当然無言で、こちらに反応しない。
僕達は別の意味で反応できない。
姫ちゃんがアスウェルの能力を写し取ってループしている、なんて情報を知ったらどんな行動に出られるものか。
とりあえず、で殺害されかねない。
しかし、とりあえず仲間の生存には、ほっとした。
護衛であったメリルさんもきっとそうだ。
「レミーちゃん大丈夫? はぁ、とにかく無事でよかった。ボクの失態だよ。まさか部屋の中でいなくなっちゃうなんて。密室でしょ? 普通想像できる?」
責任を感じていたらしい。
これまでに護衛としてつけられていたエアロから引き継ぐ形になったので、気をつかってはいたようだから、なおさらだろう。
そんな後輩にエアロがアドバイス。
「その想像できない事が起きるのが、未利さんなんです。覚えておいた方が良いかと」
「んー、学んだ。しっかり覚えとかないとですね」
無事をたしかめて一安心した後。
「まったくこれだから未利さんは」といつもの小言を述べるエアロや、「あえて嬉しいのと」素直に述べるなあちゃんとも再会を喜び合った未利。
その後、地下道にいた彼女が僕達に述べてきたのは、衝撃の事実だった。
「ここに、聖堂教の弱みがあるらしいです。漆黒の刃のアジトがこの場所のようですよ」
どうやら無駄に攫われたわけではなかったらしい。
「マジかよ、棚ぼただな。姫乃様達」
ハイネルさと共にメリルさんと話をしたディークさんが、そう喜んだけど、僕はそこまで思えないかな。未利についてるおまけがねー。
未利は、アスウェルに助けられた後、逃げた誘拐犯を追ってここを突き止めて調べていたとか。
僕達にチャットで知らせようとしたけど、アスウェルが嫌がったので様子を見ていたようだ。
「無理をして連絡するのは得策ではないかと、次会ったとき姫乃さん達にやつあたりしても困ります」
一応僕達のことも考えてくれたようだ。
まあ、それなら仕方ないかな。
ちょっと珍しく怒ろうかなーなんて思ってたけど、横においておこう。
僕はとりあえず気になった部分を訪ねる。
「でも、何でここが漆黒の刃の拠点だってー? ここに来るときにあったのは、趣味が悪そうな美術品くらいだったよねー」
「小部屋の方見て回りました。けれど、啓区さん達は見ない方が良いと思います」
見てほしくないって、どういう意味かな。
ここに来るまでに見てこなかった小部屋。
僕達が後回しにした部分を見ての結論らしい。
すると、ハイネルさんが提案。
「それは私達でも、見せられないものですかな」
「ハイネルさんなら大丈夫そうです。メリルさんも。エアロさんは……ナシだと思います」
未利はエアロで視線をとめて渋い顔をする。
一方、頭数に入れてもらえなかった方は不満げだ。
「何でですか。私の方が彼等より先輩ですよ」
「エアロさん、怒りっぽいとこありますから」
あー、ざくっと言ったねー。
現在進行形で怒っていたエアロが図星をつかれて、「うっ」という表情になってる。
「それに」と未利はアスウェルを顎でしめした。
「エアロさんは過去、怒りに任せてアスウェルさんを何度もはめた、と。本人がしみじみと」
「そ、それは……私じゃ。アスウェルさん!」
よくわからないやりとりだが、エアロは僕達の知らない所でアスウェルを何度か逆襲しているらしい。
グッジョブ。




