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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第4章 4日目から6日目までの出来事

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第35話 大災害の発生




 町中 『姫乃』


 深夜、本来ならこの時間はみんなが寝静まっている頃。

 草木も眠る頃合いで、夢の国で楽しい夢や怖い夢などを見ているはずだった。


 けれど、その日は違った。


 イフィールさんや未利達を探した後、姫乃達はいったん聖導教会へ戻った。

 ヒントとなるものがないか、何でもいいので得たかったからだ。


 けれど、結果は何もない。

 シュナイデル城にも連絡がつかない。他の面々にも。


 無駄な時間を過ごすしかなかった姫乃は、翌日の捜索の予定を組んで数時間ほど休憩した後、また町に繰り出す事にした。


 だが、その中で災害が起こった。


 中央領の各地で闇の魔力が噴出しはじめたのだ。


 闇の魔力にさらされた生物は、正気を失い狂暴化する。


 事前に知識を得ていた姫乃達は、魔力が噴出している場所を避けながら安全な所へ移動した。


 けれど、風向きが悪かったのか、町全体に充満していって……。


「あああぁぁぁ!」

「がぁぁぁ!」

「誰か、助けてくれ!」

「苦しい! 痛い!」


 町の中はまるで地獄絵図だった。


 人々は正気を失って、凶気に侵されていく。


 人によって耐性があるのか、動けるものも数名いるようだ。

 けれどそんな人たちも、徐々に正気を失っていく。


 暴れまわる人々で、苦しみのたうちまわる人々で、夜の町が満たされていく。


 どこかの施設の屋根上に移動して、なあちゃんが結界を張り、身を守っている姫乃達にはどうすることもできない。


「そんな、こんなのって」


 助けたい、何とかしたい。

 けれど、それはかなわない。


 浄化能力を発現させてない姫乃では、目の前の一人も救えない。


 災害の渦中にある町の中で、姫乃達は圧倒的に無力だった。


「未利達、セルスティーさん達は……」


 この町にいるはずのルミナリアや三座達の事も心配だった。


 こんな風景を見つめるのは姫乃だけではない。

 なあちゃんも、エアロやディークさんもショックを受けていた。


「ぴゃ、なあ達なにもできないの。すごくくるしいの、とってもすごくやなの。何かしたいの」

「どうしてこんな。こんな風にひっくり返されたら、私達が頑張った意味が、ないじゃないですか」

「こんなのあんまりだ。一体どうなってるんだよ」


 それは、ハイネルさんも同じようだった。

 言葉にしないものの、目の前の光景をみて顔をしかめている。


「兄貴……」

「いうな、ディーク。私にはどうすることもできん」


 こんな状況だが、姫乃だけは外に出られる。


 姫乃は、闇の魔力がきかないからだ。


 それは、魔大陸で活動した時に証明されていることだ。


 だから、姫乃だったら何か、何か事態を打開する方法が見つかるかもしれなかった。


 けれどそれは、こんな町の中で仲間達を置いていくという事だった。


 そんな姫乃に、エアロが声をかけた。


「姫乃さん、お願いします」


 その言葉にディークも気づいた。


「あ、そっか姫乃様なら、この中でも活動できるんだっけ」

「この状況では、それしか方法がないでしょう」


 結界の外は、すでい黒い魔力で満ちている。


 もう、仲間達はここからどこにも行けない。

 姫乃が状況を打開できなければ、末路は分かりきっているだろう。


 けれど、それでも彼らは背中を押してくれた。


「でも……」

「迷っている場合ですか? 他にもたくさん人がいるんです。この状況を何とかできるのは姫乃さんしかいないんですよ。だから、行ってください」


 うなずきたくなかった。

 本当なら、離れたくなかった。


 けれどそれでは、もともと少なかった可能性がすべてなくなってしまう。


 だから、姫乃は頷いた。

 こんな事、前にもあった。

 ロングミストの町に入る時の事だ。

 あの時、バール達をおいて町の中に入らなければならなかったとき、とても心苦しかった。

 だが、今の苦しみはその時の比ではない。


 彼等には悪いが、ここにいるなあちゃんもエアロも、ディークやハイネルも大切な仲間となっている。

 過ごした時間の重さが、そのまま痛みに変わっていくのだ。


「必ず戻るから」


 姫乃は、そう言って、誰かへと願う。

 黒の翼が背に宿るのを見て、結界が解除。

 姫乃はすぐに飛び出した。



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