表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第1章 中央都グロリア
14/67

第13話 お見舞いへ



 部屋の環境を整えた後は、聖堂教の内部を詳しく調査……と行きたい所だったけど、他にやるべき事がある。


 それは、お見舞いだ。


 僕達が歩いて向かうのは聖堂教の横に立つ医術寮。

 いったん外に出る必要があるので、その際に町中の雰囲気が分かった。


 僕達は、シュナイデとは違う中央領の景色を見ながら、短い距離を歩いていく。


「シュナイデとはぜんぜん違うよね」


 姫ちゃん達は、頭上で陽光を遮っている巨大な木へと視線を注いでいた。


 この中央領グロリアには、直径数十メートル以上になる太い木が十数本生えている。


 それだけでなく、互いの木の枝が隣の木の枝と絡まりあったしていて、頭上に天然の橋が出来上がっていたりもしていた。


 さんさんと降り注ぐ太陽の光が木の葉に遮られて涼しい。

 暖かい季節だけど、涼をとるのには困らない。


「楽しそうなのっ」


 そんな景色をみたなあちゃんは、予想通りわくわくした表情になって、橋を行きかう人達に元気よく手を振っている。


 それをやんわりとたしなめる姫ちゃんも、興味津々といった様子だ。


「登ってみたくなっちゃうけど、それはもうちょっと後でね」


 元の世界ではどうだか知らないけど、自分達の国内にはこんな景色はなかったのというのもあってか、時間が空いたらじっくり見てみたいという話しになった。


 そんな僕達のやりとりを見ている護衛組も、頭上の景に対してコメントしている。


 珍しいことに、いつも仕事用の態度を崩さないでいたハイネルさんが、ディークさんの言葉を聞いて表情をほころばせている。


「仕事で何回か来た事あるけど、いつみても壮観だよな」

「そうだな。お前と一緒に初めてのぼった時の事を思い出す」

「なっ、変な事思い出したりしてないよな!」

「んー? どうだかね。兄上の腰にしがみつきながら「おにいたん、こわいよ落ちちゃうよー」なんて泣いてたのなんて、思い出さないがね」

「しっかり思い出してんじゃねぇか、この馬鹿兄貴!」


 ハイネルさんとディーク兄弟のやり取りは、眺めていて楽しい。

 ディークさんと違ってちょっと距離があったハイネルさんだが、最近はこのように普段の姿も見せてくれるようになっていた。


 そんな二人を見つめるエアロが、「あいかわらず仲、いいんですね」と感想。

 先輩兵士として、最近増えた新人兵士達に物事を教えていたエアロは、その通り彼等との接点もそれなりにあったようだ。


 なんて、エアロが言えばディークがむきになる。


「なっ、そんなんじゃねーから。これ」


 ハイネルさんは、余裕の態度で冷やかしだ。


「照れるな、弟よ。お前が兄上大好きな事は、知っている。寂しかったら、いつでも大好きな兄上の胸に飛び込んできてもいいのだぞ?」

「するかよっ」


 そこに「へたな恋人同士より仲がよさそうですよ」、とエアロ。


 暇な時間に恋愛小説を読んでるらしい彼女は、呆れた様子だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ