第12話 結界
セインと話をした後に割り当てられた部屋へ向かうと、なあちゃんがかまくらからとあるペンダントをとりだした。
それは、結界をはるための物だ。
結界石でできた物だが、特別製なのでなあちゃんにも使えるらしい。
シュナイデル城での特訓の合間にゲットした品物だとか。
詳しい事は分からないが、なあちゃんにこの結界石を渡した人間は僕達を品定めしている最中らしい。
一体何のための品定めか分からないのが怖いが、その人の元へいく方法がないため正体も動機も何もかも確めようがない。
そういうわけで、そんな扱いにこまる品物を使ってなあちゃんが「ぴゃっ」と割り当てられた部屋に結界を張ってくれた。
敵地の真っただ中に来る事には危険が付き物。
「けっかいさんっ、なの!」
ペンダントがぴかーっと光って、部屋の壁とか窓が何となく光の幕でつつまれた。
出所が気になるがやはり助かる存在だ。
きちんと休める場所がなければ、いざと言う時にろくに戦えなくなってしまうし。
これで、不埒な輩が忍び込むことはないだろう。
出かけるときは結界をしなければならないため、入室するたび危険物がないか確認しなければならないが。
なあちゃんの活躍を見たエアロが、感心しながら窓や壁を見つめている。
「もう何度も見てますけど、すごいものですね。大魔導士様たちと同じような事がでいるなんて」
それに同意するのはディークさん。
「ほんとだよな。なあ様一体どうやってこんなすごい物手にいれたんだ?」
「ふぇ? あげるよって言ってたの。だからもらったの」
「まあ、貰い物はたいていそうだと思うぜ? そうじゃなくて」
しかし、出所を聞こうと思っても相手がなあちゃんだったので、話が進まないようだった。
護衛組は盗聴器や危険物がしかけられていないか調べはじめた。
だが、それも慣れたもので数分で終わる。
そんな中、光につつまれた扉を見ていて姫乃が、視線を外しながらハイネルさんに話しかけた。
「こんな事して怒られないんでしょうか」
「相手は結界の事を知らないはずですから、大丈夫でしょう。万一知られるとしても、それはもうしばらく後の事かと」
結界の存在は最近明るみになったもの。扉の内側に張っているため、勝手に入ったのではなければ、気が付かれる事はまずないだろう。
結界席を人目に付く場所で使ったのは、数回しかないため認知されるまでに時間がかかるはずだった。
漆黒の刃などは知っているかもしれないが、仮にそちら経由で情報を得ていても表立って口出ししてこないだろう。
結界の事を知っている、という点は漆黒の刃との繋がりにおわせてしまうから。
一息ついたところで、姫ちゃんが提案。
「じゃあ、イフィールさんや未利と連絡をとろう」
「だねー。どうしてるかなー」
「なあもお話ししたいの、未利ちゃまもイフィールさんも心配なの」
彼女はそういって、魔法を行使。
手元に四角い画面のようなものが出現した。
水かがみに似ているけど違う。
あちらは水だったが、こちらは光。
形も丸ではなく四角だ。
画面には文字がうちこめるようになっている。
PCのキーボードがめんのような表示があるから、そこに指をむければ入力できる仕様だ。
遠く離れた人ともこれで会話ができるようになっている。
それは、チャット画面だった。
「報連相を徹底したいって方針だったけど、まさかこんな方法で解決するとはねー」
これが、サテライトを打ち上げた影響の一つだ。
この世界で、なぜかチャットができるようになってしまった。
他の一般市民もできるらしいが、使い方が分からないため、まだ利用されていないらしい。このチャットの存在自体は、大助かりなのだが、仲間の所業がなかなか大ごとすぎて怖い。
異世界の住人をまるごとのみ込んでるくらいだから、できてあたりまえとか?
チャット画面に指を向けて、到着の報告をしていた姫ちゃんが声をあげる。
連絡がついたっぽい。
「聞いてた通り、イフィールさんの経過は順調みたい。未利は、セルスティーさんの手伝いしてるって」