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Fish  作者: 真田奏
2/14

さかなと枝毛

 お腹は温かく、背中は寒い。私は目が覚め、自分が少なくてもベッドの上にいるのではないということに気づく。少しは期待していたのに。隆行さんが家まで運んでくれることを。でもそれは泡と消えた。

 さっきと同じ匂いがするのでよく意識を集中させると、体が微妙に縦揺れしていて、小刻みな振動を感じる。誰かに背負われているみたい。だけど妙に視線が低い所にある。「風景が変だ」と思った。でも、当然だった。私は冬実に背負われていたのだ。

「な、何だお前?」

 率直な意見。

「おっ気がついたぁー? もうすぐ真樹ちゃんの家ダス」

 冬実は相変わらず笑っていた。

「いや、だから、何でお前が私をおぶってんだよ。隆行さんは?」

「やっぱさーさすが元・お医者さんだよねーパパっと縫っちゃってさぁー出血のわりにたいしたことないって言ってたよん! 全治二週間だって」

(たいしたことあるじゃんか)

「んで? 隆行さんはどうした?」

 私は冬実の右肩に顔を乗せ、聞いてみた。

「仕事抜け出して来たから戻らなきゃダメなんだって」

 冬実は口を尖がらせながら言った。

 あの人らしいといえばそれまでなのだけど、普通ほっといて帰るか? と思った。

「分かった。もう降ろしていいよ。重いだろうが」

 私の足は地面スレスレだ。明らかに無理がある。でも冬実は何も答えない。しょうがないので、しばらく私はそのまま冬実におぶさってやっていた。少し時間が経ち、余裕も出てきたので周りを見渡して見た。ピンクの薄汚れたゾウの滑り台があった。目の前を所々はげたオレンジのレンガ道が真っ直ぐに伸びている。さっきからすごく冷えるなと思っていたら当然で、周りは全部藍色の闇。薄暗く、じっとりとした霧が服にからんできて、よけいに寒く感じた。

「別にさあ、あそこの場所に置いといてくれたら良かったんだ」

 事実、私はあのヘルス跡の空き家で夜を過ごそうと思っていたのだ。

「ダメダーメ。あそこ、昼は誰も来ないけどぉ、夜はヤンキーのラブホに早代わりなのだー怖いんだぞーやられちゃうぞー」

 冬実は小動物みたいに素早く二,三回瞬きして言った。私はふーんそう? とだけ答える。 そういえば私はあの空き家で夜を明かしたことは一度もない。いつも入り浸っていたので、何回か泊まった錯覚でも起していたのかも知れない。

 それより意外だったのは、あの場所についての私が知らない情報を冬実が知っていたということ。私は暇な時は大抵、あのヘルスの空き家でマック食いながらマッタリとくつろいでいる。冬実といえば、たまにフラッと遊びに来るくらいで私ほど入り浸ってはいない。

「お前、なんでそんなこと知ってる?」

 変に気になったので聞いてみた。

「えーだってワタシーあそこに泊まったことあるもん」

 聞くんじゃなかった。まずいこと聞いたと思った。しかしここまで聞いたからにはあとには引けないと思って、再び質問した。

「で? 怖い目にあったんかい?」

「良くわかんないーあそこの場所ってさぁー電気もないし、夜は真っ暗なのね。で、私が寝てたら変な声がしてー声の方向に行ったらねー交尾してたのだ!」

(交尾?)

 「こ、交尾ってお前さん。野良犬じゃんそれ?」

 私は冬実の耳を引っ張った。冬実は不思議そうな顔をして、

「犬ではないよ。ヤンキーのバカップルだったもん」と言った。

「なんだ覗いてたのか。でも何でヤンキーだって分かるんだよ。暗くてよく分かんないじゃん?」

「だって髪が金髪だったもん。それくらい分かるよん」

(アホくさ)

 急激に好奇心の風船がしぼんだ。冬実にとって、髪金パツキンは全部ヤンキーらしい。まったく、いつの時代の生まれだよ。

「あっでもね、犬みたいに鳴いてたよ、すっごく!」

 しぼんだ好奇心が復活。私は冬実の右肩にまた勢いよく顔を乗り出した。

「なになに?! そんなに凄かった? そのバカップル」

 こういう話題になると素直に盛り上がってしまう私は、つくづくガキだなーと思いつつも聞かずにはいられなかった。

「スッゴイよーきゃんきゃん!」

 と冬実は舌をぺロッと出すと両手を招き猫みたいに動かした。

 私はさっき冬実が言った交尾という言葉を思い出し、生ナマしい物を想像してしまい、自分の耳が急速に熱くなっていくのを感じていた。

「でね、あんまりうるさいからさぁー周りに落ちてたガラスの破片とか、コンクリとか投げ込んでやったのだ。そしたら、ギャーとか言って、違った声で鳴いたの! おもしろかった!」

メチャクチャやりやがると思った。これは別の意味で凄いお話だ。 

「お前、善良な野外プレイヤ―になんてことを。人間失格だぞ!」

冬実の頭を軽くこづく。冬実はただ笑っている。

 私はいつしか傷の痛みを忘れかけていた。この身動き一つとれない、情けない状況にムカついてはいたのだけど、冬実に身をまかせるしかない現在いまや、くだらない会話に安心めいたものを感じていた。一時的ではあるけど、今私は冬実という存在に逃げて自分を癒しているのだ。認めたくはない。認めたくはないのだけれど。



 次第に周りの景色がくっきり鮮やかになってきた。夜の終わり。朝の始まり。

公園の中道を抜けたら、二階のない古い家ばかりが見えてきた。家も近い。まばらではあるけど、通勤通学、人通りも増えてきた。

 私と冬実はちょっとした有名人になる。必ずと言って良いほど、みんなこちらの方をジロジロ見ながら顔面カメラを私達に固定したまますれ違って行く。確かに変な光景だろうなとは思った。他人から見れば小さな少女が足に包帯を巻いた自分よりも大きなこ娘を背負い、こんな早朝にもかかわらず、テクテク笑いながら歩いているのだから。

(こいつ体力あるなー)

 私がヘルスの空き家に転がっていたのが夜の九時、十時くらいだったので、あれからもう八時間は軽く経過していることになる。少なくてもあの場所からここまで歩いて一時間くらいはかかるはず。そう考えると冬実は私をおぶったまま、かなりの距離を歩いているわけで、たいした小娘だと思った。バカだけれども。

 さすがに恥ずかしさも手伝って私は「もう良い。降ろせ! 家もすぐそこだし」と言った。少しは冬実の疲れも考えてやったのだ。でも冬実は小さな体を縦に揺すって飛び跳ねるように私を深く背負い直すと「真樹ちゃんは心配しないでお姉ちゃんにまかせなさーい!」と言って急にスピードアップして歩き始めた。

(お姉ちゃん?)

 私は力が抜けた。で、津波のように込み上げてくる笑いを我慢するのに必死だった。冗談?冗談だとしたら、ヒット。めちゃヒット。笑える。私は年齢よりも上に見られることが多いのだけど、それを差し引いても、絶対、私の方が年上に見えるに決まっている。それなのに、こいつが私のことを妹だと感じる時があるのかと想像すると最高にオモロイ。

「ひひひ! お前バカじゃねーの? バーカ!」

 私は後ろに反り返りながら、おもいっきり冬実の頭をはた叩く。

――冬実の動きが急に止まった。

さっきまで順調に流れていた周りの景色が急に止まる。私は冬実の背中にぶつかると振り子のように大きくバウンドし、後ろへ倒れそうになったので、私の足を抱えている冬実の腕を掴もうとしたのだけれど冬実はいきなりその手を離してしまった。

「うっ!」

 一瞬、呼吸が止まる。私は背中からおもいっきりアスファルトに落ちてしまったのだ。体中に電気が走った。おっさん風に言うとエレキが走った。空がクルクル回っている。

「ナニ急に止まってんだよ! 殺すぞコラ!」

 私はミュールを脱ぐと冬実に向かって投げつけた。ミュールは冬実の背中に当たって落ちる。冬実は何の反応もしない。背中を向けたまま。

(やば、もしかして怒ってる?)

 血が登った頭が急に冷えた。今、この状況で冬実にキレられたらと思うと、ぐっと体温が下がった。漫画なら私の顔には何本もの縦の線が入っているに違いない。

 冬実が振り向いた。いつものように笑ったまま私の白いミュールを持つと、立ち上がれずにいる私の方にテクテクと歩いてきた。とりあえずキレてはいないなと、少し安心していたら、また急に目の前が真っ暗になった。今度はロンTをかぶせられたわけじゃない。まだそのほうがマシだった。

 目から火花なんていうのはまさにこのこと。こめかみがきしみ、頭の中で、丘の上の教会な感じの鐘が鳴り響いている。声もでない。

冬実は私の頭をハンマーのように殴りつけたのだ。ミュールで。冬実は私の顔ギリギリまで自分の顔を寄せると、

「ついた」と言って左を指差した。そこは三階建て。黒ずんだコンクリートの。私は頭を殴られたせいもあるけど、しばらくボーとしてその場に座りこんでしまっていた。冬実は笑いながら私を殴ったミュールを私の頭上に乗せると、「ギャラに不満のあるバカ殿」と手を叩いて笑った。

 ホント、私は疲れている女。冬実は疲れる女。

「フフ」

 力が抜けていく。あきらかに楽しくて出た笑いじゃない。脳がおかしくなって溶け始めただけ。不思議とイラついた気持ちはもうない。

「じゃっね!」

 音を短くサヨナラを言うと、冬実はテクテクと帰って行った。冬実は普段から猫背だけど、帰っていく後ろ姿はいつにもまして猫だった。心なしかフラついている。やっぱ疲れたみたい。

 少しづつ車の排気音も増えてきた。同時に窓を開ける音や電車の騒音など、私にとってはうっとうしい生活の音が交差し始めている。

そろそろ今日が始まるらしい。望みはしないのだけれども。



 また目が覚めた。自分のベッドの上。頻繁に目が覚めるようになってきた。退屈も感じ始めている。体が回復してきた証拠。足を刺されてからの数日間は本当に眠った。死んだように。いや、軽く死んでいたのかもしれない。冬実に送ってもらったあの日、部屋にたどり着くまでがまた大変だった。私の住んでいる所は一階が昔、診療所だったのだけれど、現在いまは玄関ごと封鎖されている。だから二階にある自分の部屋へ入るには外の階段を使わなければいけない。 

 これが辛かった。冬実が帰ったあと、またミミズみたいに這って階段を上がり、二階のドアまでたどり着くのに三十分はかかってしまった。その日私はピンクのタンクトップにブルーのライトチェクのスカートだったのだけれど、タンクトップの方は汗と、六月ということもあってグショグショに濡れちゃってるし、スカートはというと、血で汚れ、這って階段を上がったせいもあって腰の所までめくれ上がっていた。

 刺された日からどれくらいたったのかな? 私はずっとベッドにいた。朝か夜かはブラインドから差し込む光の加減で判断していたのだけど、梅雨時なので昼も暗い時が多く、正確性には欠けた。何度か眠りに落ちて、何度か目が覚めると、その度に包帯が新しくなっていた。私が寝ている間、隆行さんが変えてくれていたらしい。キュッと強く締まった新しい包帯の感触が、ボーとした意識の中で妙に心地良かった。

 ベッドの横には濡らしたタオルが置いてある。これで体を拭けということらしい。私はこれがかなり嬉しかった。精神的や肉体的に色んなダメージを負ったのだけど、何よりもこのベトベトする体がもっとも嫌だった。髪もバサバサ。ホントにヤダ! と思った。でも唯一、意味が分かんなかったのはコンビニのレジとかによく置いてある一口羊かんがベッドの横に山のように積んであったこと。それも全部、梅味。私は甘いものが嫌いなのでそれには手をつけなかった。

 結局私は傷が治るまで、裸で足に包帯を巻いただけのスタイルで、水ばかり飲んでいた。

(まあ、良くなってると思っていよう) 

 さらに日が経ち、雨の日などには少し痛む程度まで、傷のことを忘れている時間が長くなってきた。私の復活も間近。全治二週間くらいと聞いていたので、歩けるようになったということは、当然二週間以上は経っているのだろうと思っていた。だけど、リビングのソファに投げ出されていたスポーツ紙の日付を見ると私が桜子さくらこから刺された日から、まだ一週間ちょっとだった。隆行さんの性格からして古い新聞をいつまでもとって置くようなことは絶対にしないので、この新聞は古くても昨日か一昨日くらいの物。そうなると私は普通、二週間かかる傷を一週間で治したことになる。もしかしたら隆行さんが私を大人しくさせておこうと大袈裟に言ったのかもしれないし、冬実が適当なことをほざいただけなのかもしれないけど、 私は妙に嬉しくなった。

(うーん超人かも!)

 私は両腕を組んで軽くマッチョポーズをとった。でーも、リビングの窓ガラスに映った自分の素っ裸は極めてバカっぽかったので、すぐに冷め、そさくさとシャワーを浴びることにした。

(あぁー最高かも)

 私は一週間ぶりのシャワーを浴びるとお湯を止め、お風呂場の白い壁に寄りかかってそのまま座り込む。横幅十センチちょいくらいの小さな窓から光が真っすぐに伸び、私の胸を照らしていた。

(ペンキをかけられた透明人間)

そんな感じ。電気を点けていないので私の胸だけが暗いお風呂場の中でぼんやりと浮かんでいる。

 私は手で重さを測るように左の乳房の下に手を添えると、軽く上下させてみた。

胸が膨らみだしてから一時期、私はいつも同じ質問を自分の胸に向かってしていた。

(オマエ、ダレ?)答えは決まって同じ。

(ワタクシハ、メスデス。キョウカラヨロシク)私の感想も同じ。

(キガエニクイノデ、ヒッコシヤガレ)

 この隣人はいまだに引っ越す気配はない。

(なんか音、してんな?)

 私がしばらくボーとしながら風呂場のタイルに座り込んでいたら、どこからかガラスの割れる音がした。続けざまに同じ破壊音が二、三発続く。すぐにリビングの方からだと分かった。なぜならこの家、正面以外は他のビルに囲まれていて、何かを投げて確実に割ることのできる 窓なんてのはリビングの窓くらいなのだ。

 私はまずシャワーの水を頭からかぶって気合を入れた。だいたい犯人は分かっている。こんな遠回しなやり方をする奴は桜子か栄子くらいしかいない。あの枝毛女、本当に陰険な奴ら。

 私はしばらくお風呂場に隠れていることにした。裸なのは気にならないのだけど、のこのこ出て行って桜子や栄子(えいこ)日頃、つるんでいるバカどもが乗り込んで来ていたら面倒。それならここに隠れて、近づいてきた奴を不意打ち的にぶっとばし、その後はすぐバックレるとかしてどこかに隠れちゃえば良い。そちらの方がずっとスムーズな方法だと私は考えたのだ。

(邪魔くさいぞ)

 濡れた髪がうっとうしい。スッと手でオールバックのように後ろへまとめあげて、お風呂のドアへ寄りかかるようにして外の様子に耳をすます。――物音一つしない? 外から車の音がするくらい。無駄無音の時が過ぎる。体についた無数の水滴も丸い形を崩して流れ落ちる。

 さすがにイラついてきたので、少し外の様子を見てみようかと思った瞬間、キーンと空気を切るような音が連続した。その後、何回か鼓膜を突き破られそうな音、とても乾いた音がした。

(花火か爆竹)一瞬にして興醒め。

「フぅー」

 ガッカリ。陳腐なやり口。私はお風呂から出た。思ったとおり人の気配はない。煙が部屋中に充満していたので、すぐまたお風呂場に戻り、もう一回頭から水をかぶって考えをまとめる努力をした。

 桜子に刺された日、私は怒りが体中を駆け巡り“絶対に殺す”と固く心に刻んだのだけれど、時間が経つほどに“どうでもいいや”と思うようにもなっていた。もちろん日々傷は痛んでいたし、自由にならない足にムカついていたのも事実なんだけど、でも、桜子にリベンジするということは、あきらかに桜子のペースに自分が合わせているということで自由じゃない。 あんな枝毛女のために、自分の貴重な行動力を行使しなければならないなんて最悪だと私は感じ始めていた。

 バスルームからキッチンに出て、一面煙で真っ白な部屋の中を手探りで歩く。登ったことなんてないのだけれどチョモランマのてっぺん、雲の中を泳いでいるみたい。

 おっ大丈夫じゃん? 目も十分開けていられる。思ったよりひどくないんじゃない? 何か燃えている分けでもなさそうだしと私は安心していた。風が吹き込んでくるまでは。

「うっ。この臭い」

 花火の途中で風向きが変わって、煙をモロに顔面へ浴びてしまうことがあるけど、そんな時と同じ臭いがした。

(せっかく洗ったのに髪に匂いがつくのは嫌だな)と思いつつも、リビングに行ってみた。

「わぉ」 

 私は思わず腕組みしたままリビングの壁に寄りかかる。飛び散ったガラス、焦げた壁、窓からは閉まっているのに風が入ってくる。つまり割られていた。まるであのヘルスの空き家みたい。

(でも、これはこれで良いかも)

 私の好きな場所に似てしまったせいか不思議と腹は立たなかった。

(隆行さんには怒られるかもね)

 そう考えると少し憂鬱になったけど、まあ、気を取り直して少しリビングを探索してみる。予想通り、ロケット花火の抜け殻が床のいたる所に転がっていた。私は他人事みたいにカーテンなんてなくて良かったなと一人肯く。

 部屋はリビングといっても家具らしい物はソファくらいしかなくてテレビもない。じゅうたんも敷いていない。窓にはカーテンさえない。実に超シンプル・イズ・ベストなリビングなのだ。そのおかげで燃え移る物がなく火事にならなかったのだけれども。

「バラバラぁー」

 私は膝を突かないようにしてその場にしゃがみ込み、床に散らばったガラスの破片を眺めた。それぞれの破片にタオルを首にかけただけの私がいる。頭、胸、足、腹、それぞれのパーツがバラバラに映っている。私はその中にある、顔の映った正面の破片を掴むと、おもいっきり握り締めた。

「ギギ」

 左手の中が燃えている。歯がきしむ。汗が吹き出る。

(まだダメ、足りない)

さらに強く、左手を握り締めた。赤い蛇が左手を這うように流れ、床に降りてゆく。脳内でカチっとスイッチが入る音がした。私のメーターは振り切れ弾け飛ぶ。

「アァー!」

 壁に向かっておもっいっきり破片を叩きつける私。真っ赤な欠けらがリビングに舞う。

「よし! 着替えよっと」

私らしくなってきた。気合は入っているけれど、頭の中はパサついている。静かだ。大変よろしい。

 どうやら穏やかにれそう。桜子を。



ちょっと長めですが、お付き合いください

感想などありましたらうれしいです。

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