第63話 ある母娘のやり取り
今回は二話連続の更新となります
帝国城塞・帝国軍本部司令室。
「失礼します」
「どうしたのですか? 今日ここに貴女を呼んだ覚えはありませんが」
「申し訳ございません……ですが、どうしても母上にお訊ねしたいことがっ!」
「閣下、ここではそう呼ぶようにと言い渡しているはずですが」
「……申し訳ございません、閣下」
「それで、私に訊きたい事とは?」
「はっ! 先日の弟セイランと一堂弥生の一件について、どうか私にも事の詳細をお聞かせ願いたいのです!」
「……貴女の言う一堂弥生とは、一堂伯の孫娘のことを言っているのですか」
「? はい、その一堂弥生ですが?」
「それで、セイランとその娘が一体どうしたというのです」
「な、何をおっしゃっているのですか? 二人は結婚を……将来を誓い合った仲で――」
「――そのような事実は存在しません」
「!!」
「セイランとその娘は赤の他人です。私から言えることは以上です」
「…………この話は、セイランは既に納得済みなのですか?」
「納得するしないの話ではありません」
「そんな……!」
「セイレス。貴女が今述べたことは我が帝国にとって不要な虚構であり、必要な現実ではありません。貴女も皇族なら理解しなさい」
「……」
「もうこれ以上話すことはありません。私は忙しいのです」
「……失礼いたしました」
パタンと閉じられた扉の音は、ひどく乾いたものだった。




