第154話 任せていいか
ソシスト共和国、都市部の西に広がる草原エリア。
ここには常に十人を超える防衛隊と、複数のDランク以上の冒険士が配置されている。
最前線の中でも、とりわけモンスターとの戦闘が多い激戦地だ。
ここに配置された者は、息つく暇もなく押し寄せるモンスターを撃退しなければならない。
美しかった草原はもはや見る影もなく、大量のモンスターに踏み荒らされた芝地には、草と血の匂いが混ざった激しい戦いの跡があった。
「手伝ってもらってすまない、カナデ」
「気にするな。夕食前にいい運動になった」
カナデは刀を鞘に納めながら、盾を片手に身につけたまま近寄ってきたハヤトに返事をする。
本日第三波となるモンスターの群れを撃退したばかりだが、二人の顔に疲れは見えない。
前衛のツートップとも呼べるハヤトとカナデが、同じ持ち場につくことはほとんどないのだが、他の人員を休ませたいと、ハヤトが一時的な措置でカナデとマイの姉妹を呼び出したのだ。
「それよりも、こちらの方こそ妹を勝手に帰してしまって……申し訳なく思っている」
「いや、マイを帰したのは正解だぜ」
言いつつ、ナッツがリザードマンの骸からナイフを引き抜く。
そばで討伐したモンスターの種類をチェックしていたバッシュも、少し困った顔で頷いた。
「そうね。マイちゃん、ひどい顔色だったわ。あれは寝れてないわね」
「……実を言うとそうなんだ」
カナデは暗い表情になった。今やエース級の活躍をするカナデは、どの防衛ラインでも引っ張りだこだ。そうなると、必然的にコンビを組むマイの戦闘も増える。もともと才能はあっても戦うこと自体が好きではないマイにとって、それは多大な負担となり、碌に睡眠もとれないほど肉体的にも精神的にも参っていた。
「せめて花村さんとパーティー登録をしていればな」
「それは言わないでくれ……」
カナデがさらに暗い顔をして肩を落とす。
今ハヤトが言ったことは、カナデ自身も何度も思ったことだ。
「耐久値が三倍。これだけでもスゲーのに、強化がほぼ丸一日続いて範囲が西大陸全土って、ありかよ」
「寝て起きたらレベルが上がってたのもビックリしたわ。あんまり現実味がないから、最初はまだ夢の中だと思って二度寝しちゃったもの」
「こら、個人情報をペラペラ喋るな。それに、いくら花村さんの特性が規格外で、パーティー登録をすれば経験値が四六時中入るからといって油断は禁物だぞ」
「あの、もう、そのあたりにしてもらえないか」
追い討ちをかけられる毎にカナデの表情がどんどん沈んでいく。これでモンスターと戦っている時は生き生きとしているのだから、銀の翼の三人も思わず苦笑してしまうが、本人にとっては笑い話ではないのだ。
「事情を話してここにいる全員で頼めば、彼ならもう一度パーティー登録をしてくれそうよね」
「それはできればやめてほしい。花村さんにこれ以上甘えるのは駄目だ。マイを説得する時間もない」
この場合の説得とは、マイ自身に頭を下げさせて天にパーティー登録を申し出る、という意味だ。
冒険士に限らず、パーティー登録を断る、断られるはよくあることだ。
だが、一度パーティー登録を断った者同士で再度登録するケースはほとんどない。
断られた相手に何度もパーティー登録を申し込むのはマナー違反であり、断った相手がレベルの優劣などを見て簡単に手のひらを返せば、これもまた恥知らずな行為とみなされるからだ。
それでもパーティー登録をする場合は、一般的に断った側から頼むのが道理であり、マイが真摯な姿勢で相手に伝えなければならない。
現状まったくと言っていいほどその気がないマイをカナデが説得し、銀の翼のメンバーも付き添いで頼みに行くというのがバッシュの提案である。
「俺は絶対に嫌だぞ。そんな特典目当てみたいな理由で、パーティー登録を頼めるものか」
「マリーにもさんざん釘を刺されたからな。あいつ怒らせたら怖ェーの知ってるだろ。つーわけで、その案は却下だ」
ハヤトとナッツから色よい返事は得られなかった。バッシュは太い小指をぴんと立ててまた思案する。
「そうなると何か別の方法を考えたほうがいいわね。例えば、ここにいる誰かとカナデちゃんが一時的にペアを組んで、マイちゃんを休ませるとか」
「……実はそれに似た提案をしたのだが、お姉ちゃんの隣に自分以外の誰かがいたら死ぬと泣かれた」
バッシュが思わず口元を引き攣らせる。話を聞いていたハヤトとナッツも、すっと顔を逸らした。若手のホープであるカナデとマイが、お互いに重度のシスコンなのは、ソシスト支部では有名な話である。
「おい、お喋りはその辺にしとけ」
ナッツが無造作にナイフを構える。
他の三人はそれだけで十分伝わった。
草原を揺らす、敵意に満ちた足音。
押し寄せる熱気に、身を切る寒気すら覚える。
「……こいつは、今日一番のが来たな」
小声でナッツが告げた直後。
夕日に染まった草原を闊歩する大群が現れた。
しかもその多くが中型、大型の魔物ばかりだ。
さすがに援軍を呼んだ方がいいか。
目配せし合う四人をよそに、平原の彼方から無音の拳が疾る。
群れの先頭にいたハイオークが倒れた。
それを皮切りに。
次々とモンスターの目から光が失われ、みな眠るように倒れていく。
ナッツとバッシュはひどく困惑したが。
戦場に似つかわしくない、こんな静かな決着を。
カナデとハヤトは知っていた。
「「花村さん!」」
二人は嬉々としてその名を呼ぶ。
夕日の向こうから、Tシャツを着た地味顔の青年が歩いてきた。
「元気そうで何よりだ」
最初の頃とは幾分かフレンドリーな態度で、天はハヤト達を労った。
◇◇◇
パチパチと焚き火の心地よい音が草原に流れる。
闇を照らす火を囲む冒険士達の中に、天はいた。
「余計な世話とも思ったが、手を出させてもらった」
「いえ、俺達も疲れていたので助かりました」
ハヤトは出来立てのスープを手早くカップに注ぎ込むと、それを差し出した。
天は軽く会釈で礼をして、辛い香りの湯気が立つカップに口をつける。
「うまいな」
「良かったです」
嬉しそうに天の世話を焼くハヤトを見て、ナッツとバッシュは苦笑するしかなかった。
出会った当初はあんなに嫌っていたのに、まったく変わるものだ。
ハヤトは天と会話をしつつ、ごく当たり前のようにカナデやナッツ達にもスープを取り分けていく。これも少し前の彼なら考えられない行動だ。
「いい変化だな」
「ええ、いい変化だわ」
自分達のリーダーの成長を見て、年長者の二人は堪らず微笑んだ。
死闘を乗り越え、良き師と出会い、これからどれだけ成長するか楽しみである。
無論それを直接言うのは野暮というものだ。
「話がある」
天の一言で、場に静かな緊張が走る。
焚き火を囲む銀の翼の面々とカナデは、暖かな湯気が立つカップを持ちながら天に注目する。
「今朝方、マウントバイパーを狩った」
カナデの細い指が危うくカップを落としかける。他三人の男衆は辛うじて動揺を抑えたが、天の言葉にショックを隠しきれないのは同じだ。
蛇型の準災害級モンスター。その危険度はハヤト達がこれまで戦ってきたどのモンスターより上だ。
「ついにBランクモンスターまで出てきたか……」
カナデは独り言を呟いて、ゆっくりとカップに入ったスープを口に含む。それは自分を落ち着かせる作業にも見える。
「うすうす気づいてると思うが、今回のスタンピードは自然発生したものじゃない」
「……やはり、そうなんですね」
ハヤトが天の話にどこか納得がいったような顔をした。他の者達も反応は似たようなもので、衝撃的な内容にも拘らず誰も驚いていなかった。
「いくら倒しても減らねーわけだ……斥候隊からも毎日モンスターの目撃情報があがってくるしよ。いい加減、黒幕の存在も疑うわな」
「シスト会長が不在の時に、たまたま国がモンスターの大群に襲われるなんて、よくよく考えるとおかしな話よね」
「……私は初めから、この騒動の裏に悪意の匂いを感じていた」
ナッツ、バッシュ、カナデの順に発言する。もともとここにいる者達は全員が実力者だ。この程度は想定の範囲内である。少なくとも、天の話の続きを聞くまではそうだった。
「黒幕の正体はまだ分からないが、そいつが何者かは分かる」
天は焚き火に枯れ枝をくべながら、その炎をじっと見つめて告げたのである。
「邪教徒だ」
焚き火が激しく揺らめいた。冷たく乾燥した夜の空気に、複数の息を呑む音が響く。この世界では誰ものが見て見ぬふりをする正真正銘のタブー。良識のある者ほど、その名は口にしない、口にしてはいけない。
「は、花村さん、それは……」
「邪教徒の高位使徒は、モンスターを召喚できる」
しかし俺には関係ない、そう言わんばかりに、天は話を続ける。カナデが何かを言いかけたが、ハヤトが彼女の肩を掴んで首を横に振る。代わりに口を開いたのはナッツだ。
「……仮にその話が本当だとしてだ。そうなるとその黒幕野郎は、モンスターを無限に生み出せるってことか?」
「それはない」
天は断言した。
「いくら邪神の使徒でも無から有は生み出せない。それはもう三柱神の領域だ」
「なんつーか……お前さんが言うと重みが違うな」
ナッツが冷や汗をかきながら言う。普段はおちゃらけた彼でも、やはり相手が英雄だと緊張が隠せない。助け舟というわけでもないが、口達者のバッシュが相方の代わりに会話を引き継ぐ。
「その口ぶりだと、他にも根拠があるのかしら?」
「今になってBランクのモンスターが出てきた。これがいい証拠だ。制限がないなら、初めから使ってる。おそらく親父殿が帰ってきた時に備えて、主力を温存してたんだろ」
「納得できる話ね」
ぴんと小指を立てて、バッシュが微笑した。話の内容もそうだが、バッシュは天との会話になんとも言えぬ心地よさを感じていた。どう見ても似合わない仕草や言葉遣いをするバッシュに対し、天はあくまで自然体で接している。気味悪がられるでもなく、面白がるわけでもなく、哀れむでもない。ただそれが自然なことだと受け入れてくれた。彼と話しているだけで分かるのだ。こんな風に接してくれたのは、相方のナッツを除けば初めてである。
「温存していた主力を使った、ということは……」
カナデが何かに気づいたように、凛とした声を震わせる。天は一つ頷いて、その先の言葉を引き継ぐ。
「敵もなりふり構っていられなくなった」
静まり返った夜の草原で、焚き火の爆ぜる音がやけに大きく響いた。
「俺達は何をすればいいですか?」
ハヤトがまっすぐ天を見る。焚き火の灯りが照らす若きリーダーの顔つきは、すでに腹は括れていると言わんばかりだ。
「足止めを頼みたい」
天は言った。
「現状、今あるこちらの戦力でBランク以上のモンスターに対処できるのは四人だ」
そこに天が含まれることと、自分達が含まれていないことは、ハヤト、ナッツ、バッシュもすぐに分かった。
「仮にまたBランクモンスターが出たときに、その四人が近くにいなかった場合、都市部への侵入を阻止するチームが必要ということですね」
「そこまで出来なくても、奴さんの進行を遅らせるのが俺らの役目ってことだ」
「相手が大型モンスターになるだけで、やることはあまり変わらないかしら」
「付け加えるなら、市民や他の冒険士達が逃げる時間を稼いでほしい。足止めは最長で三十分。それだけあれば、俺が必ず駆けつける」
ハヤトの体がぶるっと震えた。英雄の頼もしい言葉に勇気とやる気が湧き上がる。
「足止めは任せてください!今の俺達なら、決して難しいことではありません。ナッツやバッシュはもちろん、カナデも頼りになる仲間ですから!」
「……」
威勢よく意気込むハヤトの隣で、カナデは思い詰めた表情で俯いている。そんな彼女に天は言った
「渡したいものがある」
そして腰に下げた皮袋から、五つの魔石を取り出した。
「これは……?」
「マウントバイパーの魔石だ」
受け取ったカナデが危うくそれを落としかける。天は素知らぬ顔でハヤトやナッツ達にも魔石を手渡しながら説明を続ける。
「もとの魔石を十分の一にしたものだが、状態は最良だ。その大きさでも、それなりの戦力アップは見込めるはずだ」
「……とんでもないもの、サラッと出したわね」
「もちろんタダじゃない。魔石一つにつき100万払ってもらう」
「いや、安すぎだろ」
バッシュとナッツは、軽口を叩きながらも手に置かれたそれから目が離せなかった。
闇夜に溶けこむ濃い紫色の魔石。
それは確かな存在感を持って、その内に秘めた魔力の波動を周囲に放っている。
「今すぐお支払いします!」
「その必要はない」
ハヤトが魔石の代金を払おうとすると、天が手を前に出して止める。自分で払えと言っておきながら矛盾した行動だが、天の話にはまだ続きがあった。
「今回のスタンピードに関わった全ての冒険士と協会職員に、親父殿から特別報酬が支払われる。魔石の代金はそこから引いておく」
「そいつは景気がいいな。了解だ。この魔石はありがたく買わせてもらうぜ」
「ちょっと待って、全ての冒険士に報酬が支払われるならノボルとチエ……後方で働いてる子達も貰えるのかしら?」
「もちろんだ。前線、防衛組には1000万、後方支援のメンバーにも500万の報酬が支払われる。できればこの話を仲間内で伝えてほしい」
「任せてください。士気が低ければ勝てるものも勝てませんからね。これは追い風になりますよ」
男たちの陽気な声が焚き火の周りを飛び交う。まるで遠くに聞こえる祭囃子のように、カナデはぼんやりと耳を傾けていた。そんな彼女に、天は最後に残った五つ目の魔石を渡した。
「これは君の妹に渡してくれ」
カナデは大きく目を見開いて、その声の主を見た。
「花村さん……!」
「俺からと言わなくていい」
天はカップに口をつけ、それから言った。
「最前線で戦う冒険士達に、シスト会長から支援があった。彼女にはそう伝えてくれ」
「お心遣い、本当にありがとうございます……!」
カナデは感動に打ち震えながら感謝を述べる。受け取った二つの魔石を大事そうに懐に入れる少女の姿を見て、ハヤトやナッツ達も安心したように、それぞれが魔石を仕舞い始める。
「それとなんだが、この中にミンリィという冒険士と親しい者はいるか?」
天が訊ねると、ナッツが軽く手を上げた。
「多分この中だと、俺が一番親しいと思うぜ」
「そういえば、昔ミンリィちゃんにナイフを教えてたって話してたわよね?」
「本当に少しの間だけだがな。ああ見えて素直だから飲み込みが早かったぜ」
バッシュの言葉に、ナッツは昔を懐かしむように目を細める。
「まあ話が逸れたが、今でもたまに家に呼んで食卓を囲むくらいには親しい関係だぜ」
「なら、これを彼女に届けてほしい」
天が無造作に投げたそれをナッツが片手でキャッチする。ニヒルな顔を思いきり引き攣らせて、ナッツは手の中のそれをいちおう確認する。この流れからすると、それはやはり、マウントバイパーの魔石だった。
「……まあ、いーけどよ。あんたが直接渡すのはダメなのかい?」
「それだと、おそらく彼女は受け取らない」
「どうして?」
「なんというか、俺には前科があってな……」
天はぽりぽりと頭を掻いた。無愛想な英雄が初めてみせる歯切れの悪い姿に、ナッツは思わず吹き出してしまった。
「くくく、あのちんちくりんが英雄を困らせる女になったかよ。わかった、こいつは俺が責任を持ってミンリィに届けるぜ」
「頼む」
高価な魔石をナッツに託すと、天はカラのカップを置いて立ち上がった。そのまま焚き火を囲む冒険達に背中を向ける。
「生き延びてくれ」
たった一言、けれどそれはすべてを物語る言葉だった。そしてこの短い言葉には、さまざまな感情が込められているようにも思えた。ハヤト達は顔つきを変えて強く頷いた。彼らからすればこれ以上の言づけはないだろう。
「ああそれと、Bランク以上のモンスターに対処できるのは四人と言ったが――」
天は立ち去る間際に、最後に一度だけ振り向いて言った。
「たった今、五人になった」
その直後、夜空に禍々しい魔法陣が浮かび上がる。星の光を遮るように描かれた巨大な魔法陣は、まるで世界から色を奪うかのように黒い。そしてそこから現れたのは、一体のモンスターだった。
「ワイバーンだと!?」
その姿に、誰よりも早くハヤトが気づいた。全長十メートルはあろうかという黒い巨体が、夜の空を泳ぐように迫ってくる。
他のモンスターとは一線を画す存在感に、カナデが鞘を握ったまま硬直する。
戦闘経験豊富なバッシュとナッツは、すかさずマウントバイパーの魔石でドバイザーの強化を図る。
ただそれは所詮付け焼き刃にすぎない。
ワイバーンはマウントバイパーと同じBランクのモンスターだが、飛行能力も含めればその脅威はAランクに匹敵すると言われているほどだ。
『ヴヴヴィィイイイイイーー!!』
ワイバーンが大きな翼を広げて、巨体とは思えぬ俊敏さで急降下してくる。焚き火の灯りが、相手にとっての目印となってしまった。
漆黒の亜竜が、一直線に向かってくる。
鋭い鉤爪に裂かれ、風が悲鳴を上げる。
相手は文字通りの怪物。
しかし、まるで動じていない男が一人。
女王御用達のタバコに火をつけ、ゆっくりと煙を吐き出すと――
天は夜空を見上げた。
「任せていいか」
――承知した。
真夜中の草原に、雷鳴が轟いた。
ワイバーンの仕業かと、ハヤトやカナデは身構えたが、黒焦げになったのは当の亜竜だった。
それでもしぶとく生き残っているワイバーンに怒濤の如く斬撃の雨が降りそそぐ。
まるで嵐のような猛攻に、ワイバーンは為す術もなく打ち滅ぼされてしまった。
あっという間の出来事に、誰もが言葉を忘れてしまい、辺りは静けさに包まれる。
そして……
禍々しい魔法陣が消え、月明かりが照らし出したのは、美しい銀色の髪をした一人の冒険士の姿だった。
「待ちくたびれたぞ、レオ」
「遅くなった」
天がタバコを咥えて近づくと、長髪の剣士は彫刻めいた美貌を綻ばせる。二人は十年来の戦友のように拳を重ねた。その傍らで、ハヤト達はただ呆然と立ち尽くしていた。静寂の草原には闇と雷雲の名残だけが漂っている。
「本物、だよな……?」
ナッツが震える声で言った。説明はいらない。紹介も必要ない。冒険士なら誰もが知っている。その大英雄のことを――。
「これより、私も共に戦おう」
嵐の皇帝、レオスナガルの到着であった。