閑話 風間の宗教観1
俺の名前は風間壮太郎。
今日から高校生なんだが静かに普通の高校生活を送りたい。
なぜなら、俺はあの環境が嫌で1人家族から離れた場所で暮らしているんだ。
俺の父は風間聖気教という宗教を北海道で単独で立ち上げて、3万人もの会員のトップとして君臨しているのだ。
この宗教は「聖なる気を分け与え、健康で幸福な生活を」というスローガンのもと活動している俗に言うヤバい宗教だ。
その立ち上げは俺がまだ5歳だった時で5年間でかなりの人数になり、その生活に嫌になった母は俺を置いて飛び出していった。
5歳から15歳は父と暮らしていたので学校や街では白い目で見られキツイ日々だった。
まぁお金には困らなかったし、顔も幸いブスではなかったのでヒドいイジメには発展しなかったのはまだ良しとしよう。
それに俺は剣道を小さい頃からやっていて中学では全国大会決勝までいっており、喧嘩を挑んでくる人もそんなにいなかった。
そんな環境が嫌になり高校は平凡にと願っていた矢先にこれだ。
異世界って何だよ!!
放課後クラスで仲良くなった奴らと話していると魔法陣が現れ、それが爆発し、気がついたら神様がいたのだ。
最近流行っている異世界転生ものの漫画みたいになってしまったのだ。
まぁ嫌な世界だったからいいっちゃいいが心残りもある。
母に会いたい。そして父との関係もちゃんとしたい。
少しの未練もあるが異世界を楽しむことにする。
ーーーオートリアムーーー
俺はモーリス聖教国というモーリス神という神を信仰している宗教徒たちによって作られた国に生まれた。
俺の名前はカイと名付けられた。
生まれた家はあまり裕福ではない農家だったが生まれてから両親は仕事が忙しいのに優しく俺を育ててくた。
少ない食料を俺に食べさせてくれ、家族とはこういうことかと思わせてくれたのだ。
平和な生活を楽しんでいられたのは5歳になる前までだったのだ。
事件が起きたのは5歳の誕生日前日。
両親が畑仕事をしていると畑に迷い込んだゴブリンがやって来たのだ。
「グゲッ!!」
そのゴブリンは何の躊躇もなく父をボロボロの剣で刺し殺した。
「あ、あなた……」
母の足が震えている。
僕は母に手を引かれ全速で走れと言われた。
「カイ!協会に行くのよ!助けてくれ……「ブスッ」」
矢が母の足にささる。
「うっ、く……。カイいい子ね……教会にいくのよ、いって」
「はい、母さん」
母は走れなくなりゴブリンが来るのを待つのだろう。
俺はその成長してない身体で思い切り走り、教会へ向かう。
その背中を母は微笑みながら見ていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
教会が見えた。
体のできていない子供の筋肉が悲鳴をあげているがそんなの関係ない。
あそこに行かなければ死んでしまう。
ゴブリンは追ってこないみたいだ。
よかった。
ギィィィ
教会の扉を開け中へ入る。
「どうしたの坊や」
「両親がゴブリンに殺されました。助けてください。」
ガタッ!!!
「今すぐ教会騎士団に要請を!!!」
「ハッ!!」
シスターは即座に指示をだした。
「坊や安心して、ここは安全だからね。名前は?」
「カイ」
「歳はいくつ?」
「明日で5歳」
「そんな……誕生日の前なんて…。こっちへ来なさい。」
シスターは俺を抱きしめ涙を流してくれた。
俺もつられて涙が出て来てしまった。
俺も涙なんか流せるんだな。
そう思い地球の両親のことも一緒に思い出していた。
スキルです!




