賢者アークと時空魔法
過去です。勇者でてきます
「賢者なんですね……魔法が得意なんですか?」
『ああ、そうだな』この王国では1番だと自負している。』
「凄い自信なんですね。アークさん」
『ところで、お前は何者だ?ここまで来る事は並大抵の者では来れないぞ?』
「僕はロイス・ヴェスターです。よろしく」
『お前の魔力変わっているな。今までに会ったことがない。まるでこの世界の者とは違う何かのようだ。』
「あなたは魔力が見えるのですか?」
『ああ、むしろ魔力でしかお前を認識できないのだ。なのでお前の容姿はわからない』
「そうなんですね…。ところで、アークさんはここでなにやってるんですか?」
『そうだな、話してなかったな……。話そう』
ーーー約250年前ーーー
私はアーク・ルドルフだ。
この国で1番の魔法師だと自負している。
ずっとSランク冒険者としてダンジョンや秘境を旅していた。
ある時、クエストを終え冒険者ギルドに戻ってきた時にある男に声をかけられた。
それはその時代に勇者と言われていた男とその仲間3人だった。
この勇者は後にこの国アイリーン王国の王となる男だ。
その勇者が私をパーティーへと勧誘してきたのである。
勇者は魔王討伐のため力を貸してくれと言う。
私の力が欲しいみたいだが私は1人を好んでいたため勧誘を断り続けていたが、2ヶ月粘られたので私は折れてしまった。
そんなことがあり私は魔王討伐の旅へと同行することになった。
魔王はこの国の隣にある魔の森を抜け、さらに山脈を登った山頂の城にいるのだとか。
そこまで行くのは勇者たちだけでは苦戦していただろう。
なにしろ魔法をメインにしているのは私だけなのだから。
山頂に近づくほど敵のモンスターは魔法も使うモンスターが増えていったのである。
勇者は聖剣をメインに光魔法は使えるが他はからっきし、力と体力で押し切るタイプ。
あと、聖女は回復魔法は確かに凄い者だが戦力としては高くない。
屈強な戦士が1人いるが防御力に偏りすぎていて盾としてはピカイチだがそれまで。
もう1人はアサシンでこいつも隠密とトラップに偏っていて、強いのだが……残念だ。
このパーティーは私なくしては魔王討伐は不可能であった。
なんだかんだ言いながら魔王の城までたどり着き、最終決戦が始まった。
魔王と魔王の側近の魔法師VS私たちのパーティーだ。
「側近は私が相手をしよう。君たちは魔王を」
「ああ、わかった!任してくれ!!」
勇者はそう言うと魔王に突っ込んでいった。
激しい戦いは終わり、私は今足元に横たわっている側近の死体を燃やしていた。
ふと、燃えている死体の隣に一冊の分厚い本を見つけた。
それはとても古く、表紙には魔法陣が描かれていて、その魔法陣は初めて見る者だった。
少し見て見ることにした。
これは今はなき時空魔法の本であった。
私は心躍った。
こんなものが見つかるなんて!!
これは私が倒した相手の持ち物なので私が貰おう。
少し読んでいる間に勇者たちの戦いが終わったようで合流できた。
「これで世界は救われた!王国に戻るぞ!!」
パーティー全員でこの城の宝や魔石をかき集め城にあった場所に積み、王国へ帰るのであった。
「おい、勇者君…この本は側近が持っていた本なのだが倒したのは私だ。貰っていいかい?」
「ああ、もちろん!アークはそれだけのことをやったんだ!」
「ありがたく貰うぞ」
そう言って自分のバックに入れる。
王国に戻ったら私たちは英雄一行として迎えられ、勇者が王不在のこの国の王になった。
そんななか、私は時空魔法を日々研究していた。
その成果がアイテムバックや転移魔法だ。
それらを王へと献上して、金をまたひとり旅をしようと思っていた。
だが…
あの勇者………クソ王はこの時空魔法の本を私から取り上げようとしたのだ。
「あいつを捕らえろ!!裏切り者だ」
クソ王は吠える。
そして、私は捕まり王の玉座の間で跪いていた。
「お前に呪いを与える、こいつに死の宣告をかけろ!!」
宮廷魔法師団団長の闇魔法使いが前へでる。
「悪く思うな、これは命令だ」
「死の宣告」
「お前はあと1週間で死ぬ、死にたくなければあの本を渡せ」
「………断る」
「まぁ待っててやる。気が変わるかもしれないからな!」
私は本をもって逃げた。
あのクソ王のいいなりになるもんか。
そして、この魔の森の奥地の洞窟に簡易ダンジョンを作り奥で眠ることにしたのだ。
この時空魔法を正しく使える者が現れるまで。
『………と、こんな感じだ、わかったか?』
「……あ、ああ。」
『お前にやる。もうここにいるのは飽きたからな』
「いいのですか?」
『いいから貰え』
「わかりました。ありがたく貰います」
僕は時空魔法の本を受け継ぐことになったのだった。
時空魔法を使いたい。




