月を愛した猫
その「猫」は飼い猫であったが野良猫でもあった。
太陽が空に浮いている間は家の中でまったりと過ごして、月が昇る頃には夜の街を我が物顔で歩いていた。この「猫」は昼間よりも月明かりの中の散歩がとても好きだった。この「猫」の日課は飼い主を起こすことから始まる。この主は朝に弱いのでアラームがかかっても止めて寝てしまうのだが、「猫」もすぐには起こさない。「猫」は大好きな主の寝顔を満足するまで眺めてから、ぺろぺろ顔舐めて起こすのだ。すると、どういう訳か主は目を覚ますのだ。そして、笑顔で※※※※※今日もありがとねと頭を撫でながら言うのだった。主を見送ったら、「猫」は一目散に主の寝ていた寝具に向かう。目的は大好きな主の温もりと匂いに包まれながら一眠りするのである。そして、日が落ちる頃になると、「猫」は窓から外へ出て駅に向かうのだ。「猫」が駅に着く頃には月が夜の街を照らしていた。しばらく駅のホームで待っていれば、主が疲れ切った顔をしながら現れるのである。「猫」は主を見つけるとゆっくり近づいて主の、足に頬をすりすりとこすり労うのだ。すると、主は猫を抱きしめてありがとう、わざわざご苦労さまと頭を撫でるのだがそこにあるの笑顔では無く疲労感である。「猫」はひと声鳴いてまた、顔を舐めるのだ。そして、幸せそうな顔になった主と共に月夜の帰り道を行くのだった。「猫」は決まって月が出ている夜だけ主を迎えに行く。それは、主の幸せそうな顔と月が綺麗な明かりによって大好きな主が輝いて見えるからなのだ。だから、「猫」は月が好きだった。
「猫」は主を迎える時以外は夜道をふらふら散歩するのだが、その道は決まって建築現場であったり、今ももくもくと煙を出している工場であったりして、そこを通る度に哀しそうに鳴くのである。そのうち、月は見えなくなるだろう。それが「猫」にはわかるのかは知らないが……
そんな「猫」の月夜の影は何処か──
どうも。読んでくださりありがとうございます。
こんな話が見たいなんて無いですかね?まぁその通りに書ける自信は無いですが(´;ω;`)
参考にはなるのでもしよろしければお願いします((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
一応、不定期投稿者です。