時代の流れ
チクタクチクタクあるいはカチッカチッカチッっと規則正しく音だけが支配している空間に1人、作業台に向き合い1つの「時計」を直している「者」がいた。
その者はとても集中しているのか、「客」が入って来たのに気づくこと無く忙しそうに手を動かしていた。また、「客」も特に気にすること無くこの静かな空間を見て回っていた。
どれくらいの時間が経ったのだろうか、それは案外短かったかも知れない………静かな空間に突如扉を開ける音が新たな来客を知らせた。その者はあまりの静かさに少し驚いているようだった。新たな来客は「客」に何をしているのかと聞いた。「客」は「時計」が直るのを待っていると答えた。あの作業台にある「時計」は「客」の物だったらしい。何でも、歯車を交換しないといけないらしい……見れば随分と使い込まれてるようだった。話を聞いていると、やはり長年使い込んでいるようで何度かここで直してもらっているようだ。
いくらか話していると、修理が終わったと言う声が響いた。「客」は嬉しそうにされど、何処か寂しそうな表情で受け取った。どうやら、ここは都市の近代化の為に立ち退かなければならないらしく、近いうちに閉めてしまうというのだ。空間の主は、出来るならここで続けたいと言った。「客」は、時代を考えれば、あまりにも古い「時計」は必要など無いんだけどね、こういう時代だからこそ懐かしいモノが、今はもう失いつつある技術を残していくべきだと思うんだ!ってなんとも言えない表情で語った。
ふと思い出したように君は何しにここに来たんだい?と「主」は聞いたら、その者はもう用は済みましたと言い笑顔で外へ出て行った。
外である封筒を破り捨てながらその者はネオン街に消えていったのだった。
皆さん初めまして。ここまで読んで下さりありがとうございます。この、「時の欠片」は短編集となっております。誤字脱字には気を付けていますが沢山あるかもしれません。もし見つけたら教えてください。今後に活かしたいと思います。((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
ジャンルは、わからなかったです。