第2話
前回のあらすじ
後輩を庇って死んだ主人公は死後、閻魔様に日頃の善行が認められ自由に転生出来ることに!!!
自分好みに転生したまでは良かったものの
転生場所が森のど真ん中というピンチを迎えていた!?
現在の主人公プロフィール
名前:???
身長:190cm
髪:黒髪のショートヘア
前髪の長さは目にちょっと入るくらいだが
普段は前髪はオールバックにしているため日常生活に支障はない
毛量は多め
眼は赤眼
細マッチョ
第1能力???
第2能力???
第3能力???
服装:足首辺りまでの長さの黒いロングコート。デザインは所々赤いラインが入っていて腰より下の部分には赤い彼岸花の刺繍が入っている。
コートの胸辺りは黒いベルトが2本付いていてコートのジッパー代わりになっている
コートの内側は模様は無く色は真っ赤
コートの下はノースリーブの赤いジップアップジャンパーを着ていて基本的にジッパーを限界まで上げ口元を隠している
背中の部分だけ輪郭なしの狂笑を浮かべる顔の模様がある
ジャンパーの下は黒いTシャツを着ていて後ろに英語でHEII
AND
HEAVENと三段行で書いてある
前は模様無し
黒いレザーの長ズボンに膝下まである黒いロングブーツ
コートは長袖だがコートの方は袖は肘の上までまくっていて腕が見えている
手には指なしのレザー手袋をはめている
アクセサリーは胴体の無いコウモリの羽の形のネックレスを付けている。羽と羽の間には赤いルビーがはまっている
顔はちょっと目つきが怖いが美青年
それでは本編どうぞ
「うーん……俺はこれからどうすりゃいいんだ」
時刻は太陽の位置からして朝か昼、場所は大自然溢れる森。俺は1人森の中で歩きながらこれからどうするか考えていた
(とりあえず歩き回ってはいるが……人どころか動物1匹にすら遭わねぇ。てゆーか普通こういう転生系の話の展開はアニメとかでも大体街とかに転生するんじゃあねぇの!?そりゃあ転生場所指定しなかった俺も悪いけどよォ……ん?)
「……こりゃなんだ?なんかぷにぷにしてるけどなんか今にも干からびそうだな」
当てもなく歩いていると道端にドロドロの青色の液体を見つけた
「これはもしかしてスライムか?……この世界のスライムってこんな感じなのかな。俺の知ってるスライムはもっとこう、なんていうか主人公に襲いかかってくる初めての敵みたいな感じだと思っていたんだが……なんかこうして見ると可愛いな」
そうしてぷにぷにスライムをつついているとスライムがか細い声でキューと鳴いた
「ん?もしかしてこれが欲しいのか?」
どうやらスライムは俺が持っている飲みかけのりんごジュースを欲しがっているようだった
ちなみにこのジュースは俺がこの世界に来る前に沙姫に持たされたものだ
「いや、けどこれがなかったら俺の水分補給の手段が……」
と言いながらチラッとスライムの方を見るとキュー↓と落ち込んでいた(多分)
「まあ、いいか。今は喉乾いてねぇし、それにお前は干からびかけてるもんな。ほらよ」
そう言いながら俺はペットボトルのキャップを開けスライムに中身をかけた
するとスライムの干からびかけていた部分がみるみる潤いペットボトルの中身が空になる頃にはすでに元の(?)姿に戻っていた
見た目は普通のスライムだが触るとスベスベでぷにぷにしている
サイズは大人の男の拳ぐらいの大きさ
今まで見てきたスライムと違うところは生きているということくらい
「ま、生き返ったみたいで何よりだ。とりあえず俺はそろそろ行くぜ。もう日が沈んできてるし今日は野宿だろうからな。」
そう言いながらスライムに背を向けて立ち去ろうとすると
「キュー」
と鳴きながらスライムが俺の肩に乗っかってきた
「おいおいどうした?まさか一緒に連れてけ的な感じか?」
と聞くとキューと鳴いて首にすりすり頬ずりしてくる
一緒に連れてけという訳は多分正しいのだろう
「うーん……まあ、見た感じ敵意は無さそうだし、俺がこの世界に来てから初めて会った生き物だしな。よし、一緒に冒険しようぜ」
そう言って頭を撫でてやるとキュー♡と半ば叫びながらさっきよりも激しい頬ずりをしてきた
「さて、仲間が出来たのはいいとしてとりあえず寝る場所を探さなきゃな……」
だが残念ながら俺にはあまり野宿に関する知識はない
どこら辺に寝たらいいかとかはテレビでやってるぐらいの知識しかない
あまりもたついてもいられないし早くしないと辺りが真っ暗になってしまう
そう思いながら歩き続けていると少しだけ開けた場所を見つけた
「今日はここで寝るか。これ以上歩き回っても疲れるだけだしな。」
そう言いながら俺はバッグからテントと寝袋を取り出した
ちなみにこのテントとか寝袋は全て魔姫に貰ったものである
魔姫曰く沙姫が転生者を転送する際よく森などに転送してしまうことが多々あったからもしもの時にということらしい
その時はそんなまさかとか言いながら笑っていましたが見事に予想が的中しましたよ閻魔様……
「ま、今回ばかりは閻魔様に感謝だな。……よし、テント組み立て完了。……あ、そういえばお前はどこで寝るんだ?」
そう肩にいるスライムに聞いてみる
だがスライムはキュー?と鳴き頭に?を浮かべている
どうも意味が分かっていないらしい
意思疎通は微妙なようだ
「ま、何処でもいいか。それよりもうそろそろ寝ようかな。晩飯は腹減ってないからいいや。」
そう言いながら指で目を擦りながら欠伸をした
とその時何故か鉄の匂いがした
「ん?なんか手が鉄臭いな……さっきまでテントいじってたからか?」
そう言いながら手のひらを見てみると
「あ〜指から血が出てんのか。組み立ててる時に切ったのかな。全然気づかなかった。」
見ると人差し指から血が出ていた
まあ、気づかないくらい痛くないから気にすることはないなと思いながら血をバッグに入っていたティッシュで拭こうとしたその時!!!
「キュー!!」
と鳴きながらスライムが血の出ている俺の人差し指に引っ付いてきた
しかもチューチュー吸ってる!!
「おいおいお前何してんだよ!?血は食べ物じゃないぜ?」
そう言ってもなかなか指を離そうとしない
こりゃ気が済むまでほっとくしかないなと思いとりあえずそのままにしておくと1分経つか経たないかぐらいに気が済んだのか指をチュポンと離しキュー♡と鳴きながら肩に乗ってきた
「お、もう気が済んだか?全く血なんか吸うもんじゃねぇぞ。……ん?」
そう言いながら人差し指を見てみると傷は塞がっていた
「あれ、治っている?血も出ないし傷口も見当たらない。もしかしてお前が治してくれたのか?」
と聞くとキュー♡と鳴いた
これはYESと取っていいのだろうか
「……ま、いっか。もう疲れたし、さっさと寝よっと」
そう言って寝袋に入る
横になると歩き回った疲労からかすぐに睡魔がきた
すぐ近くでスライムがキューキュー鳴いている気がしたが気にせず寝た
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー翌日
鳥の鳴き声で目を覚ました
「ん、朝か。……ふぁ〜あ」
目を擦り上体を起こす
「ん〜よく寝た。ぐっすり眠ってたから疲れも取れたし今日こそ森を抜けるぞ〜」
そう意気込みながら辺りを見渡すと
「ん?なんか椅子とか机が綺麗になってるな。配置も変わってる。……もしかして昨日か今朝誰か来たのか?気配は感じなかったが……」
立ち上がり考えてみるがそれしか理由が見当たらない
机や椅子が綺麗になっている時点でまず知能が人間程にはあるというのが容易に想像出来るしそもそも動物なら鳴き声や獣臭さで俺が起きるだろう
「まあ、何かを盗まれたわけでもないから悪い奴ではないんだろうけど……まあ、いいか」
そう言いながら椅子に座る
いつもなら気味悪がるところだが状況がこんな状況だからな
それに俺以外に人間またはそれらしき生物がいるというだけで結構大きな発見だ
後はそいつと会えればいいんだが……
そう考えていると後ろから「あっ」と声が聞こえた
きっとさっきから俺が考えている誰かなのだろう
俺はくるっと振り返り挨拶しようとした
がそれはある驚きによって止められた
なぜなら……
「起きたんですね。おはようございます、マイマスター」
俺の目の前に立っていたのは人の姿をしたスライムだったからだ
〜おまけ〜
「大丈夫かな〜ちゃんと街に着いてるかな〜」
長い髪をくるくる指で巻きながら魔姫は呟く
「大丈夫だって。も〜お姉ちゃん心配し過ぎ!!」
荷物を運んできた沙姫が通りすがりに言う
「だって貴方が転送したのよ?私は何回も貴方が森とかに転送させたのを知ってるから心配してるのよ。一応キャンプセットは渡しておいたけど。」
「あれは事故だから仕方ないの!!それに今回は大丈夫よ!!いつもより気合い入れて頑張ったんだから!!!」
そう言いながら控えめな胸を自慢げに張りふんすっとドヤ顔をする沙姫
「人の人生に関わることを事故の一言で済まさないの。……それに貴方が頑張るとろくなことにならないのよね〜」
魔姫は沙姫をジト目で指差しながら嫌味を言う
言われてムカッと頭にきた沙姫は
「もう!!お姉ちゃん文句言い過ぎ!!今回は大丈夫って言ってるでしょ!!それにいつもいつも暇さえあればあいつのことばかり!!そんなにお姉ちゃんあいつが好きなの?」
そう指摘した
するとさっきまで普通だった魔姫の顔がみるみる赤くなり頭から煙が出てきた
あたふたしながら一生懸命弁解する
「べ、別に好きとかじゃないのよ!!ただちょっと久しぶりの転生者だったから気になっただけなのよ!!……そ、そういう貴女だって彼のことが気になってるんじゃないの?最近は彼のことしか頭にないってくらい彼の話ばっかりするものね!!」
と弁解しながらさりげなく沙姫にやり返す
「そ、そんなわけないでしょ!!私はほら!!あ、あれよ!!私珍しいこと好きだからさ。あんな善人久しぶりだったから今だけ気になってるだけ!!そう、今だけよ!!!」
沙姫も顔を赤くしながら必死に弁解する
今日もあの世は平和なようです
俺は夢でも見ているのだろうか
何故俺は今スライムに挨拶されているんだ
一瞬心臓が止まりかけた
しかしなんでだろう
初対面ではないような気がするんだが……あ!!
「あの〜もしかして昨日助けたスライム……さん?」
そう話しかけると人型のスライムはコクッと頷き
「はい、その通りです」
すごい淡白な反応が返ってきた
昨日はあんなにすりすりしてきた癖に……
まあいいや
「えーと、まず何故人型に?」
とりあえず聞いてみる
「恐らくそれは昨夜マスターの血を私が吸ったのが原因と思われます」
スライムは淡々と説明し始めた
まず昨日俺の血を吸ったことにより突然変異で知能が身についたこと
次に変異する前はどこにでもいるただのスライムだったということ
そして最後に……
「どうか私に恩返しをさせてくれませんか?」
命を助けてくれたお礼に恩返しさせてくれ、ということ
「え、恩返し?いや、いいよ。そんなの。別に大したことしてないし」
一応断っておいた
一応な
「いえ、そういう訳にはいきません。お願いします。どうか私に恩返しをさせてください」
すると頭を下げ始めた
「い、いや、まあ、そこまで言うなら……」
フッ……これで完璧に謙虚な人を装えたな
「そこをなんとか……」
今度は土下座し始めた
「人の話聞いてた?」
いや、もう了解したろ
「安心してください。冗談です」スッ
そう言いながら立ち上がる
「冗談かよ」
すげぇユーモア溢れるスライムだなこいつ
「まあ、いいや。とりあえず朝飯食おうぜ」
そう言いながらリュックからレトルトのカレーを取り出す
朝からカレーもどうかと思うが何を思ったか閻魔様がくれたリュックにはカレーしか食料は入っていなかった
昨日気付いた時はさすがの俺も驚いて「なんでやねん」と1人でつっこんでしまった
数分後
「いただきます」
そう言いながら1口食べてみる
うん、まあ、レトルトにしては美味いんじゃないかな
そう思いながら食べていると……
「あ、あの」
「ん、どした?」
スライムが話しかけてきた
「これは一体……」
そう言いながら自分の目の前にあるカレーを指さす
もちろん彼女の前にあるカレーは彼女の分だ
それはさっき説明したはずだが……
「ああ、もしかしてスプーンの使い方が分からないのか?」
「違います。スプーンの使い方ぐらい分かります。
そうではなくこの食べ物は何かと聞いているのです」
凄く真剣な顔で聞いてきた
「それはカレーって言うんだよ」
「それはさっき聞きました。私が聞きたいのは何故私の分があるのかということです」
そう言いながら首を傾げて本当に分からないといった顔をする
「私は水さえあれば生きていけます。なので私の分はいらないと先程……」
「おいおいスライムさんよォ。それこそさっき聞いたぜ。もちろんあんたが食べなくてもいいことぐらい覚えてるよ」
「なら何故……」
「そりゃあ、もちろん誰かと食べた方が美味しいからに決まってるじゃねぇか」
「よく……分かりません」
少ししょんぼりした顔で俯いてしまった
「まあ、今は分からなくていいぜ。これから分かっていけばいいことだしな」
そう励ますように語りかける
「まあ、それはそうとお前なんか名前考えないとな〜。ずっとスライムスライムって言うのも面倒臭いし他人行儀みたいで嫌だしな!なんか希望ある?」
「いえ、特には。そもそも我々スライム族には名前という概念がないので……」
「うーんそうだな〜……どうせ付けるなら呼びやすくかつ愛らしい可愛い名前にしなきゃな〜……あ、」
ポンッと手を叩き
「スー!!スーってのはどうだ!?なかなかいいんじゃないか?」
そう聞くとスーはちょっと嬉しそうな顔で
「……いいと思います。」
と、答えた
「っし!!じゃ決まりだな!!これからも末永くお願いしますよ?スーさん?」
「さんはいりませんよ。……こちらこそよろしくお願いします。マスター」
手を差し出しお互い固い握手をする
こうして俺に早くも記念すべき1人目の仲間が出来た
これからが楽しみだな〜
数十分後
「ご馳走様でしたっと、ふぅ〜もう腹いっぱい食ったな……どうだ?満腹になったか?」
キャンプセットの片付けをしながら聞くと
「いえ、私達スライムは胃袋が無限に近いくらいの容量なので基本的に満腹になることはありえません……ただ、何故か少し幸せな気分です」
そう申し訳なさそうにしかし嬉しそうにしながら答えた
「そうか!!なら良かった……よし、片付け終わり!!!」
「これからどうするんですか?」
「とりあえず街へ向かう。そしてこの世界について聞くんだよ」
「この世界?」
と不思議そうに首を傾げる
「ああ、いや、何でもない。じゃ行こっか」
村をしゅわ
〜おまけ〜
「そういえばお姉ちゃん、キャンプセットの中の食料って何が入ってたの?」
そう紗姫が聞くと魔のは自慢げに答えた
「もちろん全部カレーよ!!」
「なんでやねん」
誤字や脱字やアドバイスなどがありましたら
コメントで教えてください