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ソフィーとデート

 翌昼。俺はクリスに起こされた。起きるのがあまりにも遅いから呼びに来たそうだ。


「今日は昨夜のパーティーで指名した女性との懇親会があります。だから、早く着替えちゃってください」

「ああ……」


 なんだか少しクリスが冷たい気がする。やっぱり、内緒で抜け出していたことを怒ってるのかな……。

俺はクリスと一緒に来ていたメイドさんの助けを断り一人で着替え始める。


「ところで、俺は誰を指名したんだっけ? ミッフィーさんだっけ?」

「ソフィー様ですよ。忘れちゃったんですか?」

「ごめんごめん。昨日いろいろあったからさ」

「もう、ちゃんと覚えていてくださいよ。それにしても、昨日は2回も無断で抜け出して何をなさっていたんですか? 帰るなり寝てしまいますし」

「ええっと……それはもう大人っぽいことだよ」

「……大人っぽいこと……」


 顔を赤らめ、俯くクリス。男なのに意外とこういう話題の耐性がないんだな。

 それにしても、ただでさえ女の子と間違えるくらい中性的な顔立ちをしているのに、そんな反応をされるとこちらも反応に困るというか……。


 でも、ここでひるむわけにはいかない。ごまかしきるのだ。


「……言ってくだされば、そ、そういったことの手配くらい……」

「……じゃあ、クリスが相手をしてくれるのかな?」

「えっ……ええっと……」

「それとも、クリスは俺じゃ嫌かな?」

「そんなことは! ただ……僕、男ですし……」

「男だからいいんじゃないか……」


 俺はクリスに迫る。


「ええっ! ……あの……まだ心の準備が……」

「心の準備? そんなのいらないよ。ただ……お酒の相手をしてほしいだけさ」

「へ……? お酒……?」


 ポカーンと口を開けているクリス。


「そう。男同士で語らうだけさ。心の準備って、一体どんな想像をしたのか?」

「……もうロイ様っ!!」

「ごめんごめん。で、今日はダッフィ-さんだっけ?」

「ソフィ-様です! これから懇親会があるので起こしに来たんですよ! ソフィー様はもう待っているんですからね」

「そっか。じゃあ、急いで行かないと!」


 俺は身支度を手早く済ませると、クリスに付き添われソフィーさんの元へ向かった。



「まぁ、綺麗な場所ですこと」

「ええ。本当ですね」


 俺はソフィーさんと挨拶を済ませると、ソフィーさんの希望を聞き、アルス・レヴァンティリア王国の観光をすることになった。服を庶民風のお忍び服に着替え直し、街に繰り出す。


「ここら辺は食べ物屋さんが多い通りなんですよね。俺自身もあんまり街を見ることができなかったので新鮮な光景です」

「そうなんですね……いい匂い……」

「どこかのお店に入りましょうか。俺、昼ご飯まだなので。お茶も飲めるところで」

「はい。喜んで!」


 俺としてもあの女に復讐をするための下見もできるので、一石二鳥だ。今日は下見でプランを立てつつ、ゆっくりと過ごそう。

 料理を注文して席についた。


「そういえば、良いお相手とは巡り合えなかったのですか?」

「ええ……残念ながら」

「そうなんですね。ちなみに、どんなお方が好みなんですか?」

「そうですね……考えたことなかったですね……」


 あの女に復讐するためだけに頑張ってきたから、そんな考えにも至らなかった。俺ってどんな娘が好きなんだろうか。

 あの女の顔が脳裏に浮かんだ。


「いや、違うか……」

「え?」

「あ、なんでもないです……そうですね……優しさというのは重要じゃないかと」

「なるほど。優しさですか。どんな時に優しい人だなと感じますか?」

「そうですね……ああ、この前のソフィーみたいに栄養剤をくれたり、料理を取りにいこうとしてくれたりする時とかですね。あの時はありがとうございました」

「いえいえ、顔色が良くてなによりですわ……むしろ、私がお礼を言いたいくらいですけれど……」

「何かしましたっけ?」


 注文した料理が運ばれてきた。俺はそれを口に入れる。


「ええっと……私を指名してくださったことです。親にも変な目で見られなくて済むので……」

「ああ、なるほど……」


 ソフィーさんも大変なんだな。家のこととか、世間体とか。

 そういう意味で彼女を助けることができたのならよかった。


「ロイ様って、修行されていたんですよね。どんな修行を?」

「うーん。普通に筋肉を鍛えたり、あとは魔導の鍛錬とかかな?」


 イケメンになるための修行とは口が裂けても言えない。


「そうなんですね。魔導を使えるなんて羨ましいですわ。どんな魔導が使えるんですか?」

「描いた絵が飛び出して戦う? みたいな感じかな」

「まぁ、イラストが飛び出してくるんですか!? イラストがお上手なロイ様にぴったりな魔導ですね」

「そうかもしれませんね。でも、燃費が悪いし、それしか使えないから魔導士としては微妙なんですけれどね」

「いえいえ、だとしても修行をされるなんて素晴らしいことですわ」

「ははは……ありがとうございます……」


 俺は苦笑いしながらもご飯を食べ終えた。


「じゃあ、食べたらどうしましょうか。どこか行きたいところとかありますか?」

「そうですね……行きたいところで私の希望を言ってもいいでしょうか?」

「ええ、全然いいですよ」

「私、ロイ様のイラストを見たいですわ。何か描いてほしいです」

「俺の絵を?」

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