表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/34

6.5◆とあるジイサンの想い。

6.5◆とあるジイサンの想い。


◆◆◆


儂は若い頃、ブイブイいわせておった。


自作の愛剣を手に、向かい来る敵を次々に切り伏せ最強の名を欲しいままにしとったのう。


──じゃが・・守ることは出来なんだ。


大国に仕え王女をめとり娘が産まれ王位に就くその日、妻を、娘夫婦を、守れなんだ。


下らん王位争いに負けた王子一派の反乱。


茫然とする隙をつかれ、左腕を失い、終わったと思ったその時・・事切れた娘の腕の中で泣く孫を見て、眠らせておいた暴虐が目覚めた。


崩壊した王家。

荒みゆく国。

全てを捨てて旅をする。



◆◆◆



旅の果て、外国人でも受け入れる国で、(受け入れはしても待遇が良いとは言い難いがの) 他人との関わり合いが少ない仕事をしておると──


・・不思議な子供を見つけた。


歳は孫より1年程上かの。

色々な布を雑に縫い合わせた服を着て毒泉の水を飲もうとしておるのか?


この気持ちは何じゃろな。

他人を信用せんようなった筈なのに、つい自宅に案内してもうた。

まあエエか、孫もなついとるしの。



◆◆◆



ホンマにエエ子じゃ。

孫がなつき、孫を何より大事にしてくれおる。


おそらくあの子はホムンクルス。

この世のルールを知らんのじゃろう。

スレた絶望の目をしとらん。


孫には、あの時の傷が原因で大した遊びに付き合ってやれんかったが、今はあの子と共に薬草取りの休憩中に駆け回っておる。


その時気づいたが、孫は容姿こそ妻と娘に似とるが運動能力は儂似・・いや、ソレ以上じゃ。


鍛えてやれればエエんじゃがこの身体ではのう。



◆◆◆



干した薬草が籠一杯になったんで街へ行きたいんじゃが・・首輪の無いホムンクルスを連れてゆけば、まず面倒な事に為ろうの・・。


可哀想じゃが家で待っとれ・・と、何でついてき・・は?

グレートベアじゃと!?

何で縄張りから出ることの無い奴がこんな街の近くまで・・!


仕方ない、逃げ──


──其処で、儂は意識を失った。



◆◆◆



また、守れなんだ。

気づいた時には全て終わっておった。


孫がトラウマとなり記憶を失う程の暴行を受け、この子は孫を守る為に自ら奴隷になりおった・・。


そんな子が、何やら思い付いた様じゃ。

普通に考えたら危険な事。


・・じゃが、行くとエエ。

お主は儂が出来なんだ事をやりおった。


お主なら此れからも孫を守ってやれるじゃろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ