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6◆センジ、奴隷になる。(鬱展開。)

6◆センジ、奴隷になる。(鬱展開。)


◆◆◆


ほとほと、困った様子で救助隊が『取敢えず』といった感じで俺と幼女とジイサン他、怪我人を乗せた馬車に乗る。


三人組は俺に対しニヤニヤしながら救助隊員に挟まれ皆で街へ入る。


俺は唖然とする。

幼女も初めて街へ入るのか違和感があるみたいだ。


その様子を見て三人組が笑っている。

更にその様子を救助隊隊長が申し訳なさそうに見ている。


ごく普通の格好をしてごく普通に歩いている人達がいる。


・・その隣を、【首輪】【手枷】をして連れられ歩く人達がいる。


連行される犯罪者・・じゃあ、無い。


教科書で見た写真のまま・・アレは奴隷だ。


同族だからか?

分かるぞ、全員ホムンクルスだ。

首輪だとかしてないホムンクルスは一人も居ない。


三人組の一人が突然何事かを街人へ叫ぶと、街人が俺の乗る馬車を覗き込み、俺を見、首を確認し・・怒声を上げた。


怒声を上げる街人が馬車に群がりつつあり、救助隊が止めるも・・三人組が子熊の死体を掲げ上げ大袈裟な泣き真似を始める。


馬車が激しく揺らされる。

そのせいか関係の無い怪我人やジイサンの体調が悪化する。


何だ。

何だコレは。

──いや、ホントは分かってる。


あの【火打石】と同じ、人間に便利に使われる為に造られた道具。


ホムンクルスとは人間の道具として造られた生き物で、道具である証の首輪が無いホムンクルスは許されないんだろう・・。


馬車から無理矢理引き摺り降ろされ、殴られ、膝まつからされ、首輪を目の前に出される。


幼女が泣き叫び、俺を庇う。


──シン・・ッと、静まり・・狂乱が始まった。




自我のあるホムンクルスは許されないが、首輪の無い奴隷を認める人間は・・もっと許されないらしい。


──俺は・・


目の前の光景に


我を忘れる


叫ぶ


笑われる


叫ぶ


殴られる


叫ぶ


押さえつけられる


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ


叫ぶ




「そのコの奴隷になってやるよ!!!」




──途端、溢れる光。


【石の獣】を殺し【石】が出来る光に似た光が俺と幼女を包む。


街人共が怯み後退る真ん中で、俺の首に首輪が、幼女の両腕に印が現れる。


俺は幼女の奴隷に為ったんだ──



◆◆◆



今、俺達は救助隊の詰所にいる。


【四ツ目熊】みたいな化物退治なんて仕事をしてるからか【石】を使った治療器具があり、俺と幼女は簡易治療で治った。


・・が、ジイサンは入院。


自分が気絶してる間の事情を知ったジイサンは酷く沈み、静かに謝る。


幼女は奴隷とかホムンクルスとかをよく分かってない (っていうかあんな目にあったせいか街に入ってからの記憶を喪失してる) みたいだ。


そして救助隊隊長も謝ってきた。


【四ツ目熊】に三人組、奴隷騒ぎで気にとめる暇も無かったがこの街の人間はほぼ白人系なのに対し、この人、いや救助隊員達は・・ほとんど中央アジア系だ。


ちなみに、幼女とジイサンは日系。

しかも美形。

俺は何系?

(鏡見たい。)


だからか、この街というかこの国の常識 (俺の奴隷化、つまり自由なホムンクルスを許さない方針を重視する為に三人組の罪があやふやになったり、俺や幼女への暴力が許される) が受け入れられないらしい。


正直・・幼女をこんな目に合わせた奴等を皆ごろ──


──いやいや、ジイサンがこんなんでは他国へ引っ越しも出来やしない。


それに、あの騒ぎで売り物の草を大分駄目にしてしまった。

俺は水と【石】だけで生きてゆけるが幼女とジイサンは・・。


仕方無い、ジイサンに残った干し草を見せ『金』『交換』『地図』のジェスチャーをする。


しかし『ソレッぽっちの草じゃあ・・』という顔をするジイサンに『俺の私物』を見せた。


骸骨んトコからパクっ・・正式に譲渡

されたモンだが、古いけど良いヤツらしいしソコソコの値段がする筈。


『俺の私物』を見たジイサンは心臓を握られた様な顔をし・・諦めた。


ただでさえウチに貯蓄あるか怪しいのにこんな事になって、説得出来ないと思ったか。




『~~~~』




涙を流さず泣いてるみたいな顔。




「大丈夫。

俺が守るから!」




少しだけ諦めたって感じだけど幾分か、表情が和らいだ。

懐から地図を出し渡してくる。


深くお辞儀をし、受けとる。

幼女は・・不思議そうに見つめて、俺を真似てお辞儀。


大丈夫、こんな街の連中なんかに負けてやるもんか。

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