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5◆センジ、逃げる。(治療する。)

5◆センジ、逃げる。(治療する。)


◆◆◆


アレから半年ちょい、変わらぬ日々を過ごしていた。


朝起きて例の山の一合目位だけで野草薬草を集め、(【四ツ目熊】や【石の獣】が出るラインが其々有るらしい) 籠いっぱいになったら家に帰って、草を干す。


行き帰りは俺、幼女、ジイサンの順番で手を繋ぎ色々お話をする。


英語とか大の苦手だったんで未だに言語習得は出来て無いケドね。

(また幼女と適当会話が出来てるのも良くない気がする。)


まぁ生まれた時からの家族みたいには、なっているかなぁ。



◆◆◆



そんなある日、干し草が籠いっぱいになったので街へ売りに行く事になった。


けど珍しく俺と幼女は絶対連れてかず、ジイサン一人で行くというのでイタズラ心でコッソリ付いてく途中・・【霊感】が最大限に働く。


【超五感】と【霊感】を組み合わせ探査すると、【四ツ目熊】が大人三人を走って追っかけていた。




『グルオァァアアッ!!!』




雷が目の前に落ちたかの様な大絶叫が辺りに響く。


俺はジイサンに追い付き『目に指眼鏡をかけ、その上にもう1回指眼鏡をかける』というジェスチャーをする。


ソレだけでジイサンはピンときたみたいで顔を青くし、腰の短剣を抜こうとし──幼女の顔を見て止めた。

刺し違えても・・とでも思ったのか?


ジイサンは右腕で怯え、泣きそうになっている幼女の手を引き、俺に着いてくるよう促し──




『ぎゃああっっ!』

『あぁぁ・・』

『ぐ・うをおお』




集落の方から悲鳴!?

・・奴等、集落に【四ツ目熊】を引き連れて入ってきたのか!?


しかも【霊感】のこの感じ・・まさか。


──いや、集落に戻ったって俺なんか何の役にも立たない。

なら卑怯でも幼女を守って逃げることが先決だ。


ヒュ~・・ドン!

という音と共に花火みたいなのが打ち上がる。


花火と違い、いつまでも空で光り続けているから救難信号弾ってやつか?


救助隊みたいなのが街の方から馬に乗って駆けてくる。


助かった──と、思った瞬間、ジイサンが爪で襲われた。


・・素人判断だと致命傷じゃ無いっぽいが、動けなさそうで放っといていい怪我じゃない。


救助隊が【四ツ目熊】を包囲した、その隙に街に逃げ込もうとする三人組。


【四ツ目熊】を小さくした・・子熊の・・死体?

何でそんなモンを抱き抱えているんだ?


幼女が泣きすがりつき、ジイサンを指差す・・が、奴等は幼女を蹴り飛ばし街へ逃げる。

・・アイツ等・・!


──いや、俺だって集落民を見捨てた・・今はジイサンだ。


幼児二人じゃ安全な場所まで運べないんで、俺と幼女は怪我人だらけの治療所へ行き、ジイサンを運んでもらう。



◆◆◆



渡された包帯などでジイサンに格闘部時代に覚えた応急措置を施したら救助隊員に誉められた。

(撫でられた。)


なので、ついでに他の怪我人の治療も手伝う。

さっさと終わらせないとジイサンがちゃんとした治療を受けられないからね。


更についでに救助隊の一人に『三人組』『四ツ目熊』『の、子供』というジェスチャーをして街を指差す。


するとその人は別の救助隊隊員に何事かを告げ、街へ馬で駆けて行った。


「もう一つ」の方は確証が無いしなぁ・・どういうジェスチャーしたらいいかも分かんないんで取り敢えずコレだけ。


やがて救助隊、集落民あわせ死傷者を出しつつ【四ツ目熊】を討伐した。


【四ツ目熊】の周囲の人間がマスクしているのを見ると数十人の格上の大人が毒? だとかまで使ってやっとの相手って訳だ。



◆◆◆



救助隊と一緒に街へ行くと門番に例の三人組が止められ喚いていた。

救助隊が状況を問い詰めている。


コイツ等、幼女を蹴っ飛ばし、ひいてはジイサンの怪我の原因っぽいのだ。

だとしたら、ぜってえ許さねぇ。


言い争ってる連中の元へ行き、『四ツ目熊の子供』『擦り付ける』ジェスチャー。


すると三人組は慌てて『だ、黙れ!』みたいな反応をする。


コイツ等は真っ直ぐ逃げてなかった。


まさかと思ったが、こんな小さい女の子を蹴っ飛ばす卑劣な奴等なら間違いない。


・・自分が原因の癖に、集落にいた人々に【四ツ目熊】を擦り付け、囮にしたんだ。


その罪をどうにか救助隊に伝えたいけど・・やっぱ救助隊は意味が分かってない──ん?




『~~~~!』




幼女が【四ツ目熊】の子熊の死体を指差し、三人組を睨み付け叫びだした。


どう伝わったかは分からない。

が、救助隊は三人組を責めだした。


最初は愛想笑いを浮かべ、言い訳をしてた三人組が──突然、俺を見て急に気持ち悪い笑みを浮かべ指差し叫ぶ。

・・何だ?


ほとんど分かんないが一瞬、

『~~ホムンクルス~~』と、聞こえた瞬間、救助隊や集落民の顔色が変わる。


──やはりホムンクルスと人間の間には問題あるのかもしれない。


救助隊隊長は急に弱気で三人組を責めるが、三人組は逆に強気ですっとぼける感じだ。


幼女も訳が分からない様子で子熊を指差すが『知らない』と言い逃れされているっぽい。


どういう事だ?

確かにコイツ等の悪事の証拠は俺達の目撃証言しか無い。


だけど俺がホムンクルスってだけでコレだけの犯罪が無かったことになるのか!?

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