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4 センジ、ロリコ・・?(ジイサンとも仲良し)

 

 朗らかに語りかけてくるジイサンと幼女。

 多分『ドコから来た?』とか、鍋と湖の水を見て『腹を壊して苦しむ』っぽいジェスチャーをしているので飲料水には的さない、みたいなことを言ってくれている……と思う。




「あの~、すみません……言葉が分かりません」




 お辞儀をしながら日本語で喋りかけると、向こうも 『ああ……』 という顔をして俺とジイサンがお互いどうしよう、となってしまう。


 そうしてたら、ジイサンと同じ様な服を着た黒髪の……三~四歳位かな? 俺より一歳程低そうな幼女がドコかを指差しながら笑顔で話し掛けてきたよ。

 ジイサンがニコッと笑い、幼女が指差した方へ自分も右手で指差した後、OKサインみたいなモノを作りクチに当ててクイッとする。


 ソレを繰り返すジイサンを見て、幼女もニコニコしながら仕草を真似ている。

 可愛い。(変な意味で無く。)


 おそらく、『安全な水飲み場に案内してやる』 と言ってくれてるんだろうね。 悪い人じゃ無さそうだし、片腕のジイサンと幼女ならイザという時も安心かな?




「連れていって下さい」




 コチラも笑顔で答えると、ジイサンが頷き歩き始めたので俺が慌てて鍋などを仕舞っていると幼女がジイサンに注意している。


 もしかしたら片付けの手伝いをするフリをして荷物を盗むかも……と疑ってたんだけど……ホンマにエエ人等やぁ。

 マジゴメンナサイ。




『カウログナ?』


「俺の名前はセンジだよ、君の名は?」


『ルヤテケズンフ!』




 街を囲う大きな壁が見え始める頃に現れた小さな集落に着くまでの数時間、幼女とずうっと手を繋いで質問されっぱなしだった。

 お互い言葉が通用しないのに随分なつかれたなぁ。 知らない人についてっちゃイケないよ?


 ジイサンが、傍目には幼児二人が仲良くしてるだけだろう俺達の様子をニコヤカに眺めている。



◆◆◆


 集めた山菜薬草を乾燥させたり潰したりしているらしき人達の集落に到着。 水飲み場に連れて来られたので、有難く水分補給させてもらう。

 そのあと、集落内の一軒に案内された。

 ジイサンと幼女の家らしい。


 二人共荷を下ろし、ジイサンが火の準備を始め……何かを打ち合って……ああ、火打ち石か。

 ──ん?

 アレと同んなじ物持ってるぞ?


 骸骨の所から持ってきた火打ち石を取り出すと、根元に【石】が埋め込んでいて、ジイサンに貸すと一発で火が着き、大変おどろいていた。

 出来た晩飯の野菜汁を幼女が注いでくれる。




『カウロヤテッヌヲシラカニマダメ!』


「お手伝い偉いねぇ」


『ロレブツ♪』




 ……正直、お腹は空いてないんだけど彼女等に悪いしなあ。 水以外も摂取出来るのか?

 少食設定でほんのちょっとだけ野菜を食って、後は水を飲む。

(みんな寝静まった深夜、鳥のペリッドみたいなん吐いた。)


 食事を終えて暫く幼女と話していると、その様子を微笑ましく眺めていたジイサンが急に真剣な顔で 『自分達』 と 『籠』 を交互に指差す。

 ソレを聞いた幼女がパアッと笑顔になった。 多分、『自分達と一緒にこの仕事をしないか?』 と聞いてるんだろうね。


 ……幼児一人を、労働力と食い扶持で計算するとまず損の方がデカイんじゃないかな。 ソレでも一人旅の幼児を放って置けはしない良い人達……か。

 とても有難い。


 ───だけど、俺は人間じゃ無い。


 あの骸骨は死んで普通に骸骨になったんだろう。 この宇宙の人間も死ねば死体になる。 この薬草も枯れてるのに残ってる。

 多分他の動植物もそう。

 なら……死体にならず、【石】になる獣は?


 【石】を食う俺。

 【石】を使った道具。


 『魂を転移』 と言っていた。

 『何』 に、転移された?

 俺は人間じゃ無い。

 この二人は気付いてないみたいだけど……バレた時、どうなるんだろう?

 

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