?◆とあるホムンクルスマスターの祝いと呪い。
?◆とあるホムンクルスマスターの祝いと呪い。
◆◆◆
「お~い、コレ食っちまうぞ」
「あっ、ちょ・・何、勝手に・・金払いなさい!」
まったく・・コッチは研究が上手くいかなくて、イライラしてるっつうのに・・。
・・はあ、何でこんな訳分かんない男を拾っちゃったんだろ。
「何だ? イライラしてんのか?
ホレ、魚の骨食え。
玉子の殻も良いぞ、婆ちゃんの知恵袋だ」
「魚の骨も玉子の殻もこの国じゃ食べないわよ!」
知恵袋って何よ!?
訳分かんない言いまわしとか、これだから外国人はイヤなのよ!
「・・って、玉子食べたの!?
高いのに・・楽しみにしてたのに・・!
・・その腰の変な武器売り飛ばせ!」
「ば、馬鹿言うな!
刀は武士の魂だ!」
「そんな職業聞いた事無いわよー!」
◆◆◆
「悪かったって。
・・目が覚めたら訳分からん国に来てて、ホトホト困ってた所を助けてくれた事は本当に感謝してんだ」
「ふーんだ」
コイツは半年前、この魔の山と呼ばれ
る場所の中でも特に魔力濃度が濃い場所で倒れていた。
慌ててウチに連れ帰り治療し・・暫くは記憶障害を疑ってたわね。
それだけ、コイツの喋る内容は荒唐無稽だったわ。
「で?
何を悩んでんだ?」
「・・アンタに言っても分かんない」
「拗ねんな拗ねんな♡」
ぐっ・・ホントむかつくヤツ!
「──ホムンクルス造りに行き詰まってんのよ・・」
「ほぇ~?
この人造人間かあ・・?
異人は恐ろしい事考えんなあ」
自分で言うのもなんだけど、私は中級マスターで終わる器じゃない。
同じ中級の師匠はとうに超えているし、今なお成長している。
後一つ、たった一つ有れば一皮剥ける気がするんだけど・・。
「見た目は完璧っぽいがなあ?」
「・・見た目なんて、下級でも頑張ればなんとでもなるでしょうよ。
・・様は性能と安全性だわ」
魔石は最高級品を使った。
出力は問題無い筈・・。
「うーん・・チャクラみてえなモンか?」
「チャクラ?」
「知り合いの坊主に聞いたんだがよ、人間にゃあ七ツのチャクラってえモンがあるらしくてな──」
◆◆◆
「やった!
やったわよ、ついに成功だわ!」
「おお、コレで学会?とやらに行けるな」
「・・・・。
それだけど辞退しようかと思ってるの」
「あ? 何でだ!?
それを人生の目標にしてたって言ってたろうが!」
ア、アンタが言うか・・!?
「人の腹膨らましといて、無責任な事言うなあぁぁ!」
「う、受け入れたのは御前サンだ!」
「チャクラとかヒントを貰った礼の一回よ!
たったの!
どんな命中率よ!?」
「・・せ、責任は取る!」
当り前よう、まずは二人──いえ、三人が住める一軒家は絶対だわ!
庭には可愛いブランコと家庭菜園も必要ね!
「・・案外、乙女チックなのな」
「だから、このホムンクルスは基礎理論で御仕舞い。
造りあげる事は・・無いわ」
◆◆◆
燃える。
全て燃える。
我が家が、ブランコが、菜園が・・。
「し、師匠・・!?
なんのつもりですか!?」
「貴様はいずれ上級マスターと呼ばれるじゃろう・・師である、儂を差し置いて・・な」
「だ、だからって──」
虚ろな目の師匠が薄気味悪い笑みを浮かべている。
──狂気。
「今、儂に仕官の話がある。
そんな時に、弟子に儂より優れた業績を挙げられては困るのだ」
「研究は止めています!
御望みなら私の研究成果を全て持っていったって良い!」
アイツは冒険者になり、ギルドで順調にクラスを上げている。
アイツと私なら全てを失ってもまたヤリ直せるから。
「凄いぞ?
今、国ぐるみでホムンクルスを奴隷化させる動きがある。
その偉大な計画の中心が儂になるのだ!」
まさか・・確かにホムンクルスは人間の御手伝いとして生まれる。
けどそんな・・奴隷なんて非人道的な存在じゃない・・!
「上級中級合わせて世界で百人も居ないのに・・ま、まさか!?」
「ふははっ!
そうだ、下級マスターにもホムンクルスを造らせる!」
「そんな・・暴走とか」
「その為の実験として、下級マスターの造るホムンクルスを魔物として大漁にとある村へ放った。
今頃、冒険者ギルドに出された魔物討伐依頼で、大勢の冒険者がかり出されているだろう!
──そう言えばお前の亭主も冒険者だったなあ・・?」
ナニ・・?
目の前のコイツはナニヲイッテイルノ・・!?
「壮観だぞ、千『匹』もの人モドキの姿は・・!
今回、全て戦闘用魔術のみ組込ませてある・・これで冒険者共相手に戦果を出せれば──」
──ゴッ──
「き、貴様・・何を・・す・る・・」
「五月蝿いっっ!!!」
嘘・・嘘よ、こんなの・・。
狂人の狂言・・そうに決まっているわ!
待ってて!
今すぐギルドに行って・・そうだ、今日はお休みにして、新しい家具でも見に行こ・・?
◆◆◆
「ゴホッゴホッ・・ハァ──
・・さあ、此れで良し・・」
これで、この子は七ツの魔術が使える・・ああ、私の愛しい我が子・・愛しいあの人の子・・。
「やはり、この方法だと人と呼べる程の魂が定着しない・・か」
あれから七十年、下界があの男の死後にどうなったか──計画は中止になったのか、奴隷化されたのか・・どうでもいい。
「うふふ・・肉体は私の最高傑作と、私達の子共の混ぜ物だもの、魂まで贅沢言わないわ・・」
きっと今の私の目は狂気に彩られているだろう。
・・あの日の師匠のように。
「後は・・私の死後、私自身の骨に魂を定着させる術式を組んで・・」
屋敷に施した魔力はもって三百年、それまでに当たりを引かなければ・・。
「・・願わ・くば・・あの人と・・同じ地・・・同じ・・血・・で、あります・・ように・・・・」
そして貴女も・・私のよう・な・・・素敵な・・男せ・・こ・・ども──




