18.5◆とあるリーダーの願い。
18.5◆とあるリーダーの願い。
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『おはよう、私の最高傑作』
──目覚めると、ローブを着た老人が挨拶してきました。
どうやら私はホムンクルスという生き物で、この方に造られたそうです。
巨大な瓶から出て、生まれる前に授かった知識を補完するように色々教わりました。
其れによると余りこの世界はホムンクルスにとって、良い世界とは言い難いらしいですね。
『儂も大分身体が動かんで御前を生み出したが・・そのチカラがあれば儂の死後も問題無かろう』
それから六年後、彼は旅立ちました。
その後の二年間は特に問題ありませんでしたが、ある日、屋敷の前に一台の馬車が止まります。
『おお・・コレが上級マスターが造ったという伝説の作品か』
貴族と呼ばれる人間。
其れは、私に首輪をはめ、連れて帰りました。
──正直、この時期の事は思い出したくありません。
ただ、辛く、ただ、耐え、ただ、知り会ったホムンクルス仲間と震えるばかりです。
戦争が始まり、主となった人間が死んで奴隷契約が消滅した瞬間、私達は街の最奥、汚物の集まる下水へと逃げ込みました。
下水道の探索が進み、最奥の更に奥、地上では辿り着く術の無い街、旧市街地を見つけたのです。
やがて・・少しずつ同じ様なホムンクルスが集まりました。
私は国を作ります。
同じ境遇のホムンクルスを受け入れ、ホムンクルスだけで生きてゆける国を作ります。
◆◆◆
ある日、ホムンクルスの子供が又、酷い目に逢っていると報告を受けました。
スキを見て助ける命令を出し──
──人間の子供を助ける為、自らの意思で奴隷になり危機を脱した・・と聞き、救援の命令を下げました。
人間なんかに味方する者。
注目が集まりすぎて仲間が危険。
・・面白そう。
この子なら・・此方から救援せずとも、いずれ此処へと来るでしょう。
下級マスターが奴隷目的で造りだすホムンクルスは、他の能力を優先する為に、自由意思が薄弱な者ばかりです。
しかし恐らく、今回のホムンクルスはかなりの自由意思を持つのでしょう。
・・ひょっとしたら私よりも。
◆◆◆
ああ、私は今・・生きている!
こんな当り前の事に気づかされる日々。
満ち足りた食事。
愛すべき人。
頑張りがそのまま糧になる。
あの子は私を尊敬しているみたいですが・・私の方がどれだけ尊敬しているか。
【魔の山】生まれ、らしいですが・・伝説では世界に影響を与えるというマスターの中のマスター、『グランドマスター』の一人が三百年前、己の師匠を殺し【魔の山】に立て籠ったとか。
真相は分かりません。
ですがやはり上級マスター作の私より優れた者・・。
◆◆◆
私は国を作ります。
偉大な国を。
偉大な王が支配する国を。
ホムンクルスと、友に成れる人間とが──共に生きてゆける国を作ります。




