1 センジ、調べる。(色々と)
───う、うぅん。
よく寝たなぁ。
で、ドコだココ?
「あの洞窟じゃないし・・って、何だこの声!?」
慌てて体中を調べると、身長190cmの大男が四~五歳ぐらいの……幼児になってる!?
肩にかかる白髪混じりのボサボサ髪は、立って尚床スレスレの艶黒ロングストレート。 顔をまさぐるが痩せこけたオッサン顔ではなくプニプニの頬っぺた。 無論、まさぐる手も小っちゃい。
頭を下に向けるとお腹ポッコリ。
まさしく幼児体型。
……問題はその下、だ。
そろり……そろりと、手を伸ばす。
……。
…………?
……………………!?
……息子は!?
ウチの息子知りませんか!?
この娘は誰!?
───と思ったけど、ツルツルし過ぎてる。 息子だけじゃなく娘も居ない。 家出されちゃった。
何この体?
人間?
ってか俺、気分が沈んでないし思考がえらく子供っぽいな。
別の脳になったから?
OK、まずは状況確認だ。
少なくとも洞窟じゃなく、人工建築物の一室っぽいね。 ベッド代わりの硬くゴツゴツした長方形の石、その周りを囲むヒビいったデカいガラス……フラスコだっけか?
フラスコの中に居るっぽい?
家具とかは無いな。
服も無いけど。
鏡ないかな、顔を見たい。
そして部屋の扉。
ふと、気を失う直前 『扉の向こう』 とか聞こえたっけ……と思いつつ扉をくぐる。
「研究室……かな?」
山と積まれた書類に、色とりどりの液体が入った試験管と、キモい標本などがあった。 人は居ない。
書類は何書いてるか分かんない。
研究知識が無いからじゃなく (いや、無いけどね) 少なくとも漢字圏やアルファベット圏の国の文字じゃ無いから。
そして次の部屋へ。
「失礼しま~……おお!」
ココの主の私室かな?
森が見える窓と家具がある。
テーブル。
パンや果物と包丁、粉薬?と水の入ったコップ。
タンス。
バスローブのような服と、ゴミ袋から手・頭を出す部分を切ったみたいな服、(貫頭衣ってヤツかな?) 後は生活用品がしまってある。
石じゃないフカフカなベッド。
布団を捲る。
骸骨。
「~~~ッ!!???」
が吃驚したぁ、メチャクチャびっくりしたぁぁん……オシッコ漏らすかと思った。 穴が無いけど……。
お化け屋敷とか平気だったのになぁ?
「……アンタもココに連れてこられたのか?
それともアンタが連れてきたん?」
『私が連れてきた』
ビクゥゥ……ッ、と飛び上がる。
此処へ来る前に聞いた───直接頭に響く声が、目の前の骸骨から送られてきた。
骸骨は動かない。
「つ、連れてきた……って。
何処に、如何やって、何故……?」
恐い。
何が恐いって……今、恐怖を感じてないことが恐い。
───コレは……安心感?
やっと俺の疑問に答えてくれる存在だから……じゃなくて、もっと根本的な───
『何処に、は、お前の居た宇宙とは別の宇宙に』
『如何やって、は、魂の転移魔術が完成したから』
『何故、は、完成したからには使わなければいけないから』
───な、何だよソレ……?
出来ちゃったから試さないともったいない。 ただそれだけ。
そんな感じがプンプンするぞ。
「……ソレって只の実験か?
俺は、ソレに使われた実験動物なのか?
ひ、人をなんだと思ってんだ!?」
『そうだ。
しかし、選ばれた理由は本人の希望』
言われ、言葉に詰まる。
この骸骨が言う、前の宇宙に居た時はひたすら現状から抜け出したかった。 この宇宙に来てからは、ショッキングな事もあったけど……ワクワクが止まらなかったんだ!
……あ、ショッキングといえば。
「この体は何だ?」
『ホム……ン…クル……ス───』
ホムンクルス……何だ?
急にどうした?
『骨に……残る………魔力も切れ…て…………来…………』
骸骨が崩れ始める。
『我が……名…は……グランド…………エディ……リア』
骸骨から圧倒的な存在感が消えゆく。
『…………別……宇宙の……魂…………よ……すまな…かっ…………』
…………。
もう此処の主も、質問に答えてくれる者も居なくなった様だ。