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15◆センジ、不穏な空気を感じる。(這い寄る混沌。)

15◆センジ、不穏な空気を感じる。(這い寄る混沌。)


◆◆◆


片道二週間。

やっと国境に着いた~。


俺と幼女に合わせての旅だけどやっぱコッチの旅は過酷で、二人脱落者が出た。


一人は不安定な足場でただコケて擦り傷を作っただけ。


ソレでも衛生的な現代日本じゃない以上、コレだけでヤバイ破傷風だとかの病気になり死に至る事もあるらしい。


んで、最初の消毒に失敗し化膿し始めた時点で、念の為の脱落だ。

まあ野性動物を見習った考え方だね。


もう一人は盗賊襲撃で。


【石の獣】は4~50回、盗賊は2回、襲ってきたけどコレですら最高に安全な道で、俺の【吸魔】や、【水操作】をもつホムンクルスがいるおかげで有り得ないぐらい快適な旅だったらしい。


んで、日本じゃまず見ない大河が国境線らしく河に沿ってずうっっ・・と両国の砦が建ている。




「至るトコから炊事の煙が登ってるね」


《一ヶ月前》《煙》《5ナイ》




五十年位前だかに、とある英雄が辺りの国を平定させて以降、少なくともコレだけの人間が砦に居るのは有り得なかったそうだ。




「ただの犯罪逃亡者に対する検問・・じゃ、ないよねぇ?」




国軍と政治家以外で有一、国を渡る許可を持つ行商人 (それ以外だと金かコネ、いわゆる裏口。) が足止めを食らって行列が出来てる。


近づき話しを聞くと彼等も混乱してるっぽい。




「つまり原因は分かんない?」


《キナクサイ》《トツゼン》


「ドッチが先に兵を集めだしたの?」


《コッチ》


「需要が増えている商品ってある?」


《ブグ》《クスリ》《【イシ】》




どれも戦争の必需品だそうだ。


戦争ってなんで起こるんだろうね。

いや、哲学的な意味じゃなく。


素人に分かる戦争する理由なんて──


略奪、

領土拡大、

大量破壊兵器、

宗教、か。


略奪しなきゃいけない程、経済食糧に困ってはないらしい。


コッチの国連みたいな連中の非難を買ってまで侵略戦争をするメリットは少なく、寧ろデメリットの方がデカ過ぎるそうだ。


ココの文明で大量破壊兵器なんてピンとこないし、この国はあまり宗教というモノを重視してないらしい。

(宗教の目的である【心の平定】とやらはホムンクルスいじめで成り立つんだろうさ。)


結局、何も分からないということが分かって、また二週間の帰路につく。


ネットも科学調査的な物も無いココじゃあこんな仕事結果もよくあるらしい。




・・そういや、宗教といえば仏教徒じゃないけど輪廻転生したり成仏して超能力者になったり・・。


けど俺は衆生を救う仏じゃない。

目の前のこのコを救うので精一杯だ。



◆◆◆



集落へ着き、ジイサンの待つ我が家へ。


流石に一ヶ月会えてなかったからか、それまで『旅、楽しかった~』って感じでニコニコしてた幼女がジイサンの顔を見た途端、ワンワン泣き始めた。


暫く泣いた後、泣き疲れたのか眠りについたんで後はジイサンに任せて、一人で救助隊詰所と廃墟へ仕事報告をしに行く。


【大石】は4:3:3でわけた。


正直、面倒事を避ける為に大金 (財産) は持ちたくないんだけど【吸魔】が無けりゃ出ない儲けだからと説得された。


換金しに黒い建物の換金屋へ。


しかし最近は【石】でももて余しぎみなのに【大石】なんてトンでもないと店主に言われた。


俺という出所がバレないよう、砂にして色んな販売ルートに乗せてたんだけど、最近は国が独占してきた上、(要は他に、特に他国に売ったら承知しねぇぜって話し。) 安く買い叩かれ、かなりしんどくなってきたらしい。


仕方無く本来の値段より安く買いとってもらう。



◆◆◆



そんなある日、ウチに騎士とかいう奴が来た。


白銀の、傷一つ無い鎧兜の人間。

街・・いや、もっと上、国の偉いサンの遣いだろう。


ひょっとしてホムンクルス関連の面倒臭い話かね──とも思ったけど、俺には一瞥もくれずジイサンとばかり喋っている。

終始ジイサンはすっとぼけ顔。


騎士は舌打ちをして扉を乱暴に閉めて帰る。

(ああっ、ちょっと傾いたよ、せっかくこの前直したのに)


心配する俺と幼女にジイサンは笑い、頭をポンポンと撫でる。


次の日以降も、白銀の騎士が来る。

しかもドンドン人数が増える。

幼女も不安がるんで、【霊感】で察知でき次第、幼女を安全な場所に隠す。




「大丈夫、俺が守るから」




そう言って幼女の頭をポンポンと撫でる。

嫌な風が吹く感じだなぁ。



◆◆◆



先の仕事で嫌という程理解した、コッチの旅は大変だという事・・。


日本国内の引っ越しでも簡単じゃ無いのにコッチで・・特に国外への引っ越しなんて、命懸けになる。


車も無しに大量の水や食料に財産等を持って何週間にも渡って歩く・・それだけでも死人が出るそうなのに、魔物や盗賊に遭遇したら・・絶望的だろう。


なのに、苦労してたどり着いた国は引っ越しを受け入れるかどうか──

ネットが無い以上、現地に行くしか調べ様がない。


外国人が多い救助隊は勿論、差別を受けてでもこの国に住む廃墟組も、誰かが引っ越しの話しをする度に首を横に振る。


外国人というだけで駄目、というのは前世のニュースでも難民問題として見たし、キナ臭いってだけで引っ越しは出来ない。

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