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13◆センジ、ファーストキスを奪われる。(硬くなる。)

13◆センジ、ファーストキスを奪われる。(硬くなる。)


◆◆◆


コッチの宇宙に来て一年ちょい。

ちょっと前に幼女が5歳の誕生日を迎えたんで、ついでに俺も6歳とした。


この半年間の出来事といえば──



◆◆◆



初めて四人で例の山へ行ってから、救助隊にも廃墟組にも所属はせず手伝いだけで信用と実績を上げていき、また其々の組織同士も少しずつ関係を深め合う様になった。


その切っ掛けはジイサンの傷が癒えて退院した日の晩。


救助隊、廃墟組、集落民の俺達と係わりの深い人達で開かれた退院式の時、救助隊隊長がコレで肩の荷が降りたとか言って、リーダーに告白した。


リーダーは《えっ!?》とか《あの・・》とかモジモジしてる。


幼女は素直に『わぁ~』とか『キャー♪』とか喜んでたけど・・うん、まぁ、あのね?


知ってた。

皆。

そのモジモジも茶番って知ってる。


幼児ならバレないとでも思ったか、休憩中とかイチャイチャしてたし、それぞれの組織の人達もバカップル振りを見てたらしい。


なんで、皆から今更かよと呆れブーイング。

ジイサン可哀想。


ソレから数日後、二人の結婚式はおこなわれた。


参列者に囲まれ真ん中で救助隊隊長の故郷の民族衣装を着てナンヤカンヤあってキス。


この辺は全宇宙共通なんかねー・・と、眺めてると隣の幼女が『むふーっ、むふーっ』と鼻息が粗い。


キスの場面で感極まったのか、奇声をあげてどっか走り去り、戻ってきて俺に体当り。

んで、キスされた。

(マウントポジションで。)


仲良くなると、お手て繋いで。

もっと仲良くなるとキス。

そう解釈したらしい。


──とにかく、両組織の頭同士がそーゆー関係になったんで下も合同チームとか作り始めた。



◆◆◆



今や経済的に薬草採取をしなくてもイイんだけど、ジイサンがどうしても続けたいってんで、こうして手伝っている。

(そりゃ、幼児に生活費を全額負担させるって嫌だろうけどさ。)


換金用と俺の食事用との残りを救助隊と廃墟組に卸している。


半年前よりも更に【ホムンクルス】の数が増えたんだけど、ソレで充分以上なんだとか。

(元々、砂数粒でやりくりしてたしね。)




『ロコッブ!』


「今は薬草集めだよ~?」




腰の短剣を触ってソワソワしてる幼女に注意。


幼女は剣の腕を更に上げ、(幼児にしては、だろうが) 腕試ししたくて堪らないって感じだなぁ。




《仕事ーォ!》


「わっ、ビックリした!」




最近は集落に常在してる合同パーティーのホムンクルスのテレパシーだ。


この人はテレパシー特化型で、こんな離れてても直ぐ隣で喋ってるみたいなんだよね。


で、俺の様子に幼女がワクワクしだす。

ジイサンとの仕事を蔑ろにしちゃあダメだよ~?




『ゾエエデンセョリンエ?』




ジイサンは俺と幼女に微笑む。

何時の頃からか仕事や手伝いを頑張るより、俺達が強くなるコトを何よりも望んでる・・気がする。


幼女の上昇気質といい、戦士の血って感じなのかなぁ。



◆◆◆



今日の仕事はココ最近キナ臭くなりつつある国境付近の調査と、道中の魔物退治。


救助隊と廃墟組の合同でソコソコの大所帯の仕事になる。


明らかに幼児の領分を越てるんで、あくまで俺等は後方支援。

(という名の、我等の格好イイ所を見てサッサとウチへ来いアピールを見させられる。)


集落からのY路地で例の山へと続く道とは逆の道を進んで暫く、ココから一段、【石の獣】の強さが上がるらしい。


同じ力量の【石の獣】は帯状に生息圏が並んでるらしく、ホムンクルスや【石の獣】のチカラの源になってる【石】が産まれる際の光、コレが関係あるそうだ。


とある国を中心とし光の濃淡が濃くなるらしい。


このチームと今の俺と幼女なら大丈夫って油断は無いつもり・・だったけど、幼女が一瞬の隙を突かれた。


頭に角が生えた中型犬サイズの蛙の頭突きで、咄嗟に庇うが──あ~コリャ次は俺が入院か?


・・と、思ったけど全然痛くない。

てか、首から下が動かない。

不随になった!?

痛みを感じないのもソレで!?


慌てて皆、かけてくる。

幼女も (多分、謝りながら) 泣いてる。


けど、何かおかしい。

俺の体を撫でる幼女も『あれっ?』ってなってる。


体重差で吹き飛ばされた程なのに、角は刺さってない。

(服には穴空いてんのに。)


・・何か、俺・・硬い?

幼女が指でつ突いてるトコも、筋肉が硬直して硬い──とかじゃなく皮膚から硬い。

(叩く音が石みたい。)


そのせいなのか、やたらお腹がすく。


一秒単位で更に餓えてく感じ・・てか、コレ、ヤバ・・イ・・!

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