12◆センジ、ゲェーってなる。(玉をツルツル。)
12◆センジ、ゲェーってなる。(玉をツルツル。)
◆◆◆
幼女と救助隊隊長の人間組は餅みたいなのと干し肉と野草の煮汁、俺とリーダーのホムンクルス組は水と【石】。
このサイズの【石】を食うのが初めてらしいリーダーは、身体をビクンビクンさせてクチもパクパクと『ア・・アァ・・』など。
──何というか・・俺と救助隊隊長は綺麗な青い空を見ている。
幼女が、救助隊隊長が空を見れば『ナニ見てんの~?』と、腰をモゾモゾさせれば『ナニか有るの~?』と、いった感じで近づこうとする。
は~、俺つるつる♪ (?)
さーて、【石】でも舐めて後半も一頑張りしますか。
最期の【石】を一個「摘まみ」、クチに入れて「モゴモゴ」してたらリーダーが 《無吸収!?》 と、驚いてたので練習の仕方を教え、【石】集め再開。
『アッ・・ハァ・・アアァ・・!』
『・・・・』
『~ノンテシニナ?』
救助隊隊長だけ「食事休憩無し、連いてきて」っつっても喜んだかもしれない。
◆◆◆
俺と幼女の生活費、ジイサンの入院費、救助隊隊長の雇い賃 (受け取ろうとしなかったけど無理矢理渡した)、廃墟組の分 (【吸魔】が嘘じゃない証拠)、イザという時の分、充分集まったね。
狩りすぎて、生態系を崩してなきゃイイけど・・とも思ったがこの山はデカイんでまだまだ居る筈だし、何より【石の獣】は自然再生するという。
やっぱ普通の生物じゃ無いんだなぁ。
ってことは【ホムンクルス】も自然再生すんの? という質問には首を横に振られた。
この【石の獣】と【ホムンクルス】は共通点も多いが相違点も多いらしい。
◆◆◆
帰りに、ジイサンの着替え等の荷物を取りに我が家のある集落へ。
集落の入口に近づくと、集落民の一人が凄い形相で走ってくる。
例の四つ目熊騒動の時、罪は全部俺のせいになり集落民からも死傷者が出たし・・ヤバいか?
リーダーと救助隊隊長が前に出てきて要件を聞く。
《草玉草玉 連呼》
リーダーのナニソレ顔。
俺こそナニソレだよ?
四つ目熊騒動の事は気にして無いらしい。
彼等もこの国の人間、ホムンクルスへの差別意識は有るけど、貧民ゆえに余り縁の無い話だし、何より集落での俺の半年を知ってるんで、街の言い分が間違っていると分かってるそうだ。
で、草玉だが・・さっぱり分からん。
仕方無く、案内してもらうと、ウチの裏に連れてこられ窪みを指差される。
途端に顔が赤くなった。
梟などは毛繕いし、飲み込んだ物を 「クチから出す糞」 として丸め固めて吐き出すと聞いた事がある。
・・ココはホムンクルスであることを隠してた時、薬草汁を食った晩に受け付けない薬草を吐いてた場所。
人間のグデッとしたヤツじゃない・・多分体液だかでコーティングされた玉ゼリーみたいなのを、だ。
何の用か知らんが、自分の嘔吐物の在処が、バレて暴かれて問い詰められて・・恥ずかし過ぎるうぅぅ・・!
《どうした?》
「・・あ~・・その~・・誰にも言わんといてね・・?」
《・・ふむ ホムンクルスの食事 水 【石】》
「集落民は何言ってんの?」
《草玉 凄い薬》
バレては無いらしいけど・・薬?
俺の・・アレが?
・・勘弁してくれえぇぇ・・。
《期待大きい 言う 傷心?》
・・勘弁してくれえぇぇ・・。
◆◆◆
草玉効果で【四ツ目熊】騒動の時の重傷人も回復しつつあるようだ。
救助隊隊長の調査だと、詰所にある【石】の治療器具 (俺と幼女の怪我が半日で治ったヤツ) に近い効果があるらしい。
リーダーは無理するなと気遣ってくれたがホムンクルスの地位向上の為、その日の晩は薬草汁だ。
リーダーも手伝ってくれて、深夜ウチの裏の窪みに二人並んで──
次の日、玉ゼリーを二ツ渡す。
自分のを集落民がプニプニしている様を見てリーダーが顔を赤くして泣きそうになっている。
ちなみに何でか、俺の奴の方が良質らしい。
・・勘弁してくれえぇぇ・・。
◆◆◆
街に入る少し前にリーダーと御別れ。
大分、救助隊隊長と打ち解けていたが、廃墟組組織の代表として、人間に秘密の出入口を見せては示しがつけられないんだろうね。
ソレは救助隊隊長も理解をしている。
三人で換金屋へ行き、【石】を換金。
店主にコレからも持ってくる旨伝えると、喜ばれ──不意に物悲しい顔をされる。
『ネタッカナマス・・』
謝ったのかな・・?
だとしたら初めてココに来た時、例え俺を思ってでも【剣と盾の看板の施設】を紹介したコトだろうか。
この人の立場なら・・まぁ、仕方ないんだろうさ。
ニコっと笑って救助隊詰所へ帰る。