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5話 ルシエラの種族

ルシエラが手をかざすと俺がやった時と同じように紙が出てきた。


「おっ、来たわね!」


その声からワクワクして楽しみなのが分かる。

これで弱い種族だったら気の毒だな。

ルシエラが紙を取って見る。


「おい、どうだったんだ?」


なぜかルシエラは真顔だ。

もしかして弱いのが来たか?


「イシス族って何?美味しいの?」


「分かんねえのかよ!」


まさか神なのにそんな事も知らないとは…

本当にこいつ役に立たないかもしれない。


「え、ええっとイシスは魔法を司る神です。つまり魔法能力が高いはずです」


苦笑いで受付嬢が言う。


「魔法能力が高い?じゃあ俺には使えない魔法が使えるのか…クソッ」


自分が出来ないことをコイツが出来ると思うとなんか悔しい。

こんなクソ神より俺は弱いのかもしれない。

そんな事を思いながらルシエラを睨むと

ルシエラはどうだ、と威張った顔をする。


「ホントムカつくなお前!ドヤ顔すんじゃねえ!」


「お、落ち着いてください」


受付嬢が慌てる。

コイツに反応してたらキリがない。

無視だ無視。


「えっと、ステータスは…」


とステータスを見てルシエラが満面の笑みを浮かべる。

あ、これ絶対良かったパティーンだ。


「見てハルト!!魔法能力A!Aよ!上級者並よ!」


なんで俺だけこんな不遇なんだ…


「他のは?」


「全部Eね。普通って所かしら」


苦笑いでそう言うルシエラを俺は見逃さなかった。


「待て、お前嘘ついただろ」


少しの間だが一緒に過ごしてたから何となく分かる。

まあコイツが嘘つくの下手くそって事もあるが。


「ぜ、全然嘘なんてついてないわよ!神を信じないなんて罰当たイタタっ!」


今までの恨みを込めて思いっきり頬をつねる。


「はりゅといたいぃぃごめんなしゃあい!ゆるひてえぇ」


涙を目に浮かべながらルシエラが必死に謝る。

神に誤らせるってのはなかなかいい気分だ。

ってかちょっと可愛いかも。

これ以上つねると流石に可哀想なので手を離した。


「うう…」


頬を抑えながら涙を流す。

もう()りたみたいだ。


「んで本当はどうなんだ?」


改めて聞くとルシエラは俯いた。


「だって言ったらハルト笑うもん…絶対笑うもん…」


「お前はガキか!!これから一緒に過ごすんだから仲間のことだって知っとかないとだろ!見せろ!」


ルシエラが持っているステータスの紙を無理やり取る。


「あれ…全部Eじゃ…」


と言いかけてよく紙を見る。

ルシエラのステータスは全部Eだ。


知力を覗いて。


「ブフッ!!お前知力Gって…」


流石にこれは笑わざるおえない。

だって知力だけGだぞ?超バカって言われてるようなもんじゃん。

大笑いしているとルシエラがまた声を出して泣き始めた。


「うわあああん!笑わないって言ったじゃん!ハルトの嘘つきい!」


「スマンスマン…だって知力だけGって…確かにその通りだよな…ククク…」


笑いすぎて腹が痛い。


「わああああん!ハルトのバカああああ!」


「ちょ、ちょっと静かにしろ!周りの人が見てるから!」


今頃気づいたがさっきからコイツが騒いでるから周りの人達が全員こっちを見ていた。

周りの人達のヒソヒソ話している声が聴こえた。


「見ろよアレ。パッとしねえ男が少女を泣かしてるぞ」


「最低な男ね…」


パッとしない男ってなんだよ!

ってか俺がコイツ泣かせた事になってるし…

まあ確かにあってるけど周りの解釈はなんか違う…


「ち、違うんです!これはちゃんと理由があって!」


そう言った俺を見てルシエラはニヤリと笑った。

なんか嫌な予感がするんだが…


「私が一番って言ってたのに他の女と遊んでたなんて最低よ!」


予想的中したー!!



「バッ…お前何言ってんだよ!!誤解を招くようなことはやめろ!」


周りがざわつき出す。

そして全員が俺の事を睨むような目で見る。


「私にはあんなに激しくしてたのに…あれもただ欲望をぶつけただけだったのね…」


「おおおおおおい!そんな事してねえだろうが!落ち着こうねルシエラさん!」


もうこの場を抑えるのに必死で頭が真っ白だ。

散々笑ったから俺に復讐をするつもりだコイツ…

これから国王になるってのにこんな覚え方されたら国王どころかここに居られなくなる!

考えた挙句俺はこの場を切り抜ける最後の手段を使うことにした。


「バカにしてすみませんでした。ルシエラ様の言うことは何でも聞くのでどうかお許しを!」


小声で頭を下げながら俺が言うとルシエラは満面の笑みを浮かべる。


「しょうがないわねぇ。じゃあなんでも言うこと聞くのよ」


背中がぞわっとする。

俺はこの後殺されるのかもしれない…


ルシエラは涙拭って周りの人達の方を向いた。


「皆さんお騒がせしました!実は芝居の練習をしていまして!なので私は騙されてなんていません!」


さっきまで泣いていたのが嘘のように元気な声で言う。


このクソ野郎が…もう神だろうが何だっていい。1発ぶん殴りたい…


「クソッ…この知力G野郎が…」


ルシエラにも聴こえないように言ったつもりだったが丸聞こえだった。

そしてルシエラはにっこりと笑いながらこっちを見る。


「今度はお尻触られたって叫ぼうか?」


「マジすいませんでした」


なんとか女たらしとは思われずに済んだ。

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