3話 転送完了?
お待たせしました。3話更新しました。
そして五秒が経ったーー
「もう開いていいわよ」
そう言うルシエラの声は何故かうんざりとした感じの声だった。
それが何故なのかは目を開けた瞬間すぐ分かった。
「よし!着いたか!ってオエエエエ!くっさ!くっさ!」
この特有の臭い……この臭いは……
「ゴミ捨て場だここ……」
「うう……臭いよぉ」
あまりの臭さにルシエラは泣いている。俺もそれに釣られて泣きそうだ。
「なんでちゃんとした場所に転送出来ないんだよ!! 神だろ!? しっかりしろよ!」
流石にここまでダメダメだと誰だって怒る。なんでゴミ捨て場で転送するんだよ。どっかのアニメの天然キャラか。
「だって……転送とか初めてだから……グスッ……」
「そっか。初めてならしょうがなーー」
そこまで自分で言って気づいた。
コイツ今初めてって言ったよな?
「ってしょうがなくねえよ! じゃあまさか現実で死んでこうやって異世界来たの俺が初めて!?」
大きい声を出してしまったためルシエラがびっくりして跳ねる。
「いや、ハルトが2人目だよ。でも1人目はお母さんが担当したから……」
ルシエラはゴミをどけながら涙を拭って言った。
神にもお母さん居るのか。変な所でリアルだな。
「とりあえずここから出ようぜ。臭すぎて息吸えん」
俺がそういうとルシエラはコクコクと頷いた。
それが少し可愛いと思ったがきっと思い違いだろう。うん。
ゴミの山を切り抜け、ゴミ捨て場を出るとおそらく街の裏の隅っこであろう場所に辿りついた。
「うわ。服も臭くなったじゃねえか……」
自分の服を見ると魚の骨やよく分からないゴミがくっついて悪臭を放っていた。この黒のジャージ動きやすくて気に入ってたのに………
ルシエラのワンピースみたいな服も見事に汚れている。白だから汚れが余計目立つ。
「ったく。異世界来た直後臭くなるとか最悪のスタートだな……」
「ごめんなさい……」
申し訳無さそうにルシエラが言う。
今まであんなヘラヘラしてたのに急にこんなガチで謝られると反応に困る。本当に反省しているのだろう。
「べ、別に俺は全然気にしてないから大丈夫だから。気にすんな」
俺が優しく言うとルシエラはいつものウザイ顔に戻った。
「そうだよね。ハルト元々臭いもんね。なんか童貞臭い」
もうコイツに金輪際絶対優しくしねえ……助けてもあげない。
「マジでムカつくなお前…置いてくぞ」
そう言うとルシエラがにんまりと笑う。
「別にハルト居なくてもこの羽があればどこにだって行け……」
自慢げに羽を触ろうとするがここに来る前についていた羽が付いていない。
「あ、あれ!? 羽がない!」
なんだろうこの凄いざまあみろって気持ち。
優越感パネェ。
ここは少し虐めてやろう。
「1人で何とかなるみたいだしもう行くな。じゃ」
俺がそのままそこから去ろうとするとルシエラは号泣しながら抱きついて足にしがみついてきた。
「わあああ!! ごめんなさい! ごめんなさい! 1人じゃ怖いでず! 一緒に行動じてええ!!」
マジで子どもみたいだな…やっぱり本当は怖いとか思ってたのか。
ここは一つ無理な事を言わせてみるか。
「今まで馬鹿にしてごめんなさい。えっちいことでも何でもするから助けて下さい。お兄ちゃんは?」
俺はその言葉を堂々と放った。どうだ!これは言えないだろう。
それは出来ませんって言われたらしょうがないから助けてやる事にしよう。
「えっちい事でも何でもするので助けて下さい!お兄ちゃん!」
涙ぐみながらルシエラは言った。
「お、お前なぁ……」
どんだけ1人が嫌なんだよ……
しかし無理やり女の子にお兄ちゃんとか言わせるってちょっとアレだな……正直妹キャラ好きには最高のご褒美だ。
「バカ野郎。そこまで言わなくても置いていかねーよ。何も無い女の子1人のまま置いてけるかっつうの」
あ、今すげえかっこいい事言った俺。
俺はそう思ったがルシエラは全くかっこよくねえよキモい。って感じの顔をしている。
「もういちいち突っ込んでたら日が暮れる……もう行くぞ」
「だね。早く行こう!!お腹も空いたし!!」
いつの間にかルシエラの目からは涙がすっかり消えていた。
「ホントお前はマイペースっていうかなんていうか……」
ゴミをかき分け30分程した後、俺らはやっとのことゴミ捨て場から出ることが出来た。
読んでて気づいたと思いますが今回は話があまり進んでいませんw
状況とかがわかりやすくなるように文を増やすことにしました!
土曜日更新とか言いましたけど結局書きたくなっちゃって更新しましたw