判決は地獄行き!?
新しく書いたバトル系ファンタジー物です!
目が覚めた俺は何故か雲の上のような所にいた。
「ここは……」
周りには何も無く真っ白だ。
ってかどうして俺はここにいるんだ。っていうか今日何日? それすら思い出せない。
「あ、やっと目覚めた? 全く、いつまで寝てるんだか……」
ふと後ろを向くと、真っ白なワンピースの様な服を着ている白髪の女の子がいた。その顔は傷一つ無い真っ白な肌で、美少女という言葉がピッタリだ。服の布越しに伝わっている胸の膨らみは丁度いい感じでその姿はまるで天使のようだった。
誰だコイツ……どっかのアニメの天使のコスプレみたいだな。それにしても可愛い。
歳は俺と同じぐらいか?俺より少し身長が低いかな。
「誰お前」
初対面から馴れ馴れしく話しかけてきた彼女に、俺は無愛想に返した。
「神に初対面でお前呼ばわりするとは罰当たりな人だね……」
少し怒った口調で言う女の子。
今神って言った?
「は? 神? お前中二病?」
自分を神と名乗るとか痛い奴だな。俺にもそういう時期が無くは無かったけど……
「違うわ!! 本物の神だよ! 君達が良く言ってるあの神!!」
すかさず自称神がツッコミを入れる。
なんか知能低そうだな……バカっぽい。
「今酷いこと思ったでしょ?」
コイツは人の心でも読めるのだろうか。いや、顔に出てただけか。
「んでここはどこだ? 俺はなんでこんなところにいる?」
何か思い出せそうな気がするが頭に何かが引っかかるようで思い出せない。
「あー君気づいてないのか。実は君今さっき病院で亡くなったんだよ」
え?
頭の中の機能が一瞬止まる。
「ん? もう1回言ってくれ」
病院で亡くなったとか聞こえたけど間違いだよな。空耳だ空耳。
「だから病院で亡くなったの。死因は心臓発作だって」
なぜに心臓発作。
昔から貧血気味だったがそんな理由で死んだのか? ってか自称神の言うことなんて信じられんな。
「心臓発作? 心臓発作が起きた記憶なんて……」
そう思い記憶を辿ったら曖昧な記憶が蘇ってくる。
よく考えたら思い出してきた。確か学校の帰りに急に苦しくなって倒れたんだ。
その後は前が真っ暗になって目が覚めたらここに……
「まあ急な事だから受け入れづらいかも知れないけどね〜」
自称神が髪を指でクルクルしながら適当に言う。
人の死を他人事のように……
まあ毎日平凡過ぎてつまらなかったし、あまり後悔はない。と、言いたい所だが若くして死んだのは少し後悔がある。
18歳になって、店のえっちいコーナー行ったり、20になって酒飲んだり、タバコ吸ったりはやっぱりしたかったもんだ。
「あー。死んだのか俺。やっと学校行かないで済む」
だがもう学校に行かなくていいと思うと、少しばかり気が楽になる。
「普通の人はここに来たらまず親はどうしてるかとか気にすると思うんだけどね……」
「生憎親は俺が子どもの頃にどっちも死んでな。そういう考えは出てこない」
子どもの頃に親と車に乗ってた時事故に合って助かったのは、俺だけだった。
その後は、祖母と暮らし高校から一人暮らしを始めてたため、そんなに気にならない。
「まあ強いて言うなら親と同じ場所に来れて良かったかな」
改めて自分が死んだって実感すると悲しいもんだな……結局普通に暮らして終わったしもっと色々すれば良かったな。
「そっか。まあ君の親の事は知ってるんだけどね」
「は?」
何で知ってるんだコイツ。
ってかさっきから何見てるんだ。なんかの紙?何かが書いてあるけど見えないな。
「何見てるんだ?」
「君の事が隅から隅まで載っている情報紙だよ」
そう言う自称神の顔は今すぐ吹き出して笑いそうだ。
「なんでそんなもん持ってんだよ!?
ってクスクス笑いながら見るな! エッチ!」
そんなに俺の情報が面白いかよ……
別に普通だろうが。
「だって……これ、小学生の頃に犬に吠えられて漏らしたってどんだけビビリなの…アハハっ!」
耐えられなくなりついに吹き出し、声を上げ笑い出す自称神。
その顔を見ていたらどことなく殴りたいという感情が湧いてきた。
「だああ! そんな情報要らないだろうが!!なんでそんな隅々まで書いてあるんだよ! 見るな!」
人の恥ずかしい出来事をその人の目の前で笑うなんてコイツどんだけだよ……これじゃ神じゃなくて悪魔だ。
「いやいやちゃんとした情報も書いてあるよ。えーと……名前は穂村颯斗。
高校一年生の16歳。血液型はA型。誕生日は10月3日。死因は下校中の心臓発作により搬送先の病院で死亡。」
まあこれはちゃんとしてるな……
「ププッ!彼女いない歴16年の童貞……」
また人の気にしてるところ見て笑ったよコイツ。
「だからなんでそういうどうでもいい情報が書いてある!!嫌がらせか!」
もう嫌だ……家でアニメみたい。ゲームしたい……
「とりあえず落ち着きたまえ」
「お前のせいでこうなってるんだよ!」
「他のも見てみよ」
「もういいだろ……」
個人情報を他人に知られるのは、あまりいい気がしない。
コイツは人かどうか分かんないけど。
「学力は中の中。運動能力は下の中。好きな物はアニメ。妹キャラ好き……」
「キモッ」
心底気持ち悪そうな顔をされると少し、いやだいぶ傷つく。
「ボソッと言うな! いいだろ別に! 可愛いじゃん妹キャラ!」
妹キャラを超えるキャラは今まで見たことがない。居るなら是非見せて欲しいぐらいだ。
「友達は皆無……アハハハハハっ! ダメだ! お腹痛い!」
お腹を抑えて笑いまくる神を見ているとついに殺意が湧いてきた。
「結構普通の人だと思ってたけど意外とアレな人なんだね……」
アレな人ってなんだ。
変態なのは認めざるおえないが。
「えーと……せーへき? は優しくいじめられながらされるのが好き……ナニコレ」
神は首をかしげて疑問の表情を浮かべる。どういう意味か分かってないようだ。
ダメだ。これ以上知られると幻滅されるだけだ。話を変えよう。
「もういいからこの世界とかの事について説明をしてくれ。 そろそろ知りたい」
「えーめんどくさ」
雲の上に横たわってゴロゴロする自称神。
マジでなんでここにいるのコイツ。今の所邪魔なだけなんだけど……
心底嫌な顔を神に見せる。
「そんな露骨に嫌な顔しないでよ……ちゃんと説明するよ」
良かった。ここで説明しないとか言ってきたら初めて女の子を殴るところだった。
「今君がいるここは死んだ直後の人が来る現実と死後の世界の狭間。つまり君は今幽霊みたいな立ち位置なんだ」
へえ。幽霊ってマジで居たのか。
「なんで俺幽霊じゃないんだ?」
「幽霊になるには相当の恨みや憎しみが必要だからね。君はそういうのあまり無かったしここに直で来たってわけ」
まあ確かに誰かを恨むような事はあまりされたこともした事も無いしな……
いや友達が全く居なかったからとかじゃないから。そこは決して勘違いしないで欲しい。
「まあ幽霊になってもすぐ成仏してここに来て即地獄行き決定だけど」
「地獄!?本当にあったのかよ。幽霊にならなくて良かった……」
幽霊になったら何しても地獄行きってことだろ? 絶対嫌だなそんなの。
「何言ってんの。君も地獄行き予定だよ」
きょとんとした顔をする神。
「は?」
この人笑顔でなんてキツイ冗談を言うんだろう。てっきりマジかと思っちゃったじゃないか。
「冗談か。みたいな顔されても困るんだけど。マジで君地獄行きだよ?」
なんで?俺なんか悪いことした? 悪いことって言っても学校サボったとかそういう可愛いくて許されるイタズラぐらいだぞ……
「な、何で?」
「なんでって特に結果残さない人は生きてる意味が無かった人ってカウントになるからね」
いやまぁ確かにそうだけども! 特に結果とか残してないけども! それでも地獄行きになるのかよ!
「君何かで活躍したとかなんかで優勝したとか記録全くないんだよね。ここまで何も無い人珍しいよ」
その言葉が胸に刺さる。考えたら本当に何も残してないな俺。
「まあとりあえずそれは置いといて。地獄って言うけどどういう所なんだ?」
こうなったら地獄に行くことを決心しよう。決意する事も重要だ。
「毎日肉体労働させられて休んだ瞬間1回殺されるよ。後地獄はずっと死ぬ直前みたいな空間らしいよ。これは噂だけど」
あ、無理です。これ無理なやつですわ。
「へ、へぇ〜。と、ところで地獄に行かないで済む選択肢は…」
「残念!ありません!」
俺の人生終わった……もう終わってるけど
「まあ地獄で1000年過ごしたら普通の暮らしが出来るけど天国までは行かないぐらいの世界で一生過ごせるならそう落ち込む事は無いよ」
ゴロゴロしながら言う神。いかにも早く地獄にいけという意志が伝わってくる。
「全然フォロー出来てないよお前」
1000年を死ぬ直前の空間で過ごす? 無理無理。一般人にはハード過ぎです。考えただけで死にそう。
「マジで地獄行くしかないのか!? 他に何か俺に選択肢は無いのか!?」
今まで生きててこれほど嫌なことは無かった。どうにかして避けたい。
「だからもう諦めなよ。他に選択肢はーー」
と言いかけてピタッと止まる神。
「あ、あるっちゃあるか」
「マジか!? どうすればいいんだ!?」
地獄行きを避けられるのなら何だってする。今の俺なら沢山の人の前で全裸で踊れと言われたら踊るだろう。
「まあなんてったって神だから君にチャンスを与える事ぐらいは出来るよ」
「神様! 何でもします!!」
あまりの嬉しさに涙が出る。ジーザス!!
「そ、そんな泣いてまで地獄行きを避けたいの……」
当たり前だ。誰だってこんな状況になったら泣く
少なくとも俺みたいな弱虫は。
「現実の世界とは別にもう一つの世界。つまり異世界があるんだけどね」
異世界?アニメでよく見るな……ってかよく考えたら俺の今の状況もアニメみたいだ。
「じゃあまずはその世界で1週間以内に一番弱い国の国王になったら地獄行きは免除にしてあげるよ」
「は?1週間以内に国王?無理に決まってんだろ!」
いくら一番弱い国でも1週間で国王なんて無理ゲー過ぎるだろ。1年かかる仕事を1日で終わらせろと言われてるようなものだ。
「じゃあ地獄行く?」
ニヤッと笑って元気な声で神が言う。
「頑張って国王になります!!」
グッバイ俺の平凡な人生!!
こうして俺のもう一つの人生が始まった。
読んでくださりありがとうございました!!
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