地裏ムカサの日常
ナイトウィザードリプレイのファンです。
リプレイを読んで、小説を書いてみたくなりました。
用語や世界観で解釈の間違いなどしていたら、ご指摘いただけると助かります。
既存のキャラクターのイメージを壊したくなかったので、登場人物はオリジナルのものです。
よろしくお願いします。
地裏ムカサ《ちうらむかさ》は深夜、自室でいつものように肉体に鞭打っていた。
文字通り上半身を脱ぎ、結んでコブを作った麻縄で背中を打つ。
本棚の上にはとぐろを巻き瞳を閉ざした大蛇の置物がある。とぐろの中央には青い水晶球があり、見る者が見れば魔王レビュアータの偶像であることが一目でわかるだろう。
ムカサは偶像に向かって再拝し、ひざまずき、自らの背に鞭を打つ。背中の皮が裂け、血が滴るまで続けるのが日課である。
闇の落とし子にしてウィザードであるムカサは、契約により魔王の力の一部を使うことができた。ムカサは代償に、自らに苦行を課した。魔王が求めたわけではない。苦行により魔力が増すわけでも、魔王の力が増すわけでもない。
ただ自らの戒めとして、ムカサは鞭打つことを止めるつもりはなかった。
肉体に鞭を打てば、何よりもまず苦痛による発汗が生じる。
肉が裂け、血が流れるまで続けることを日課とした結果、ムカサは苦痛であればほぼ耐える自信があった。ただし、眠るときは常にうつ伏せである。
部屋の中に十分に血の香りが充満した時、ムカサの苦行は終わる。
熱い湯船には浸からない。痛いからである。