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その後の更に後の話※リリアンヌ※

 

 リリアンヌにとって最も幸福だったのは、彼女が愛したゲームの世界に転生したことである。そして彼女にとって最も不幸なのは、それは転生した先が彼女の愛したゲームの続編だったことである。


 リリアンヌが前世の記憶を思い出したのは、彼女がエレシアナ学園に入学したまさにその日、学園内で道に迷ったときである。ちょうどゲームのオープニングアニメにあたるこのシーンで、彼女は全てを思い出し、そして喜ぶと同時に悔やんだ。

 手遅れだったのだ。この時すでに、彼女の最愛の人は前作の恋人と結ばれていた。


 パトリック・ダイス。

 前作のメインヒーローであり、シリーズ通して最も人気の高かったキャラクター。

 前世でリリアンヌは彼に惚れていた。惚れ込んでいた。いや、愛しているとさえ言えるほどかもしれない。彼のルートは何十回とやりこみ、選択肢も台詞も全て覚えた。グッズも買い揃え、藍色のブレスレットに至っては何本持っていたか……。続編だってパトリックがでると聞いたから購入したのだ。

 それぐらいに彼を愛していた。彼だけを愛していた。――それはオタク等という簡素な言葉では表現しきれず、前世の彼女の両親や友人が心配するほどであった。もっとも、本人はそれにすら気付かぬほど次元の違う愛におぼれていたのだが――


 だからこそ、どうして自分がアリシアではなくリリアンヌなのか。それが悔しくて堪らなかった。

 それでもリリアンヌを奮い立たせたのは、この続編においても僅かながらにパトリック・ダイスが登場するからである。最後の最後、制作陣がお遊びに入れたおまけの一瞬、それでも彼に会えるならとリリアンヌは逆ハーレムルートを辿る決意をした。

 もしかしたら彼が振り向いてくれるかもしれない、自分だって主人公なのだから……と。


 そんなリリアンヌの考えを後押ししたのが、皮肉なことにメアリ・アルバートの存在だった。

 いるはずのない前作の悪役令嬢、本来であればどのルートでも北の大地においやられているはずの彼女は、王家と深い絆をもつアルバート家の令嬢としてエレシアナ学園に留学してきたのだ。

 それがまたリリアンヌの『もしかして』に拍車をかけ、そして同時に彼女を急かした。

 パトリックが前作の主人公と結婚する前に、まだ間に合ううちに出会わなければ……と。そのためには不要と思えるイベントを省き、早急に逆ハーレムルートを進める必要がある。

 幸いと言えるかは定かではないが、リリアンヌはパトリックだけを愛しており、ゆえに他のキャラクター等どうでもよかった。愛を囁かれても、いつだって頭の中にいるのはパトリックだけ、ゆえに客観的に現状とストーリーを照らし合わせて進めることが出来た。


 敵を作るリスクもなにも考えなかったのは、「所詮はゲームの世界」という想いがあったからか、それともパトリックを想うあまり盲目的になっていたのか……。

 どちらにせよ、パトリックのためだけに何十回とプレイした逆ハーレムルートはリリアンヌにとって何より勝手の分かるルートであり、本来友情を育む女性キャラクター達も彼女にとっては『省く要素』であった。

 それどころか「彼と同じ世界にいる」というだけで嫉妬の対象であり、前世の彼女はリリアンヌ(主人公)にさえ嫉妬していた程だ。

 ――特定のキャラクターを愛するあまり、そのキャラクターの周囲に嫉妬し、とりわけ異性に攻撃的になる……という熱狂的なファンは極一部だが存在する。前世のリリアンヌはまさにそのパターンであり、対してカリーナはパトリックはもちろん比較的全キャラクターに好意を抱いていた。メアリに至っては、もう誰を目的にゲームをプレイしていたのか思い出すことも出来ず、必死に思い出したところで「アディ以外にいるわけがないわ」と記憶改竄しそうなほどである――


 とにかく、そんな状態でリリアンヌは逆ハーレムルートを辿った。

「もしかしたら」の可能性に賭けて、手遅れな恋を諦められず、前世の記憶にしがみついて……。


 そうして彼女が辿り着いたのは、パトリックとの幸せなエンド……ではなく、本来ならば前作の悪役令嬢メアリが追いやられる場所。

 北の大地、そこにある全寮制の学園。

 防寒のためか頑丈な作りはどこか重苦しく感じられ、見上げれば息苦しさすら感じられる。授業中なのだから当然と言えば当然なのだが妙な静けさを感じ、まるで拒絶されているようでリリアンヌの足を重くさせた。

 不安と後悔だけが胸をしめ、思わず瞳に涙がたまる。誰もいないこの薄ら寒さがより不安を増させ、いっぱいまで荷物を詰め込んだ鞄が重くて腕が痛む。


 ただ大好きな彼に会うために必死だった。

 なりふり構わずに手遅れな恋に足掻いた。

 なにを言われても、誰の恨みを買っても、彼が自分に微笑んでくれるのならそれで良かった。


 だというのにリリアンヌに残されたのは、メアリ・アルバートを庇うパトリックから向けられた冷ややかな視線と、そして楽しそうに取り繕っていた無様な一年間の記憶。

 前世ではどれだけ彼のいる世界にいきたいと願ったことか、だがその結末がこれでは、いったい何のために前世の記憶が蘇ったのか分からない。なにより、その前世の記憶に頼ったばかりに自分はこの土地に追いやられたのだ。

 苦しんで、足掻いて、そして迎えたこの結末……。


「それなら、思い出さなきゃ良かった……」


 ポツリと呟きつつ、リリアンヌが門を通る。

 エレシアナ学園に比べて華やかさがだいぶ劣る門には警備員の姿しかなく、それがまたリリアンヌの孤独感を増させて視界が涙で揺らぐ。

 それでも行かなければならないのだ。むしろリリアンヌのしでかしたことを考えれば、それがどこであろうと居場所があるだけ御の字だろう。

 そう考え、リリアンヌが重い足を引きずり……


「また道に迷ったのか。そっちは裏門だぞ」


 と聞こえてきた声に慌てて振り返り、そこに立つ『いるはずのない人物』に目を丸くさせた。


 濃い茶色の髪に、緑かかった深い色合いの瞳。甘くそれでいて大人の魅力を感じさせる風貌と、スラリとした体つき。そして深く胸に沈み込む声……。


「カイン……」


 リリアンヌがその名を呼ぶ。だが彼はそれに対して返事をせず、リリアンヌに歩み寄るとコツンと軽く頭を叩いた。


「先生、だ」

「……え?」

「先生と呼べ」


 そう窘めるように告げられる言葉に、リリアンヌが小さく息を飲んで逃げるように視線をそらした。

 この言葉に聞き覚えがある。……いや、実際に聞いたのはこの言葉ではなく、真逆の言葉だ。

 それは彼の(カイン)ルートで言われる台詞の一つ、「先生ではなく名前で呼んでくれ」と、それまでの子供扱いから一人の女性として扱われるようになるきっかけの言葉。だが今言われた言葉はそれとは逆、ルート上の台詞が彼と親しくなったことを示すのであれば、先ほどの言葉は逆に距離を感じさせる。


「先生……あの、私」

「全部聞いた」

「……全部?」

「信じ難いことだが、ゲームだとか記憶のこととか、メアリ嬢とカリーナ嬢から全部聞いた」

「そ、そうなんですか……」


 ジッと見据えられ、居たたまれなさに思わずリリアンヌが俯く。

 ゲームのことを知り、彼は自分を責めにきたのか……そう考えれば自分の情けなさが増す。

 顔を上げ、彼がどんな表情をしているのか確認することさえ恐ろしくて出来ない。身勝手だと分かっていても、これ以上の拒絶はリリアンヌには耐えられそうにない。

 それでも何か話しかけなければ静寂に胸を押しつぶされそうで、俯き、そのうえ視線をそらしたままリリアンヌが呟くように尋ねた。


「……せ、先生は……どうしてここに……?」

「きみの監視だ」

「私の、監視?」

「きみのような問題児を一人で転校させるわけにはいかないだろ。こっちで何かしでかせば、エレシアナ学園の名にも傷がつく」

「それで、先生も……?」

「あぁ、今日からここの教員として働くことになった」


 予想外の返答にリリアンヌが顔を上げる。

 柔らかく微笑んでくれた彼の顔も今は険しく、茶色の瞳がまっすぐにリリアンヌに向けられる。

 まるで問題児を見張る模範的な教師といったその瞳に、それでもリリアンヌの瞳から涙がこぼれた。


「……先生も、ここで?」

「そうだ、きみを見張るために」

「私、一人じゃない……?」


 今まで胸をしめていた不安と孤独が解され、僅かながらに安堵が浮かぶ。

 それと同時に胸に湧き上がるのは、彼の魅力に気付かずに必死に男を落としていた自分の不甲斐なさ、そしてこんな状況になってもまだ自分を見捨てずにいてくれる彼への深い感謝。

 前世の記憶に躍起になって画面越しに抱いた手遅れな恋に足掻くより、ちゃんとこの世界を見て彼の手だけをとればよかったのだ。それを思えばリリアンヌの瞳に更に涙がたまり、一度深く息を吐くと同時に頬を伝って落ちた。


「先生……ごめんなさい……」


 謝罪の言葉を口にした瞬間、堰を切ったように大粒の涙がボロボロと零れる。

 可愛らしく演出したいかにもか弱い女の子の泣き顔とは違い、グズグズと鼻をすすって乱暴に目元を拭う姿に、謝られたカインも思わず苦笑を浮かべた。

 そうしてゆっくりと手を伸ばして頬を撫で……はせず、スカーフを取り出して差し出す。攻略対象者と主人公であれば頬を撫で、涙を拭って抱きしめそうなシーンではあるが、今の二人は教師と生徒なのだ。

 リリアンヌもそれが分かってか、差し出されたスカーフを「ありがとうございます」と情けない涙声で受け取った。


「リリアンヌ、もう一度俺を『カイン』と呼びたいのなら、前世の記憶に頼らず、きみが(・・・)頑張るんだ」

「……もう一度、呼んでもいいんですか?」

「きみ次第だな」


 困ったように笑って肩を竦めるカインに拒絶の色はなく、リリアンヌの涙が更にあふれ出す。


「はい……先生……私、がんばる。今度こそ、私が(・・)頑張ります……」


 リリアンヌが目元を拭い鼻をすすれば、カインが苦笑を浮かべつつ、方向音痴な教え子を華やかな正門へと案内すべく、重そうな鞄を持ってやった。


 いつか手を繋いで案内してもらえるかは、リリアンヌ次第だ。




 そんなことがあって数ヶ月後、メアリはアディの部屋のベッドに寝転がりながら自分宛の手紙を読んでいた。

 北の大地から送られてきた便箋には、かたや大人の男らしい簡素ながらに整った字が、かたや女性らしい少し癖のある可愛らしい文字が、それぞれ遠い地にある学園での出来事を綴っている。


 リリアンヌの北の大地行きの手配を終えたメアリは、身の保全を約束する代わりに定期的な連絡を条件付けた。それと、彼女を監視すると名乗り出た教師にも同様に報告を頼んでおいた。

 もちろんこれはリリアンヌの処断を提案した身としての責任からであり、そして親戚の管理する土地で再び逆ハーレム騒動を起こされたらたまったものではないからである。

 だが手紙を読む限りその心配も不要だったようだ。それどころか送られてくるたびに内容が楽しげな学園生活の報告と化し、それどころか徐々に甘さすら感じさせるのだから苦笑を浮かべるしかない。


「だから北の大地とは言っても悪い場所じゃないって、私は以前から言ってたじゃない」


 思わずメアリが苦笑しつつ便箋越しにリリアンヌに話しかける。

 カリーナもリリアンヌも、北の大地に対して敗者がおくられる負の土地とでも思っていたのだろうか。実際は観光地として賑わう渡り鳥が見物の良い土地なのだ。

 確かに不便かもしれないが田舎ゆえの利点は大いにあり、二人なら(・・・・)それも悪くないだろう。


「しかし、お嬢がリリアンヌさんの面倒をみるなんて意外ですね」


 二人分の紅茶とケーキを持ってきたアディが告げれば、彼のベッドで横になっていたメアリが起きあがりつつ「そう?」と返す。

 だが確かに、アディが意外に思うのも仕方あるまい。なにせメアリはリリアンヌの処分を買って出て、北の大地とはいえ転校の手配までしたのだ。それどころか、リリアンヌによって迷惑をかけられた令嬢達のもとへ「これで納得してくれるかしら?」と了承を得るように聞いて回っていた。

 もちろん、アルバート家の令嬢であるメアリに言われれば納得しない者などいるわけがなく、一部は


「メアリ様がそう仰るのなら」


 と、どこか憑き物が落ちたようにホッと安堵の表情を浮かべつつ了承し。

 また一部は


「そちらで処理して頂けるならお願いします。私、忙しくって」


 と、新たな婚約者や狙っている男の腕をとりデートへ向かい。

 また一部は


「リリアンヌさんについてはそれで構いません。ところでメアリ様、お兄様の趣味と好きな食べ物とあと好みの女性はいつになったら教えてくださるんですか」


 と、無理矢理話をかえてくる者もおり――ちなみに、この話に対してメアリが「いつになったらも何も、初耳よ!」と喚いた――

 そして中には


「あ、あんな方もう知りません! ガイナス様なんてもっと知らないんですから!」


 と、まったく話題に出していない人物の名を口にしてプイとそっぽを向く者までいた。


 そんな三者三様の反応ではあったが結果的に全員が了承したのは、彼女たちがあの逆転劇で『捨てられた女』ではなく『捨てた女』にまわったからだろう。

 令嬢達の中でリリアンヌは『自分から男を奪った女』ではなく『自分が捨てた男にも捨てられた女』であり、哀れみこそ向けても更に苦しめようとは思わないようだ。

 所詮は政略結婚、愛より利益を重視した関係だったからこそ、より良い条件を見つけた彼女たちが過去を振り返ることはない。もっとも、それが分からず未だ必死に彼女たちに追い縋っている者もいるようなのだが、それはメアリの預かり知らぬところである。


「でも、その先生はリリアンヌさんを追いかけたんですよね」

「そうよ」

「大丈夫なんですかねぇ……」

「あら、言わなかったっけ? 彼にはちゃんとゲームのことを話してるのよ」

「えっ!?」


 紅茶を注いでいたアディが思わず声をあげる。

 だがいくら慌てていても零すことがないあたり、流石はアルバート家の従者である。……もっとも、今は従者どころかそのアルバート家に婿入りしているのだが。


「話して、信じてもらえたんですか?」

「流石にカリーナさんと二人で話したからね。でもまぁ、最初に私だけが話したんだけど、その時は冷ややかに「こいつ何言ってるんだ」って顔をしていたわ」

「お嬢はカレリア時代の奇行(前科)がありますから」

「そう、奇行! その奇行なんだけど、お父様が留学前に学園長に話をしてたらしいのよ!」

「旦那様が?」


「えぇ……『うちの(メアリ)は奇行に走るけど、片割れがいないときは比較的大人しいから』って……」


「……俺だぁー、片割れどう考えても俺だぁ」


 二人揃って頭を抱え込む。そうしてしばらく経つと互いに「このことは後回しにしよう」と視線を交わし、さも何もなかったかのように顔をあげた。


「そういうわけだから、あの先生は全て承知でリリアンヌを追いかけたのよ」

「それならあとは本人次第ですね。しかしその先生の手配までするなんて……ほんっとう、お嬢は人が良いですねぇ!」


 わざとらしく強調するアディに、意図を察してかメアリもまたわざとらしく「それぐらい当然よ」と微笑んで返した。

 その優雅とさえ言える笑みに、アディが何か確信を掴んだようにヒクと頬を引きつらせた。


「貴女って人は! この期に及んでまだ何か企んでいるんですか!?」

「あら、人の良い令嬢にむかって企むなんて失礼ね」

「撤回します! 貴女は無償で彼等の手配をしてやるような人では断じてありません!」

「そこまでハッキリ言わなくても良いでしょ!」


 暴言夫!とメアリが喚き……それでも何かしら思うところがあるのかニヤリと笑った。先程までの優雅な令嬢の微笑みとは違い、悪戯気なその笑みのなんとメアリらしいことか。

 そうして勿体ぶるかのように紅茶を一口飲むと、「私ね」と話しだした。


「私、実はリリアンヌのことは嫌いじゃないの」

「えっ、そうだったんですか?」

「あ、言っておくけど性格は嫌いよ。でもね、逆ハーレムルートをあれだけ早く進めた手腕は高く評価してるの」


 結果的には失敗したものの、メアリはリリアンヌの手腕には一目おいていた。

 彼女はたった一つの選択肢も間違えられないという最難関のルートを、更に一部の要素を省いて進めていったのだ。もしもメアリやカリーナというイレギュラーさえ居なければ、リリアンヌは逆ハーレムエンドをむかえていたかもしれない。

 それに何より……と、メアリが言い難そうに視線を泳がせた。


「それに、ほら……ゲームの知識があったってねぇ……こう、物事が思った通りにいくとは限らないじゃない……?」

「あぁそういえば、これといって急いだわけでも難しい道を選んだわけでもなく、順調に進んでいる流れにのったのに目的を果たせなかった方もいましたね」

「うぐぅ……」


 思わずメアリが胸元を押さえるのは、言わずもがな自分のことだからだ。

 それでもすぐに開き直り「えぇ、そうよ」と逆に胸を張れば、そんなメアリに対してアディが苦笑を浮かべつつ「それで」と話を改めた。


「それで、なんでリリアンヌさんを北の大地に?」

「あら、北の大地にいったのは彼女一人じゃないわよ」

「あの先生ですか」

「優れた先生だったのよ。私、彼の授業が聞きたくて留学したんだもの」

「ふぅん、お嬢の目当てはその先生の……えっ!?」


 言い掛け、アディが驚いたように声をあげる。その声を聞くメアリの楽しそうな表情といったらない。


 メアリが手腕を認めるリリアンヌが北の大地に行った。

 性格に難ありな彼女だが、教師が監視しているなら更正するだろうとメアリは踏んでいる。

 そんな教師はメアリが留学してまで学びたかった分野……そう、経営学(・・・)の担当だというのだ。


 そんなメアリの考えを察したのか、アディが頬を引きつらせながら「お嬢……」と呟いた。


「ねぇアディ、私以前に貴方に『副店長にしてあげる』って言ったわよね。あれなんだけど……」


 伺うように首を傾げ、メアリがアディを上目遣いで見上げる。

 そうして優雅に微笑み……とはいかず、いかにも楽しいと言わんばかりに悪戯気に微笑んだ。


「支店長でもいいかしら?」


 その言葉にアディは言葉を失い、盛大に溜息をつきつつ

「もう好きにしてください」

 と弱々しく返すだけで精一杯だった。




※本編まったく関係ない雑談※

この作品は下書きとしてメモ帳に全話書いてからポメラに打ち込んでます。

どの話も書ききった最後のページにはページ数と「おわり」と、あと落書きしてたんです。まな板の最終ページはハートだったり、これから投稿予定のパルフェットの話は花が描いてあったり。

このリリアンヌの話には、最後のページに


オワタ

\(ё)/


って描いてありました。


オワタ

\(ё)/


次の番外編は、例のあの人です。

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