表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/225

25

 

 

 そんな一件が終わればエレシアナ学園にも平穏が戻る……わけがない。


 なにせあれほどの逆転劇を果たしたのだ。学園内のヒエラルキーが一転したのと同然、リリアンヌを囲んでいた男達の転落ぶりといったらない。

 今まで彼等の家の恩恵を受けようとしていた取り巻きもさっさと手の平を返し、黄色い声をあげ熱い視線を送っていた女子生徒達も冷ややかな視線を向ける。砂上の楼閣は見事に崩れ落ちた。

 そんな状態なのだ、普通であれば不登校にでもなりそうなものだが、今の彼等にとって学園よりも家の方が針の蓆なのだろう。というより、家に居場所がないどころか家に入ることすらできない者もいる。

 そういうわけで、あんなことがあってもなお彼等は学園に通い、そして


「あ、あの、マーガレット嬢……先日の件なんだが……」

「頼む、もう一度俺の話を聞いてくれ……!」


 と、一度捨てた令嬢のあとを必死に追いかけていた。

 言わずもがな、彼等を崖下に突き落としたのが彼女達であり、家から絶縁を叩きつけられた現状を救えるのも彼女達だけだからである。とりわけ「複数の男がいても、俺を愛してくれているなら」と考えていたリリアンヌの気持ちが微塵も自分に向かっていなかったと知ったのだから、なおのこと切ったはずの縁に縋りたいのだろう。

 ちなみにリリアンヌは処分待ちの自宅謹慎である。聞けば、あのあと教師や関係者の親たちに問い詰められた彼女は逆ハーレムの中央にいながらパトリックへの愛を訴えたという。

 ――ちなみに、それを聞いたメアリの感想は男達への同情でもリリアンヌへの哀れみでもなく、その場にいたカリーナの悪役ぶりが見たかった、というものだった。だが早々に帰ったことを然程悔やまなかったのは、流石アディが勧める店だけあってコロッケが美味しかったからである――


「ほとんどの家が、再度婚約にこぎつけたら許すと決めたようです。そりゃ必死にもなりますよね。私は絶対に、何があろうが、謝られようが、脅されようが、泣かれようが、許す気はありませんけれど」


 冷ややかに言い切って紅茶をすするのはカリーナ。その隣に座るパルフェットがつられるようにプクと頬を膨らませるのは同意だと訴えているのだろうか。

 そんな二人を眺めつつ、メアリが小さく溜息をついた。周囲からチラチラと視線を向けられているのだ。


 勿論それは逆転劇の仕掛け人であるカリーナと、誰よりも立場が逆転し影では次期アルバート家夫人とさえ言われているパルフェット、そして――本人にとっては黒歴史だが――リリアンヌに止めをさしたメアリ、と噂の渦中にいる三人が揃っていれば、注目するなというのが無理な話。

 それに……とメアリが横目でチラと視線を移した。三人が座るテーブルの横、美しい令嬢の茶会に似合わぬオブジェ……。

 体躯の良い男が、頭を下げるという……。


「……ねぇ、なんでこの状況でお茶ができるの!? 彼、さっきから二時間くらいあの体勢じゃない!」

「あらメアリ様、いったい何の話をされているのかしら。ねぇパルフェットさん」

「えぇ、まったく分かりません」

「なんて恐ろしい……! いったいどこの世界に頭を下げる男を眺めながら紅茶を楽しむ令嬢がいるっていうのよ。私さっきから何を飲んでも食べても味がしないわ!」


 喚くメアリに対して、パルフェットとカリーナが顔を見合わせる。

「彼女は何を言っているんでしょう」「ねぇ」とでも言いたげな二人の表情に、メアリは目眩さえ覚えていた。二人が愛らしく、美しいからこそ余計に薄ら寒い。

 ちなみに、茶会のオブジェとは言わずもがなガイナス・エルドランドである。

 彼は体躯の良い体を直角同然にまで曲げ、まさに謝罪といった姿勢で構え続けている。その時間は既に二時間……流石は文武両道・運動神経に優れたガイナスである。その体力と筋力は流石の一言に尽きる……が、今はそんなことを感心している場合でない。

 それに流石のガイナスも頭を下げ続けて体力と気力の限界が近いのか、顔色が悪くなりつつあるのだ。

 対してパルフェットもカリーナもそんなことお構いなしと楽しげに紅茶を楽しんでいる。それどころか、まるで彼がいないかのような雰囲気を醸し出している。

 その温度差にメアリがフルリと体を震わせた。


「と、ところで、私もう少し……何か食べたいと思うんだけど、いかがかしら?」


 しどろもどろ、おまけにガイナスにチラチラと視線を向けつつメアリが伺えば、令嬢二人が「もちろんです」と嬉しそうに頷いた。――愛らしいパルフェットと美しいカリーナの笑顔は、メアリが男ならば一瞬で虜になってしまいそうなほどである。あくまで、オブジェが視界に映らなければの話だが――

 そんな輝かしいほどの笑顔で「何を食べましょうか」と楽しそうに話す二人に、メアリが何とか彼女達をこの場から移動させようと「実際に見て選んだらどうかしら」と提案した。


「それと、出来れば私の分も用意してもらえるかしら。足が疲れてしまって、立ち上がりたくないの」

「あら、ずっと座ってましたのに?」

「この状況で座ってるからこそ精神的なものがきたのよ……と、とにかくお願いね」

「はい、では幾つかお持ちしますね」


 ガイナスのことは視界に映らないのか、パルフェットが嬉しそうに笑いカリーナと共に席を立つ。そうして二人で仲良く話しながら階段を下りていった。


 よし!とメアリが立ち上がったのは、彼女達の姿が消えて直ぐ。慌ててガイナスに駆け寄ると彼の背をさすりつつ手近にあった椅子を引き寄せる。


「ゆっくりと頭を上げなさい、いいこと、ゆっくりよ!」


 と、やたらと念を押して命じるのは勿論いまの彼の状態を見るに、急に顔を上げたら目眩どころか意識を持っていかれかねないからである。

 だがそんなメアリの気遣いと救いの手に対し、それでもガイナスは「ですが……」と困惑の色を浮かべた。パルフェットの許しを得ていないのに、そう言いたいのだろう。


「とりあえず、あの子が居ない内は体力回復に専念なさい。私は貴方の顔色が土気色を帯び始めたあたりから気が気じゃなくて、紅茶を食べてケーキを飲んだ気分なのよ!」

「メアリ嬢、それは流石に消化に悪いんじゃ……」

「この真面目バカ男! とにかく、謝り続けたいなら大人しく従いなさい!」


 スカーフでガイナスの額に浮かんだ汗を拭い、ゆっくりと椅子へと座らせる。

 どうやら随分と疲労が溜まっていたようで、常に姿勢を崩さず凛としていたガイナスが彼らしくなく椅子にもたれ掛かるように座り込んだ。

 その疲労具合にメアリが思わず溜息をつき「困った子ね……」と呟けば、それがパルフェットのことと察したガイナスが慌てて立ち上がりかけ……グラリとバランスを崩して再び椅子に落ちた。


「そ、そんなことは……彼女は悪くありません。悪いのは、全て俺です」

「それに関しては否定しないわ」


 素直に非を認めるガイナスに、フォローしてやる気はないとメアリが一刀両断する。

 それでも、『自分が悪い』と自覚しているあたりはまだマシな方である。転落した男達の中には「リリアンヌに誘われて」だの「彼女が強引に迫ってきた」だのと醜く言い訳をしている者もいるのだ。勿論そんな言い訳の効果などあるわけがなく、むしろ往生際が悪いとさらに評価を落としているにすぎない。


「俺が身勝手で未熟だったせいで彼女を傷つけてしまった。……それでも、こうやって謝らせて貰えるだけ俺は恵まれています」

「まぁ、確かにそうよねぇ」


 飲み物を差し出しつつメアリが頷く。

 ガイナスに課された謝罪は確かに過酷で苦行としか言えないが、それでも『パルフェットのそばで頭を下げ続ける』ことができるあたり、彼にはまだチャンスがあると言えるだろう。逆転劇を見せた令嬢達の中には、「もう二度と顔も見たくない」と言い切り、謝罪の機会すら与えない者もいるのだ。

 かと思えば、あっさりと婚約破棄を撤回し「これで浮気三昧、豪遊三昧ね!」と相手の目の前で男を侍らす者もいる始末。

 どちらの男が幸せかと聞かれればどちらも地獄と答えるしかない。なにせ両者とも日に日に(やつ)れ、目も当てられないほどなのだ。


 かつての人気はどこへやら、捨てたはずの女に情けなく縋る姿を晒され笑われる日々。

 そのてん、まだガイナスは恵まれている。パルフェットの怒りこそいまだ冷めては居ないが、彼女はガイナスをそばに置き謝罪させ続けているのだ。それでいて見せつけるように男を侍らすこともなく、情けない姿を侮辱したり晒して笑うこともしない。


 許せないけれど離したくない。

 傷つけたくないけれど許せない。


 そんなところなのだろう。

 現に、以前冷やかし混じりに

「それで、お兄さまとの会食はいつにするの?」

 と尋ねたところ、彼女は慌てふためき

「そんな!だ、だめです!」

 と首を横に振っていたのだ。何がどうして、誰もが羨むような会食がだめなのか……。だが流石にそこまで突っ込めば泣かれかねないと判断し、それ以上その話には触れずにいた。

 ――ちなみに、慌てふためくパルフェットを眺めているメアリの肩を背後から叩く者がいた。「メアリ様、その話詳しく」と、真剣味を帯びたその声は言わずもがな野心家令嬢で、獲物を狙う狩人のような威圧感にメアリも思わず頬をひきつらせたほどである――

 とにかく、結論から言えばいまだパルフェットの気持ちはガイナスにあるのだ。果たしてガイナスがそれに気付いているかは定かではないが、このまま粘り勝ちの可能性はある。


 リリアンヌに惚れてもなお崩さずにいた真摯な態度が、自分が泥を被ってでもパルフェットを傷付けまいとした不器用ながらも実直な姿勢が、結果的に彼に最後のチャンスを与えたのだ。

 だからこそ、メアリもこうやってガイナスを気遣っていた。パルフェットが未練を隠しきれずにいるからこそで、これで彼女が他の令嬢のように「もう要らない」とガイナスを見限っていれば、彼の顔色が土気色に染まろうが倒れようが見て見ぬ振りをしていただろう。友人を捨てた男を気にかけてやるほど情け深い性格はしていない。なにせ元祖悪役令嬢、今の温情も、パルフェットが拾い上げようとしているからこそだ。


「とにかく時間を作ってあげるから、あの子がどうするか決めるまで謝り続けたいならひとまず今は休んでなさい」

「メアリ嬢、申し訳ありません……」

「あら、別に色ボケ男のためにしてるんじゃないわよ。勘違いしないでちょうだい」


 冷たく言い切ってやると、ガイナスが僅かに息を飲み「申し訳ございません」と頭を下げた。

 それを見たメアリが小さく溜息をつきつつ、聞こえてきた声に腰をあげる。

 パルフェットとカリーナが戻ってきたのだ。楽しそうに笑う愛らしい声も、今はタイムアップを訴えているようにしか聞こえない。


「いったん外に出るから、もう少し休んでなさい。戻ってくるときには合図するから、ちゃんと元の体勢に戻っておくのよ」

「……そんな、メアリ嬢にそこまでして頂くのも」

「あら、いいのかしら。私だって常に助け船を出せるわけじゃないのよ。次は三・四時間……むしろ下校時刻まで謝り続けさせられるかもしれないわよ」

「お、お願いします……!」


 脅しがきいたのか、ガイナスがサッと顔を青ざめさせる。それを見たメアリが小さく肩をすくめ、「それじゃ」と一言残して声のする方へと向かっていった。



「あら、メアリ様どうなさったんですか?」


 クッキーやスコーンの乗ったトレーを持ち、楽しそうに話ながら歩いてきたパルフェットとカリーナが首を傾げる。先程「足が疲れたから立ち上がりたくない」と言っていたメアリが迎えに来たのだ、疑問に思うのも当然だろう。

 対してメアリは真相を言えるわけがなく、優雅にニッコリと微笑むと「天気もいいし、外に行きません?」と提案した。


「外に、ですか?」

「えぇ、以前にこの学園の庭園が綺麗だって聞いたことがあるの。確かとある生徒の家から寄贈された花が咲いてるとか……聞いたことのない花だから、一度見てみたいと思っていたのよ」


 メアリが優雅に笑って告げればカリーナが頷き、パルフェットがとびきり嬉しそうに「勿論です!」と返した。そんな二人の様子に、どうやら気付いていないようね……とメアリが心の中で安堵を浮かべれば、それを見たカリーナが「メアリ様はお優しいんですね」と悪戯気に笑った。

 思わずメアリが目を丸くさせ「な、なにが?」とどもってしまう。それすらも迂闊だったと悔やめば、カリーナが誤魔化すように笑みを強める。何でもありません、と小さく返すその言葉の意味など聞くまでもないだろう。


 対して、そんな二人の攻防などまったく気付いていないパルフェットは「庭師がいたら説明を頼んできますね」と嬉しそうに従業員達のいる小屋へと向かっていった。

 メアリにエレシアナ学園の庭園を紹介できるのが嬉しいのか、それとも寄贈されている花に何かあるのか、小走り気味に急く姿は小動物が駆けているようでなんとも愛らしい。――ここで小走り気味なあたり流石パルフェットである。アリシアならば全力で走って、そして怒鳴られていたに違いない――


 そんなパルフェットの背中を見送りつつ、カリーナとゆっくりと歩く。

 凛とした美しさ、風に揺れる黒髪が彼女の気高さをより高め、その瞳は迷いなどないと言いたげに真っ直ぐ前に向かっていた。


「……貴女は」

「はい?」

「カリーナさんは、許すつもりはないようね」


 誰を、とは言わないが彼女には伝わるだろう。

 現にカリーナはメアリの言わんとしていることを察し、男ならば誰もが見とれるような美しさで笑うと「はい」と一言答えた。

 その瞳には一切の迷いも情けも感じられず、不変の意志を感じさせる。

「ガイナス様なんか知りません! 許したりなんかしません!」とプクと頬を膨らませ、目の前にいる本人に対しわざとらしく顔を背けるパルフェットとは大違いである。


「婚約を破棄されたからとか、裏切られたからとか、そう言うことではないんです。私は私のために、彼等を許さないんです」


 ニッコリと美しい笑みを浮かべるカリーナに、メアリが「あら怖い」と冗談混じりに返した。――もっとも、カリーナが元婚約者相手に放った逆転の一撃は到底「あら怖い」の言葉では済まされないのだが――


「きっと理解頂けないと思うんですが、それが私の為なんです」


 没落を回避するため、とは流石に言えないのか。カリーナが淡々と、そしてゲーム部分をぼやかして話す。

 どうやら彼女の中でメアリは『ゲームの話をしても通じない人物』つまり『前世の記憶のない人物』として分類されたようだ。

 まぁ、これだけゲームと違う人生を歩み、更に言えばパルフェットの為だけに今回の騒動に首を突っ込んだのだからそう考えても仕方ないだろう。むしろ、いったいどうしてメアリが『前世の記憶があり、それを利用して没落を目指していた』などと考えられるのか……。あまりに現状が真逆すぎる。

 だが、そんな自分の有様は棚に上げ「私の演技力もなかなかね」とメアリが内心で誇れば、カリーナが小さく「でも……」と呟いた。


「でも私、リリアンヌさんを理解できないわけじゃないんです」

「あら、どうして?」

「私と彼女は似ている部分があって……なんて説明したらいいのか分からないんですが、私も彼女も手遅れな恋をしていたんです」


 ザァ……と風が吹き抜け、カリーナの髪を揺らす。銀糸の髪を押さえたメアリが小さく「やっぱり」と呟きつつ、それでも何も知らなかったと言いたげに「それは辛いわね」とだけ返した。


 カリーナもリリアンヌも、前世の記憶が蘇ったのはゲーム開始直後、もしくは直前あたりなのだろう。リリアンヌがパトリックに会うために逆ハーレムという手段に出て、対してカリーナが急いで仲間を集めていたあたり、そう十分な時間が与えられていたとは思えない。

 なにより、仮にもっと早く前世の記憶が戻っていれば、彼女達は別の手段でパトリックに近付いていたはずなのだ。だが今まで他のどの令嬢よりパトリックの近くにいたメアリが彼女達の存在を知らずにいた。


 他の手段が許されないほど、ゲーム直前に記憶が蘇った。

 そしてその時既に、パトリックの隣にはアリシアが居た。


 だからこそ彼女達は逆ハーレムエンドに頼るしかなかったのだろう。

 そうでもしなければパトリックに出会えない、出会えたとしても只の令嬢にしかなりえない。

 たとえその先が描かれていなくても、ゲームの力に縋ればもしかしたら……。

 そんな手遅れな恋を実らせるためにリリアンヌは早急に攻略者を落とし、カリーナはそんな彼女を警戒しつつ泳がせていた。


 もっとも、メアリを『ゲームの記憶のない人物』と認識したカリーナは詳細はぼやかし「もっと早く気付けばよかった」「違う形で知り合う術を探せば良かった」と呟くように語るだけである。


「それで、同じ境遇のリリアンヌさんはどうなさるつもり?」

「共感は出来るけど、許しはしません。どこか遠く、私とはまったく関係ない場所に行ってもらおうと考えてます」

「つまり追放ってことね」

「えぇ、二度と私の前に現れないように…」

「それなら私とっても良い場所を知ってるの」


 リリアンヌという単語にすら嫌悪感を示し眉をひそめるカリーナに、対してメアリがパッと表情を明るくさせた。まるで名案があるとでも言いたげな、嬉しそうにすら見えるその反応にカリーナが思わず目を丸くさせる。


「良い場所、ですか?」

「えぇ、とっても良い場所よ。お母様方の親族が管理しているんだけど、とっても厳しい全寮制の学園なの。私から話をすれば、卒業後も徹底的に監視してくれるはずよ」

「……そうですか、それなら流石の彼女も戻ってこれないですね」

「えぇ、もう(・・)出られないわ」

「……え?」


 微妙にニュアンスを変えたメアリの言葉に、カリーナが問い返すように視線を向けた。

 キョトンと丸くなった漆黒の瞳、「どういう意味ですか?」と問いたげに首を傾げれば黒髪がハラと揺れる。その表情と仕草が面白く、メアリが悪戯気にニヤリと口角を上げた。


「ここからずっと遠くの……北の大地(・・・・)にある学園なの。追放するには最適でしょ」


 そうメアリが皮肉気に笑えば、カリーナが小さく息を飲んだ。


「メアリ様、貴女もしかして……」


 言い掛けたカリーナの言葉を、遠くから呼ぶパルフェットの声が掻き消した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ