第四章 再会-meet again-
作者なのに主人公の口調がいまいち分からない……!
どうしよう
「ただい……ま?」
「おっ、お帰り。……それどうしたの?」
互いを見て固まるフリアとリーサ。
フリアの視線はリーサの前に。リーサの視線はフリアの抱えてる紙袋に、注がれていた。
扉を開けっぱなしで固まること数秒。さきに動いたのはリーサだった。
「それ、どうしたの?」
視線はそのまま、フリアに尋ねる。
「さっき市場でいろいろあったんだよ。それでその時に貰ったんだ」
扉を閉めつつ答えると、ふーんと何ともそっけない返事が返ってきた。
しかし、リーサの方を見てみればその視線は紙袋の中の果物へと向いており、フリアはやっと彼女が何を言いたいのか気づいた。
「これ、僕はこんなにいらないからジャムにでもしてくれる?」
言うと同時にリーサの表情が明るくなったのが見て取れる。
正確には明るくなったというよりは輝いた、だろうか。
「ふっふーん! お姉さんにお任せなさい!」
うきうきと半ば強奪(フリアが受け入れていたから違うかもしれないが)という形で紙袋を抱えると、そののままリーサは厨房へと戻っていった。
残されたフリアは、まるで高級料理店のような飾りつけをされている食堂をまじまじと見る。
いったい何を思ってリーサがこんなことしたのか、フリアには見当もつかなかった。
取りあえずここにいてもしょうがない、と自身に割当てられた部屋へと戻る。
正直いって、慣れない町はとても疲れた。
部屋に備え付けられたベットに身を預けると、思ったよりそのベットはふんわりとしていて驚いた。
ごろごろと転がりつつ、この先どうするかと考える。
本音を言えばお先は真っ暗な状態だ。取りあえずはここにいるもの、先の予定も所持金もないに等しかった。
はぁ、とため息をついて目を瞑る。
今日は慣れないことが多すぎて、とても疲れてしまっていた。
●
ふと目を開くと、窓から差し込む日の光が部屋をオレンジ色に染めていた。
慌ててフリアは飛び起きる。いつの間にか眠っていたようだった。
シーツを整え、身だしなみを整えて部屋を出る。もちろん鍵はしっかりとかけて、だ。
部屋から出ると、丁度二階へあがってきていたリーサと会った。
「あ、丁度話があったのよ」
「話?」
「ええ。今日はちょっとお偉いさんが来るのよ。そのせいで下の食堂が貸切られちゃうから、夕食は裏から回って直接取りに来てって伝えようと思って」
「お偉いさん?」
「ええ。たまに来るのよ」
疲れたようにリーサは首を振る。
そのまま、そういうことだから、と言うと彼女は下に降りて行った。
心なしかその笑顔は作り物のようで。フリアはそんな笑顔を見るのが少し苦しかった。
部屋へ戻ってぼーっと窓の外を眺める。今は何も考えたくなかった。
考えるのに、疲れてしまっていた。
「はぁ……」
深いため息をついて椅子に腰かける。
地平線の向こうへと消えてゆこうとする太陽を眺めていると少しだけ落ち着いた。
フリアは床に無造作に転がっていた荷物を足元まで引っ張ってくると、その中から一冊の本を取り出した。
フリアが気に入っているシリーズの最新刊だ。不思議な能力を持った主人公が、妖精とともに世界を救うために奮闘するファンタジー小説。
本にはまだ初めの方にしおりが挟まれていた。そのページをパラリ、と開いてそのまま読み始める。
気づけば、部屋の電気も着けずに半分ほどまで読み進めていた。
時刻を見ればもう夕食時だ。本を閉じてそのまま部屋を出ようとする。
そこで、フリアは気づいた。
部屋の中が月明かりにしてはあまりにも明るく照らされていることに。
フリアが日が暮れても本を読み進めることができたほどの光。
その光源はフリアが気づいたことに気付いたのか、すうっと消えていった。
部屋には月明かりのみが差し込む。
異変に首を傾げながらも、フリアは食事を受け取りに行くために部屋を出た。
「え……」
そこで思わぬ人物と遭遇した。
「おお」
しわがれた声に整えられたスーツ。美しくその存在を主張するシルクハット。
まさしく電車の中で出会ったあの老人だった。
彼はシルクハットを右手で支え、フリアに向けて礼をした。フリアもペコリとお辞儀をする。
「先ほど振り、かのう」
老人が微笑みながらそう言った。
<誤字脱字などがありましたらご報告お願いします>
再会といってもあの老人だけど((
今回の話はかなりの難産でした。主に題名がですけど←
時間が空いた割にはそんなになくて済みません。
そして明後日からテストとか、ほんとやめてほしい。まじで。




