第三章 探索-Search-
町の人たちはとっても気さく。
そして、お約束の絡まれ。
部屋に荷物を置いた後。
リーサが買い出しに出るというので、自分も町の探索に出てみることにしたフリア。
絶賛大安売りと書かれた紙の貼られた店で。
絶賛面倒事に巻き込まれていた。
「にいちゃん。お前そんなはした金もだせねえのかぁ?」
「すいません」
「おいおい。そりゃないだろ?」
360度どこからみても悪党です、という面の大男に絡まれたフリア。
ペコリと頭を下げてすぐその場を逃げようとするも、すぐに回り込まれてしまって逃げれない。
周囲に人はいるものの、巻き込まれるのを恐れてか助けるどころか一定以上の距離から近づこうとはしてこない。
ある意味絶体絶命だった。
「ほんと、今手持ち無いもので」
「じゃあなんで市場なんかに来てるんだよ?」
来ちゃいけないのか、と内心で悪態をつくフリア。
彼が絡まれたのは市場を開いている広場の、ど真ん中だった。
迷惑もいいところである。
「おら、さっさと金出せや」
ジリジリとにじり寄ってくる大男。フリアもそれに合わせて一歩下がる。
そんな攻防がどれほど続いただろうか。
膠着状態だった場に新たなる参戦者が現れた。
彼女はパンパンと手を叩いて、二人の間に入り込む。
「ハイ、そこまで! 町のど真ん中で強請りとはいい度胸だなあ?」
「えっと、貴方の方が悪党に見えます」
「…………」
「ひっ!」
間に割り込んできた警官であろう女性は、背後に控えていた男性をキッと睨みつける。
彼は睨まれて、小さくなってしまった。
彼女は縮こまってしまった男性から手錠をひったくると、それを大男につける。
もちろん、大男だって抵抗したが、それを抑え込んだ彼女の腕力はうかがい知れない。
絶対この町で問題は起こさないでおこうと思った、フリアであった。
「さーて、じゃ市場頑張ってくださいねー」
「おう! 任せとけ! 警備は任せるで!」
「それで良いのかよ、大の男のくせにー」
「姉ちゃんには勝てねえよ!」
警官の女性は大男を連行しながら、町の人と軽く挨拶をかわしていく。
それを見ていたフリアの肩に、ポンっと手が置かれた。
後ろを振り返れば、先ほど遠巻きに見ていた人たちだった。
「にいちゃん、よく怖気づかなかったなあ! あいつ近くで見るとでけえからな」
「俺絶対泣くって!」
「威張って言うなよ」
「泣かなくても、逃げ出す自信はあるがな!」
「ちげえねえ!」
明るい笑い声が、中心のフリアを無視して広がる。
「にいちゃん、これやるよ!」
男性の一人が、紙袋に詰まった果物を手に持たせてきた。
そこから、こぞってみんながフリアに物を渡す。
それのほとんどは食べ物ばかりで、それを見たフリアは密かにリーサに渡そうと思った。
一人で持っていても食べきれる自信はなかった。
人の輪から抜け出したフリアは、人けの少ない湖の近くの丘へと向かう。
そこには小さな教会があった。
周りにはたくさんの種類の花が植えられており、花の香りが淡く広がっていた。
紙袋をどうにか片手で持ち、教会の扉を開く。
──綺麗。
または、美しいという言葉が合う教会だった。
昼時なせいか、人は一人もおらず。
窓から入る光はステンドグラスを通して神像をカラフルに染め上げていた。
少し休もうかとフリアは近くの椅子に腰かける。
そしてそのままクルリと周りを見回すと、扉の外で花に水を上げている少女らしき人影を見つけた。
小さな体には大きいであろうじょうろを両手で必死に持ち、花の根元に一株ずつ丁寧に水をやる。
それを何回か続けては、井戸へ行き水をくむ。
その行程を何回か見ていたら、やっと水やりが終わったのか教会の中へ入ってきた。
そこで、フリアと目が合う。
驚いたのかじょうろを落としてしまい、教会の中に甲高い音が響く。
「ふえ?! す、すみません!!」
あたふたとじょうろを拾うと、彼女は奥へとじょうろをしまいに行ってしまった。
どうしようかとフリアは悩む。手元にはたくさんの果物。
意外と早く、結論は出てしまった。
「先ほどはすみません」
じょうろが片付け終わったのか、戻ってきた少女がペコリと頭を下げた。
先ほどのようなおどおどした雰囲気はかけらもなく、少女はキリっとした表情だ。
「いや、僕も脅かしてしまってごめんね。これ、お詫び」
フリアは紙袋の中から数個の果物を取り出し、少女に持たせる。
最初驚いていた少女も、フリアの表情をみてもう一度ペコリと頭を下げた。
「ありがとうございます」
「ん、いいよ。お礼なんかいらないから」
そのままフリアは教会をでる。
まだ後ろで少女が頭を下げてるような気がしたが、振り向かずにリーサの宿屋までの帰路についた。
……さて、この果物はジャムにでもしてもらおうか?
<誤字脱字などがあればご報告をお願いします>
フリア手伝ってやれよ!
って、突っ込みはなしで。無しで!




