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第19話:修学旅行の班決めは戦場! ~傲慢令嬢の仮面と、うるさすぎる心の声~

新学期最初のビッグイベント「修学旅行」!

これから第23話までの「準備期間編」では、旅行当日までに起きる設定のぶつかり合いを描きます。


中でも「班決め」は、少女漫画の作者が最も「恋の波乱」を仕込みやすいポイント。

本来なら結衣と一ノ瀬、そしてライバルキャラが同班になり、佐藤君は背景に消えるはずですが……。

今の結衣には、145cmの「懐き属性」に書き換えられたアンナという強力な(?)味方がいます。

 教室の黒板に書かれた、血も涙もない四文字。

『修学旅行:班決め』


 それは、クラス内のスクールカーストと、少女漫画の「カップリング強制力」が最も露骨にぶつかり合う、静かなる合戦の合図だった。


「いいか、基本は男女混合の4人1組だ。時間は20分」


 担任が去った瞬間、教室の空気は一変した。

 私の視界には、既にピンク色の不吉なテロップが踊っている。


『予定:結衣、一ノ瀬の強引な誘いにより、彼と同じ班に編成される。モブ男子たちは一ノ瀬のオーラに圧倒され、誰も近づけない』


「……させるか。今回の私は、一人じゃないのよ!」


 私は隣に立つ、145センチの転校生、白鳥アンナを振り返った。

 彼女は腕を組み、不機嫌そうに鼻を鳴らして一ノ瀬を睨んでいる。


「ふん、お聞きなさい金ピカ男。お姉様……いえ、結衣を貴方のような野蛮な男と組ませるわけにはいかないわ。この私が、慈悲の心で結衣の隣を管理してあげるから、貴方はさっさと砂漠のど真ん中にでも消えなさい!」


 相変わらずの傲慢な態度。クラス中がその毒舌に凍りつく中、私の耳には**『書き換えられた属性』**による彼女の「心の声」が、スピーカー並の大音量で流れ込んできた。


(うわあああ! 私、お姉様に「結衣」なんて呼び捨てで言っちゃった! 不敬罪だわ、死後さばきにあうわ! でもこう言わないと私の気高さが保てないのよぉ! 本当は『結衣おねえちゃま、一生離れたくないです、大好きです!』って叫びながら足元に縋り付きたいのに……ッ!)


(……アンナちゃん、心の声が重いわ!)


 表ではドSな令嬢、中身は狂信的な懐き属性。このギャップが凄まじい。


「あ? ……ああ、さっきのチビか。お前も邪魔だ。どけ。結衣の隣は特等席なんだよ」


 一ノ瀬蓮が黄金のオーラを纏って歩み寄る。本来のシナリオ通り、彼は力ずくで私を奪いに来た。


「チ、チビ……!? この私をチビと言ったわね! 万死に値するわ!」


(ああん、一ノ瀬! よく言ったわ! この身長差があるからこそ、お姉様との『凸凹姉妹感』が際立つのよ! むしろもっと罵って! 罵られるほど、私の『守られキャラ』としての地位が確定してお姉様の懐にダイブできるんだから!)


「……佐藤君、助けて。アンナちゃんの思考回路がカオスすぎて、私どうしたらいいかわからない」


 私は最後尾の席で本を読んでいる佐藤君に助けを求めた。彼は眼鏡を押し上げ、教室内を埋め尽くす「設定のバグ」を冷徹に観察している。


「……やれやれ。一ノ瀬の『独占欲』と、アンナさんの『多重人格的執着』。この二つが正面衝突して、班決めのアルゴリズムがオーバーフローを起こしてるね」


 見ると、黒板のチョークが勝手に浮き上がり、名前を書いては消している。


「……仕方ない。……一ノ瀬の権力と、アンナさんの傲慢設定、その両方を無効化する『論理的解決』を提示しよう」


 佐藤君は立ち上がると、迷いなく黒板にこう書き記した。


『班番号:第1班 メンバー:一ノ瀬蓮、白鳥アンナ、花咲結衣、佐藤蒼』


 教室内が静まり返る。


「……おい、モブ! 何を勝手に……!」一ノ瀬が吠える。

「ふん、この根暗そうな男と同じ班? 正気なの?」アンナが冷たく言い放つ。


(……でも、佐藤という男、なかなか分かっているじゃない。この四人ならお姉様を物理的にガードできる……。佐藤を壁にして、一ノ瀬を牽制しつつ、私はお姉様の影に隠れて、くんくんと良い匂いを嗅ぐチャンスを伺えるわ! 天才だわ、この眼鏡!)


「……というわけだ。文句があるなら、君たちの暴走したオーラを今すぐ消してからにしてくれ」


 佐藤君の正論(と世界のバグ修正能力)により、黒板の文字が固定された。


『システムメッセージ:最強メンバーによる「地獄のカルテット」班が結成されました』


「な……なんなのよ、このメンバー……」


 私は頭を押さえた。

 表向きは「いがみ合う最強の四人」。

 だがその実態は、傲慢な仮面の下で悶絶するアンナ、全てを察して冷めている佐藤、強引に事を進める一ノ瀬、そして翻弄される私。


「……ふん、まあいいわ。修学旅行の間、私が直々に貴方たちを教育してあげるから、感謝なさい!」


(お姉様ぁぁ! 同じ班! 運命! 好き! 死ぬ! 私が夜の枕投げで、全力でお姉様の盾になりますからねぇぇ!)


 アンナは私の腕を乱暴に掴みながら、内心では嬉し涙にくれていた。


 修学旅行当日まで、あと数回。

 少女漫画史上、最も「心の声がうるさい」班の準備が始まる。

アンナの「表の顔」と「中の声」のギャップ、いかがでしたでしょうか。

この設定により、一ノ瀬との口喧嘩すらも「結衣に近づくための戦略」あるいは「内心の興奮」として描けるようになりました。


次回、第20話では、しおり作成中にアンナが「傲慢な態度で、結衣と一ノ瀬の密会を全力で邪魔する(内心では大勝利のポーズ)」様子をお届けします!

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