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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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54/56

54.いざ、ダンジョン!

 ***寛太***


 早速キャビンをぶっ飛ばして、ププカにやってきた。

 そう、行き先が、ププカダンジョンに決定したからだ。


 ププカの冒険者ギルドの扉をくぐる。王都と違って、こじんまりした場所だ。

「虹の架け橋です。ダンジョンに潜りますので挨拶に寄りました」

 僕は緊張しながら受付の女性にそう言って声をかけた。

 パーティーリーダーのピートから任された大切なミッションだ。後ろには鼻息の荒い兄ちゃんズも控えている。

 ピート本人はププカ司祭の不始末で顔ぶれが一新した聖職者達に挨拶をしに教会へ行っている。あの騒ぎの後なので、聖女ご一行としてはまだ顔を出すのは早いだろうと、単身で行ったのだ。


「えっと、あの~。小さい子どもを連れてダンジョンに潜る気じゃないですよね……?」

「???」

 小さい子ども。リオか。この世界でおそらくカケル様の次に強いけど……。見た目は幼児。

 見た目は子ども、頭脳は大人という有名なフレーズを思い出した。

 リオは、「見た目は子ども、頭脳も子ども」だけどね。

 こう言ってみると普通の子どもじゃんってなるな……。


 僕がフリーズしていると、渉がすかさず前に出てきて

「大丈夫です!この子めっちゃ強いんで。戦闘民族の族長の子どもで秘儀をマスターしている戦える子どもなんです!」

 堂々と嘘八百並べた。この言い切っちゃうところが、凄い所なんだろう。

 受付の女性も、そうなんですか!?と、戸惑いながらも納得してしまった。


 そして、一緒にダンジョンに潜るなら、アクセルもリオも冒険者登録をして、パーティーに入った方が良いと言われた。10日程しかいないが、渉、光太もついでに加入して、パーティー『虹の架け橋』は一気に、大人6人幼児1人プラス子犬の大所帯となった。

 とはいえ、6~8人のパーティーが主流なので、ギルド的には普通の編成のパーティーに見えるようだ。サクサク手続きをしてくれた。


「じゃあ、早速ダンジョンに行ってきます!」

 元気よく宣言して席を立つと、

「今から行くんですか!?」

 またしても驚かれた。

 親切な受付さんが優しく説明してくれた。どうやら、相当ポンコツな一行に見えているらしい。ピートがいないと迫力のある人物ゼロだしなぁ。

 ファイアードラゴンのアクセルさんがもう少し強面なら良かったんだが、いかんせん、天然ポヤポヤの中肉中背の平凡男なのだ。どんな姿にも変身できるのになぜその姿を選んだ!?


 まあ今言っても、仕方ない。

 受付さんによると、日帰りでダンジョンに潜る人は早朝に出かけるし、泊りで潜る人は準備万端で挑むので荷物が多いのだそうだ。僕らのように、のんびり昼間に軽装、手ぶらで行くような人はいないらしい。

「御貴族様御用達のダンジョンなんて呼ばれることもありますが、ダンジョンはダンジョンです。怪我をすることも多いです。そんなとき、昼から潜って怪我をすれば、帰ってくるのが夜になります。夜間は十分な手当が出来ないかもしれません。ですから皆さん早い時間に出発なさいますよ」

 なるほど、なるほど、としっかり頷いておいた。

 僕らには柚子やカケル様がいるので怪我の心配もないのだが、親切なアドバイスはありがたくいただいておいた。


 ピートがギルドに迎えに来てくれていよいよ出発と思ったが、僕らの話を聞いて、一言受付に何かを伝えに行った。

 どうやら、パーティーのことは自分がリーダーだから心配ないと言いに行ったようだ。

「このまま、数日キャビンで快適に生活しながらダンジョンに籠ったら捜索隊が出されそうですから」

 とのことだった。確かにそうかも、僕らが帰ってこなかったら不安になって心配されるくらい親切にしてくれた……、もとい頼りなく見えた……かもしれない。


 そして、期待いっぱいで潜ったダンジョンは、御貴族様が横暴だった。

 公爵の三男がCランクの銀色の腕輪を見せびらかしながら、取り巻きに命令して道を開けさせている。

 ピートの説明によると、御貴族様は大抵数人で行動していて、身分の低い者がパシリになっているらしい。その身分の低い者でも、一般人からすれば子爵の次男とか、男爵の長男とかの貴族の一員な訳で、触らぬ神に祟りなしとばかりに道を開けている。

「貴族って、使用人?護衛とか戦う執事?とかが常に一緒じゃないの?」

 僕は物語の貴族を想像してそう聞いた。

「普段はいるかもしれませんが、ダンジョンでレベル上げする時は、同行者の人数でポイントが分割されますから、通常は連れていませんね。まあ、そんな実利じゃなく、部下に戦わせてポイントを溜めたら社交界で笑いものになるって聞いた事があるので、そっちの理由ですかねぇ。体面を重んじる人たちですから」

「身分をたてにパシらせるのはいいのね」

 柚子はシラケた目で見ている。

「それは、貴族の世界では当たり前なのではないでしょうかねぇ。多分」

 ピートもそこは自信なさげに言う。人数の増えたパーティーだが、だれも貴族には詳しくないのだ。平民万歳!


 敢えて構う必要もないので、僕らはとっとと下層を目指した。


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