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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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53/57

53.冒険者旅行

 ***寛太***


 そして、両親達は14日間の旅行を終えて帰っていった。

 涙も鼻水も出尽くす勢いで別れた。会えない訳じゃない。話せない訳でもない。それでも異世界というのは、隔たりを感じざるをえないのだ。


 それに、この旅行はこれで円満に終了という訳には行かない。帰ったら魂が欠けるのだ。

 今後の為、体調の不具合の度合いをそれぞれ記録して情報交換をすることになっている。念のため10日以上の安静期間を取って十分に回復してから仕事に戻る予定を組んでいるが、不安なことだらけだ。

「自分のことより、人の事の方がキツイね。僕らの為に会いにきてくれて、お母さんたちが体調を崩すなんて」

 そう言った僕に、

「私だって、あちら側に残されたら同じことをするわ。かんちゃんだってそうでしょう?」と言って肩を叩いてくれた。


 分かってはいる。でも、心が痛むのは仕方ない。

 願わくば、魂の欠けの影響が最小限で済みますように。


「そんなことは覚悟して来てるんだよ」

「そうそう、みんな渉が寝込んだのを見て、それでも来るって決めたんだから今更今更」

 兄ちゃんズは、それよりも夏休みを最後まで楽しもうと前がかりだ。

「王都の討伐依頼の変異体ワームの巣とププカのダンジョンどっちにする?」

「リーダー、どっちも楽勝?」

「そうですね、どちらかというと、柚子様、カケル様にリオまでいますから過剰戦力も甚だしいかと思いますよ。ですがBランクパーティー以上としばりがあったので、討伐依頼は受けられません。が、自己責任で行く分には構わないでしょう。ダンジョンは初めてでしょうから、どこでも楽しめるかと思います。ですが、あくまで結界の腕輪があるからです。御貴族様御用達のようなププカダンジョンですが、下層階はドロップ品を求めて命がけで高ランク冒険者が挑みます。ですのであまり……」

 そこまで言ってピートは言葉を止めた。

「大丈夫。分かってるよ。遊び感覚で俺たちが荒らしまわっちゃいけないってことだね」

「誰もいない時って分かるのかな?その時を狙って行けるならいいかな?」

「はい、ご理解感謝します」

「リーダーって時にすごく冒険者っぽいわよね」

 そんな話をしている。

 どうやら、今後の旅行プランには平和なのんびりプランは想定されていないようだ。


 トントントン、ドアを叩く音がする。温泉旅館の主人(仮)のファイアードラゴン、アクセルさんが部屋を訪ねて来た。

「明日ご出立だと伺っておりますが、予定に変更はございませんか?」

「ないぞ、火山の、おぬしも行くか?この地の魔力は順調に流れだしたし、暇であろう」

 カケル様は初心者冒険者旅行にファイアードラゴンを気軽に誘っている。今、過剰戦力の話し、したばかりだけどね。

「カケル様、暇ってことは無いんじゃない?この宿を経営してるんでしょう?」

「はい、経営者ではありますが、順調すぎるほど順調でして、暇はしております。今は次のドラゴン飲み会の会場を探そうかと考えていたところです」

「ドラゴン飲み会!面白そう!」

 渉の目がギラついている。

「いつやるの?俺らがいる間にやる?あと10日くらいいるんだけど?」

「残念ながら、20年後くらいで予定しております」

「そ、そんなに先なの?お店の下見しても潰れちゃうかもしれないんじゃ……?」

 光太は流石にそれは無いだろっていう驚きの表情をアクセルに向けていた。


 という訳で、絶賛暇もてあまし中のアクセルも一行に加わることになった。

「リオ様、お供させていただきます。よろしくお願いします」

「なまえ、あくせる?」

「はい、そう呼んでいただいて構いません。我らには名前がございませんので、仮の名前になりますが」

「名前無いって、神様付けてくれないの?」

 聖獣の名のように、神聖な名前なので本名を明かせないとかじゃなくって、名前が無かった。神様さぼったか?

「火山の、とか、湖の、と呼ばれると誰か分かりますので不便はありません」


 柚子も同じように思ったようだ。

「神様も案外適当ね~。どんな外見なの?お年寄りな感じ?若くて美男子系かしら?」

「さあ?我らドラゴンは、神が生み出してくださったという情報しか無くて、お姿は分からないのです」

「そうなんだ!?カケル様も知らないの?」

「カケル様は会いに行ってたよね?」

「神は、絶世の美男子じゃ」

「絶世の美男子!!会ってみたいかも」

 柚子が食いついた。

「会えぬぞ。神はワシの前にしか姿をお見せではない」

「残念。絶世の、って付く人にお目にかかれるチャンスなんてめったにないものなのよねえ」

「リオで、いいじゃん。絶世のかわい子ちゃんだよ」


 可愛い子に【絶世】は似合わないと文句を言いながらもリオを抱っこしてスリスリしていた。

「貢ぐなら、会えない有名人より、手の届く可愛い子ちゃんが一番だよ」

 なんて、兄ちゃんズが達観して話しているのは聞かなかったことにしよう。光太ちゃんがこっちを見ているのも、見なかったことにしよう。


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