47.くつろぎタイム
***寛太***
その後は、予定通りユドン温泉に行ってくつろぎタイム。
お母さんたちはショッピングにも余念がない。
町は前回と違い、悪い噂が払しょくされ、代わりに聖女様最強超人ミラクルヒーロー伝説かっ!ってつっこみたくなる噂が流れていると、楽しそうに報告してくれた。
「悪人を成敗し聖獣様を従えて立つ聖女様は、この世の正義を背負って立つ孤高の神を身に降ろしたかのようであった!」って締めくくられる話を流す吟遊詩人まで登場しているらしい。
ユドンの司教が噂を止められなかった罪滅ぼしにと頑張った結果だとか。
ユドン司教、初日に教会の祠に魔力を注ぎに行った時は、普通の人に見えたのだけど、分からないものだ。
キラキラ光りながら祠に向き合う柚子は聖女様って感じだ。
あれを見て、もっと噂を派手にしてばら撒かなければって変な使命感のスイッチ入ったのかなぁ?
桃子さんもお母さんも、
「わー!めちゃくちゃ素敵!」
「ユズちゃんキラキラになってるわ!」って大興奮してたもんなぁ。
まあ、笑い話で済んでいるならいいことだ。
僕はカケル様とリオを鉄壁のガードマンとしてひきつれて、男組の引率だ。火山のファイアードラゴンを見に行くツアー。
鉄壁のキャビンがあるので何でもありのツアーだ。
渉が尋問を覗き見する為にキャビン操縦を練習していたのに、活躍の場がなかったので、どうしてもどこかで自由に飛ばしたいというので開催された。
「火山に行こう!カケル様、火山があるってことは、ファイアードラゴンいますよね!それ見に行きましょう!」
そう言いだしたのは勿論、渉。
「異世界の火山イコール、ファイアードラゴンというのはあまりに安直じゃない?」
光太がつっこんでいる。
「ファイアードラゴンのぅ。ドラゴン達は大きすぎて強すぎて、生に飽きた退屈じゃと、我儘ばかり言うでのぉ。人に擬態する術を教えたら、皆人になって遊びにいってしもうた。火山に行っても会えるかどうか分からぬぞ」
「「「えぇええ~~!!」」」
「ドラゴンってそんな感じなの?凶暴で人類の敵って感じじゃないんだ。っていうか、そもそも本当にいるんだ!?」
「魔物ではないでのぅ、人類の敵ではないのぉ。ただ、体のほとんどが魔力で構成されておって、その土地土地で魔力の枯渇が無いように力を巡らす役目を担って居るのじゃ」
「土地神様みたいな感じですかねぇ?」
博さんさんがそう聞くと、カケル様は
「土地神がどんなものかは分からぬが、管理人という立ち位置の者と言う意味ならそうじゃろう」と説明してくれた。
「ドラゴンが管理人……」
「それゆえ、問題が起きねばやることものうて、暇じゃというわけで、どこかで遊んでおろう。神が感知せぬ聖職者どもとちごうて、ドラゴンは神が厳選なさって魂から生み出されるで、皆、良い奴ばかりよ。変わり者はおるがのぉ」
温かい眼差しで上から目線の説明をするカケル様を見るに、どうやら、ドラゴンはカケル様より下の存在のようだ。
「カケル様、ドラゴンは子分な感じですか?」
渉も僕と同じように思ったようで、直球で質問した。
「こぶん?」
リオはコテンと首を傾げた。
「部下とか、後輩とか、そんな感じですか?って聞きたかったんだよ」
お父さんはリオをなでなでしながら補足説明をいれた。そろそろリオの頭が禿げないか心配するべきか……。暇さえあれば抱っこしてなでている。リオがいなかったら僕があのポジションだったかもしれないと思うと、感謝しかない。
「リオ、僕の為にあと少し頑張ってくれ!」と心の中でリオの毛根を応援した。
「子分のぉ……。そんなものじゃ。子分という表現が気に入った!これからはそれを使うかの」
まだ見ぬドラゴンさん達ごめんなさい。今後は子分として紹介されることになりそうですよ。
「ドラゴンは何匹……何頭?何体?それとも何人?くらいいるの?」
「今は世界に8頭おる。この国には2頭、火山と湖におるはずじゃが、今も言ったように、問題がなければ、どこかに出ておるじゃろう。ちょっと前に、全員で集まって酒盛りをしたと言っておったような気もするでのぉ」
「国から出てもいいんだ!自由な土地神!?」
「ちょっと前ってどれくらい?」
「湖にいるのはウォータードラゴン?アイスドラゴン?」
みんなして興味が尽きない。次々に質問をしていく。そのあまりの食いつきに、
「ワシの方が偉大なのじゃぞ。聖獣じゃぞ」と最後の方はすね始めた。
聖獣がこれなんだ。ドラゴンがもっとフレンドリーでも驚いてはいけないのかもしれない。




