表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/56

44.ププカ箱オープン

 ***寛太***


 ピートの欲しい物リサーチは後回しで、とりあえず今日のことに集中しよう。

 とはいえ、僕が出来ることはないんだけどね。僕はリオを抱っこして、カケル様を肩に乗せておくだけの役割っぽい。

 両親達は、ここへ来た経緯の説明が面倒なので、枢機卿達に挨拶はするが、尋問の時にはキャビンに乗ったまま小さくなって僕か柚子の周辺に浮かんで見学の予定だ。

 操縦は……、見覚えのある形のゲームコントローラーが出来上がっていた。柚子の力が入っていて、それが切れるまではキャビンの操作がこれでできるらしい。渉が操縦担当だ。

「おう、任せておけよ!俺はF22戦闘機で無双できる男だからな」

 ……ゲームオタクは、かなり張り切っていた。


 ピートが、ナルド、ユーガ、レンティ、パッスル、ディック、ワーナー教会のトップ5、教皇と枢機卿たちを連れて帰ってきた。

 大気に切り込みをいれたように現れた不思議空間に、思考を停止させた表情のままで押し込まれて、棒立ちしている。

 とりあえず挨拶を交わしてソファーを勧めてもまだ、呆けている。

「リーダー、先に説明してきてくれたんでしょう?」桃子さんが問う。

「はい。このキャビンのこと、ご家族、リオ、ププカの部屋を箱詰めした件まで、すべて事前説明は終わっています」

「そう、それでも、この反応なのね。しばらく時間を上げましょう。挨拶の名前なんて右から左だったでしょうね。お茶をいれるわ。柚子手伝って」

 桃子さんは客人を招いたホステスの役割を買って出てくれるようだ。


 いち早く正気を取り戻したのは、唯一の女性枢機卿のレンティだった。

「あ……わたくしもお手伝いさせてください。聖女様の御手を煩わせる訳には」

 レンティは人の良さそうなおばあちゃんだ。ちょっとぽっちゃりしていて和む系の人。『穏健派の女帝』と言われる人物だが、優しいのか怖いのか分かりにくい二つ名だと思う。

 僕らには優しいだけだし、余計にね。女帝要素見てみたい気もするけど……。


 女性陣が高性能の最新キッチンを得意気に披露している間に、手持ち無沙汰の男性陣には男風呂を案内することになった。

 スーパー銭湯を見て更に、脳みそを混乱させるかもしれないと言ったが、博さんが、

「こういうのは、ショック療法だよ。ドカーンと荒療治したほうがなじむのが早いってもんだ」と豪快に笑った。

 山本家はこの博さんと、桃子さんの豪放磊落コンビに、渉という爆弾と、柚子という魔王で成り立っている。よく考えると恐ろしい一家だ。


 そんなこんなで、落ち着いた枢機卿たち……というか、驚き疲れた彼らと席につき、改めて経緯説明をして、今日のこれからの打ち合わせを始める。

 その流れで、屋根から下ろされたププカの箱が、テーブルにデンっと置かれた。

「って訳で、ムカついたからこの中に部屋ごと入れて連れて来たって事。本人たちは何が起こっているかも、どこにいるかも分かっていないわ」

 柚子は堂々と、日本でやったらなかなかの犯罪になるであろう事実を話して、さらに続ける。

「今から蓋を開けるけど、こちらの姿はあちらには見えないし声も聞こえないわ。あちらの声は聞こえるようにしたわ。じゃあ、開けるわ」


 箱の中では、司祭とその部下3人が、祈りをささげていた。

 意外にも聖職者らしい態度だと感心していたが、よくよく聞くと、

「私は一切悪くありません。この部下たちが、もっと儲かる方法があると、そう言ったからです」

「神に背いて金儲けに走ったと思われたくはありません。清貧を旨として日々精進しておりました。教会施設をより多くのひとが使えるように増築するためだけにしたことです」

「司祭様がより儲かるようにしろとおっしゃったので、仕方なく……。私は古くて小さい教会でも……」

「貴族様がおこしになっても恥ずかしくない煌びやかな教会にせよと、できなければクビだと、そう言われて仕方なくやっただけです」

 祈っていたのではなく、それぞれ、神に言い訳と懺悔と告げ口をしているところだった。


 窓やドアを開けても、その外側が塞がっている状態なので逃げ場はない。色々なものでこじあけようとした跡がみられる。

 散々脱出を試みた後、これは神罰では?と想像して、今の状況になったのだろう。


「私は、神にこのような仕打ちをされるいわれはございません。部下のやりように問題があったのなら、部下の命だけお持ちください」

「な、な、なんということを。そもそも聖女様のお忍びを潰して自分の人気取りに利用しようとしたことが発端なのでは?」

「そうです。それに聖女様の悪い噂をでっちあげて流すなんて。どう考えてもやりすぎでした!」

「そんなことをするから、目をつけられて金の流れなんかを詳細に調べられて、今回の召喚状騒ぎになったのでは?」

「うるさいわね。神がププカは私にまかせると、そうおっしゃったの。だから、多少好きにやっても、ププカのことなら私の裁量なのよ!」


 皆の視線がカケル様に向かう。

「毎度毎度言うがのぉ、ワシは知らぬぞ。神もそのようなことは言わぬ。おおよそ夢でもみたのであろう」

「にいたま、いわぬの。ゆめなの」

 ……日本で裁判をするとしたら、まず精神鑑定が必要な案件なのかもしれない。


「聖職者が私欲に走った言い訳が神の存在だとは、重罪確定ですわね」

 ひっくい声が後ろから聞こえて、鳥肌が立った。

 じょ、女帝、きた~~!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ