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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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43/56

43.王都シュナーへ

 ***ピート***


 柚子様の考える魔法というものは、どれも奇抜で、強大だ。

 しかし、異世界旅行と称して団体様でいらっしゃった二家族を見ると、どの方々も奇抜という点で見れば同等だった。

 これは異世界人の性質なのだろうか。


 ププカ司祭の部屋ごと小さくして、箱の中に入れてしまうという考えも、常軌を逸している……。

 アイデアを出して、それを実行するまでのお兄様がたによる連携も凄まじい。何より恐ろしいのは魔法を使えない世界の人たちのはずなのに、柚子様がいかに魔力を節約して使用できるかまで考えて立案してくることだ。

 お兄様がたは二人とも19歳だが、まだ学生だと聞く。恐らく、国家的な学究の徒の一員なのだろう。


 ***寛太***


 柚子は、ププカ司祭を連行するアイデアを出した昨日から、僕が彼女と一緒にキャビンに居たくないだろうな、と、別々に移動する方法を考えてくれていたようだ。

 渉の元案をたたき台にしたらしい。部屋が小さくなったことによって生じる教会内の空洞も、きちんと岩で仮補強しているそうだ。

 兄ちゃんズはしっかり異世界を楽しんでいるようだ。

「あのアイデアは別に新しい物じゃないからなぁ。教室ごと異世界に送られる設定とか結構あるだろう?」

「なんなら学校ごと送られるのもあったよね。サバイバルして元の世界に帰るには条件が~みたいなやつ」

「そうそう、魔法ゲームでもそういう系があるんだけど、実際そんな大技はMPが足りなくて、使えなかったりするんだよ」

「あったね~。上限設定超えてくるムリゲー!MP節約しまくってトライしたのに無駄だったってクソゲー!」


 ……どうやらクソゲーの恨みをここで晴らしたようだ。


 そうして、王都に到着した。

 透明化キャビンのおかげで人目を気にしなくていいので、じっくり上空から王都を眺める。ヨーロッパの石畳の風情で、映える景色ではある。

「まあ、素敵じゃないの!大きいのね!ランドは小さかったし、ユドンもごちゃごちゃしてる感じだったし、こんな綺麗な街が異世界にあるとは思わなかったわ!」

 桃子さんは大興奮している。確かに大通りの両側に世界の有名ブランドの看板が並んでいても違和感がないかもしれない。

 だけれども、上から見ているから綺麗なだけで、実際は馬糞落ちてるからね……。都市部は残念ながら、馬糞の掃除が追い付かない程交通量が多くて、どうしてもばっちいのだ。

 それでも、掃除しようという認識があるだけマシだろう。中世ヨーロッパでは、下水道が出来るまで、上の階から人糞が降ってきたそうだから。


 大聖堂の中庭に着陸した。ピートがナルドを呼びに行ってくれる。キャビンを出て、振り返るピート。

【コンコンコン】とノックをしてきた。

「どうしたの?」

「出てしまうと全くキャビンが見えなくて、帰ってくるとき困ると思うのですが、地面に目印をつけてもいいですか?」

「それは、そうだな。設定された腕輪をもっている人にだけは、薄っすら認識できるとかにしよう!」

 キャビンの改良に、どこまでも盛り上がっていきそうな、渉を黙らせて、とりあえず今は暖炉の火かき棒をステップの下に置いてみた。

「あ、いいですね。良さそうです。それでは行ってきます」


 ピートが走り出すのが見える。

「寛太、いつもリーダーにこんなにお世話になっているなら、なにか手土産を持ってくるべきだったわねぇ。寛太はお礼ちゃんとしているの?」

「う~ん。基本は教会が護衛兵として雇っているからお給料が出ていると……思うよ。冒険者としての活動の儲けは三等分にしてる。まだEランクで微々たるものだけどね。僕は足手まといにしかなっていないから遠慮したんだけど、そんなこと言い出したら将来は柚子様が9割9分持っていくことになりますよってさ。今頃はププカのダンジョンに入って稼いでいる予定だったけど、それも出来なかったし……。確かに……何か貢物をしてもいいくらい迷惑をかけているかも」

「私達が帰る時に渡せるようにしましょう。何か欲しがっているものをこっそりリサーチしておいてね」

 母はサクッと、無理難題を言う。

 なぜ、本人に直接聞かないんだ?と不満顔をしていると、

「お世話になったお礼がしたい。何かプレゼントさせてください。異世界人なので送ると失礼なものがあっても分かりません。直接聞いちゃってごめんなさい。お母さんがこう言うだけで解決だよ。寛太に苦手なことさせないであげて」

 光太が助け舟を出してくれた。

「光太、あなたがそうやって甘やかすから寛太が引っ込み思案になるのよ。試練と思って、寛太にやらせなさい!」

「「……。」」

 僕を猫可愛がりする父や光太と違って、母は要所要所でスパルタだ。愛のムチだと分かっている。

 僕の頭をすかさず撫でに来た父と、それを真似するリオ。


「竹田家は平和よねぇ」と柚子の声が聞こえてきた。



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