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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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42.ププカへ

 ***寛太***


 透明化魔法。凄いね!って言ったものの、これを知らない人間に使われたらと思うとぞっとする。

 その点、この世界で使える可能性のあるメンバー、柚子、カケル様、リオの三人が味方であることに心の底から安堵する。


「透明化魔法っていうより、隠密魔法だよなぁ」

「日本でも出来たらスパイし放題だな!」

「馬鹿だな光太。これがあったって、赤外線センサーとかに引っかかるだろう?存在はあるんだから」

「でも、気配は消えてるんだろ?赤外線センサーvs気配無効魔法!どっちが勝つかな?」

 兄ちゃんズは楽しそうだ。


 翌朝早い時間に、ププカ入口付近に到着した。透明化キャビンで高速移動。快適すぎて怖い。

「町中を歩いて移動するのも面倒だし、このまま教会に乗り付けちゃいましょう!」

 そう言って柚子はキャビンを建物の高さより少し上程度キープして徐行運転させる。

「もうすっかり思いのままに動かせるね」

 僕は柚子の器用さを誉めた。

「そうね~。でもどんなに上手に運転しても、流石に教会の入り口にキャビンは入れられないわよねぇ。ギリ入るかしら。絶妙な車庫入れテクニックが必要かもしれないわ」

「いや、そこくらいは歩こうよ」

「お主らまだまだじゃのぅ。サイズ可変の魔法でキャビンごと小さくすればよかろうよ」

 カケル様が得意気に言う。

 言われると確かにそうだ。

 光太ちゃん。赤外線に戦いを挑まなくても、すり抜けられそうだよ……。もうなんでもありだな。


 そうして僕たちは、巨人の国に迷い込んだような不思議体験をすることになった。

 これにはみんなテンション爆上がりで、窓に張り付いて大興奮だ。

 ちなみに、現在の内装は、特別列車のビップ席な感じに調整してある。体育館のようなだだっ広いサイズの居住空間のままの移動では、みんなでお出掛けの雰囲気が出ないと柚子が作ったらしい。

 寝ないで何をやっていたかと思ったら、透明化だけではなく、いろいろと手を出していたようだ。


「いたわ!あそこのおばさんがププカ司祭よ。あいかわらずゴテゴテギラギラさせてるわね!」

 柚子の言葉で全員が左側に寄る。

「見えにくいわね。天井を全面ガラス張りにすればよかったわ。今からする?」

 なんて平和な相談をしていると、司祭の金切り声が響いて来た。


「何ですって!?召喚状が届いたの?全員に?今日すぐに大聖堂へ!?」

 ププカ司祭は通信中の鏡に、顔が当たる勢いで詰め寄った。


「そうなんです。金の流れの確認だという事ですが……。我々はどうすればいいでしょうか?」

「今から証拠を隠すといっても召喚状を持ってきた者が、そのまま張り付いています!」

「祈りの時間には邪魔だと言って、今だけ下がらせました。この時間で何とか策を考えなければ!」


「成金の一般人が聖職者の遣いの者を下がらせるって、どんだけ偉そうなんだか」

 鏡の向こうに見える、見るからに悪役って感じの分かりやすい人たちに向かって、ピートが思わずそう言った。

 それとほぼ同時に、

【バアァーーーーーン!!】


 鏡の向こう側で、大きな音をたてて扉が開いたようだ。

「私の教会で、なんて相談をしているんです!!勝手に遠距離通信まで使って、どこの誰と会話しているんです!?」

 そう声が聞こえた瞬間、ププカ司祭は通信を切った。


「なんてこと!あのバカどもが!賄賂でも何でも渡して、融通が利くようになってから、教会を使えってあれ程言っているのに!あれはどこの教会なの!?大聖堂に近いからって堅物のじじいのいる教会の鏡を使ったりしてないわよね?」

 ヤケになったのか、そこらにあるものを部下に投げつけ始める。

「使えない!どいつもこいつも使えないわね!」

「司祭様!鏡が割れては一大事ですから、どうか、物を投げるのは……」

 教会の権威付けの中でもかなり重要な遠距離通信の鏡。それが割れてはならぬと必死の部下。


「何か、見ちゃいけないものを見てる気がしてくるね。大人が、大人に物を投げつけられている瞬間って……」

 僕は、いたたまれず口を開いた。

「そうねぇ。めったに見られるものじゃないわよねぇ。今どきは、ほら、パワハラだなんだってうるさいものねぇ。昭和を感じるわぁ」

 母は暢気にもそう言いながら、ガン見している。昭和怖い。


「どうしようかしら、かんちゃん。どうみても悪役で、成敗まっしぐらな真っ黒さだから、私たちが手を出すのも今更な気がする。教皇のナルドさんに任せてもよさそうだけど?」

 確かに、しっぽをつかむ手伝いになればと、王都へ拉致しようとしてたけど、実際、しっぽは既に握られているっぽい。

「キャビンにあの人を乗せなくていいのなら、それは嬉しいかなぁ。でもとっとと方をつけるっていうのも目標だから、やっちゃおう」

「任せて!キャビンに乗せずに拉致するわ!」


 そう言って柚子は、司祭の部屋ごと小さくして、箱に入れて、キャビンの屋根に括り付けた。

 自分たちが小さくされたことも気づいていない。急に部屋の窓の外が暗くなり、不気味に揺れるにもかかわらず、窓も扉も開かないという地獄の数十分を体験するププカご一行。王都に着くころには大人しくなっているだろうか。


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