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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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4.僕の聖女は、みんなの魔王

 ***寛太***


 助け出された僕は、二日目にようやく目を覚ましたようだ。

「ユズ?ユズ!助けてくれたんだ!ユズ~~~!!」と言って泣いてしまった僕を、柚子も号泣しながら抱きしめかえしてくれた。

「かんちゃん。もう絶対に攫われないように、魔法、頑張るからね!守れなくてごめんね」と言った、柚子の言葉に、足を切り落とされたことを思い出した。

 心臓が凍るような気分をもう一度味わいながらも、意を決して布団の下の自分の足を確認した。


「???足、ある!?接着手術したの?」と驚く僕に、

「そんなとこ。魔法でくっつけてみた。どうかな?」

「くっつけてみたって、そんな適当な感じなの!?でも、動く!痛くもないし!」大喜びして立ち上がろうとしてみたが、目まいがしてベッドからは出られなった。貧血か体力不足か空腹か。いずれにせよ魔法で補えないものが足りていないようだ。

「それにしても凄いね。聖女チートなの?それともこの世界の魔法が使える人には誰でも出来るものなの?」

 大人しくベッドの住人になりながらも、興味津々で柚子に尋ねる。

 嫌な記憶をあえて避けるように、柚子の魔法の話を聞きたがった僕を柚子は少し悲しそうに見た後、気がまぎれるなら話し相手になろうと付き合ってくれた。


「治癒魔法が得意な人なら、簡単な傷なら治せるみたい。手応え的には、人体の仕組みが分かっていれば、それを閉じるとか、繋げるってイメージでなんとかなりそうかな。この世界の人も、外科手術のイメージが出来ればもっと高度な治療もできると思う。聖女チートは治癒魔法とか浄化魔法とか特定の魔法が使える系じゃなくて、【あらゆる魔法が使える】ってところみたい」

「あらゆる魔法?普通の人は、魔法は使えるか使えないかじゃなくて、火の属性の人は火の魔法が使えますってみたいに限定されているっこと?」

「そんな感じ、でももっともっと限定されてて、例えば、部屋の外にいる護衛兵の人は高速移動の魔法が得意魔法で、それ以外は魔法で火をつけるのも一苦労だから、普通にマッチでつけるって言ってたわ。ナルド教皇は拘束魔法ですって、かんちゃんの誘拐犯を拘束して、瘴気のなかにぶん投げたの。今じゃちょっとしたヒーローよ」

 何がどういう経緯でそうなったのか分からない僕はきょとんとしていたが、安静にしておくベッドの中では退屈しのぎにちょうどよかった。二人で子供の頃の夏休みのように、食べてはしゃべり、飲んではしゃべりを繰り返した。


 平静平常を装っていた僕だが、夜が来ると一人で寝るのが怖いのか体が震えだした。夕飯の時も、よく磨かれたギラリと光る銀のナイフは使えなかった。これからも影響は至る所に現れてくるのかもしれない。

 そんな僕をみて柚子は、ためらいもなく布団にもぐりこんできて、

「大丈夫。かんちゃん、ずっと一緒にいるから!」と抱きしめてくれた。

 妹であり、姉であり、友人であり、友達からは熟年夫婦とからかわれるような関係性の僕たちだが、遂に母親ポジションまで買って出てくれた柚子に感謝しかなかった。


 数日後、ロトは枢機卿を辞任。一族の後継者が選出されるまで蟄居。その後は流罪が確定した。とナルドに説明された。

 瘴気拡散については、幼馴染の切断された足が送り付けられるという陰惨な出来事があり、聖女様が昏倒したため、大聖堂の守りが崩れて引き起こされたという事になった。流石に聖女が【呪ってやる】って啖呵をきったとたん瘴気がまき散らされたとは言えまい。

「聖女っていうより、魔王だったんだね。僕は助けてもらったから魔王でも何でもいいけどね」と改めて感謝を伝えた。


 そうして、僕は大聖堂の修繕の様子を見に行ける程回復した。リハビリも兼ねて、いろいろな場所を柚子と一緒に散歩している。メンタルについては、まだまだかかりそうだが、それは仕方のないことだろうと、周りも承知して温かく見守ってくれている。


 僕の休憩の時間、柚子は魔法の訓練をしていた。

 皆が皆、自分の得意魔法を教えてくれてどんどん出来ることが増えている。好奇心旺盛な柚子は、オリジナル魔法を作りたいから、まずはひたすらインプットよ!と笑って言った。物騒なオリジナル魔法が出来上がりそうだなと思ったが言わぬが花が正解だろう。


 二人で大聖堂の脇を散歩している時、

【グギャギャ~~】と大きな音がした。見上げると、屋根の軒先で羽の生えた巨大なチーター?のような生き物が雄たけびを上げていた。


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