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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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35/57

35.特別な力の使い方

 ***寛太***


「あ~怖かった~!」

 思わず声が出た。


 へなちょこな姿勢で弓を扱っている両親をのんびり見学していたが、ちょうど良さそうな岩があったので、よじ登って腰掛けた瞬間だった。

 岩ごと下に落下してしまったのだ。声も出せず落下する途中で、ようやく僕の生存本能が働いた。

「岩、大きくなって!ストッパーになって~~!」

 サイズ可変の魔法を放つ。穴より大きい岩になれば、そこでこれ以上の落下は食い止められるはずだと思ったのだ。


 それによって、ちょうど開いていた横穴に転がり込んでしまったり、岩がものすごい勢いでストッパーになった衝撃で縦穴全体が崩れ、出口が閉ざされてしまったりは、運が悪いとしか言いようがない。

 ただ幸運なのは、結界のおかげで怪我がないことと、光太ちゃんが持ってきてくれたバッテリーで、僕のスマホがほぼ満タン状態だということだ。明かりがあるのはとてもいい。

 充電が無くなって久しいスマホだったが、カメラ機能が使いたいからとお土産にバッテリーをリクエストした僕、グッジョブだ。


「生き埋め状態かなぁ?まずいかなぁ?どれくらいで気づいてくれるかなぁ?ここは広いし酸素が無くなるってことはなさそうだけど……」

 自分で声を出しておいて、返事をするものがいない、その絶対的な孤独さに震えた。

 横穴は奥へと続いている。どこか別の入り口に通じているのかもしれないが、移動していいものかどうか。判断に迷う。

 地上では柚子たちが必死で探しているだろう。

「たすけてー!!」って聞こえないか。かなりの距離落下した挙句に入口付近が崩壊したなら声は上には響いて行かないだろう。

 奥へ行こう。じっとしていると、とにかく怖い。

 遭難した人が余計な体力を使って無謀に動くのは良くないという、うろ覚えの情報は頭の隅においやった。


 ***光太***


 せっかくの異世界家族旅行の初日、しかもまだ再会して数時間の弟が、またしても行方不明とは。

 この世界では聖女とあがめられる柚子にも行方が分からないと言われて、うろたえる。


 そんな中、僕らの事をじっと見ていた『超絶可愛い顔の天使』リオが何でもない事のように発言した。

「かんた、たすけて、いってる。したで」

「「!???」」

「下でじゃと?地面に埋まっておるのか!?」

「う~ん??あるいてる。した」

 指さすのは足元。地面の下を歩いているということは、

「地下道があるってこと?」

「あの子、なんでまたそんな所を歩いてるの?」

「電話してみて!」「ここ異世界だよ繋がらないよ」

 お通夜のような現場が一気に騒がしくなる。ギャーギャーと騒ぐ両親たちは置いておいて、僕はリオに向き合う。

「リオ君は寛太が助けてって言っているのが聞こえたの?」

「うん。わっち、かんたすき。いつでもだっこ。ほしいの。だから、めじるし」

「う~ん。目印を寛太につけているから連絡が取れるってことかな?寛太にどこにいるか聞いてくれる?」

「きく?かんた、だっこいつ?」

 一瞬の沈黙後、

「いますぐ。いいよって」

 そう言ったかと思うと、リオの姿が消えた。

「行ってしもうたのぅ……」カケル様の声だけが草原に響いた。


 ***寛太***


 いきなり耳元で、「かんた、だっこいつ?」と声が聞こえた。

 リオの声だ。ここから抜け出せるのなら「いますぐにでも!」と叫んだ。

 すると突然目の前にリオが降ってきた。突然のジャンピング抱っこによろめく。だが、人肌の温もりを感じた幸せに、踏ん張って、それからきつく抱きしめる。

「リオ、転移!?助けに来てくれたの!ありがとう!」


 そして、すぐに、遭難者が二人に増えただけということが確認された。

 それでも一人よりは断然いいけどね!リオの光魔法で見る洞窟は、スマホのライトで見る時と比べるとおどろおどろしさが半減だ。ホッとする。

「リオ、カケル様と連絡とれる?連絡とるだけだよ。リオは僕と一緒にここにいてね。僕を置いて転移しちゃダメだよ」

 一人になるリスクを避けたい僕はしつこく釘をさした。

「にいたま。めじるし、ないの。だめ?」

 悲しそうにするリオに、

「ダメじゃないよ。全然大丈夫。リオは、自分が目印を付けた人とだけ話せて、その人の所へ飛んでいけるって事であってる?」

「そうなの。わっち、とくべつ。あぶないのとき、かえれるのちからよ。ひとつだけ、あるの!」


 ………。危険な時に帰る用の、唯一の、貴重な目標設定を僕にしたようだ。その時点でリオは詰んでいるのだが……。

「そっか。僕にしちゃったか。僕は二人になれてうれしかったけど、これからどうしたものかなぁ」

「かんた。とくべつ。ピートいったの。かんた、さいきょう!だっこも、さいきょう!」

「そうだねぇ。リーダーからしたら、カケル様を肩に乗せて、ユズを適当に躱している僕が最強に見えるんだろうなぁ。抱っこも最強か~リオ~~~」

 名前を小さく叫びながら、金髪の巻き毛に顔をこすりつけた。可愛い。勘違いも可愛い。


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