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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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29/31

29.5ミリサイズ

 ***寛太***


 その後、いじけにいじけた渉をそのままにしておけなくて、幽体離脱実験をしたが、渉にも無理だった。しばし考えた後、渉は、

「魂の質量的な物が僕やおばさん達より光太の方が小さいのかもしれない」と言い出した。

「血のつながりでもなくて、僕たちが無理ならそう考える方が自然だと思わないか?」

「そうか?幽体離脱なんてオカルト系の話なら、素質があるかないかなんじゃないか?そもそも魂が小さいってなんか失礼な話だな」

 光太が言う。無茶な理論展開では群を抜く光太が、珍しく至極まっとうなことをのたまった。

「そんな訳ない。お前が行けて、俺が行けないなんてことはあっちゃだめなんだ。お前が行けるなら、俺もいけるんだ!」


「「「……」」」

 シーンと静まる一同を無視して、渉は続けた。

「寛太、鏡に触れていたら魔法が効くんだよね。僕をミリ単位に小さくしてよ。それくらい小さいなら幽体にならなくても鏡を通り抜ける質量になっているかもしれない」

「かんちゃん、それくらいならやってみてもいいんじゃない?」

「いや、僕はやめとくよ。僕のサイズ可変魔法は10分しか持たないから、通り抜けている最中に元のサイズに戻ってつっかえちゃうとかなったら怖いよ。ユズがやってあげて」


 ということで、渉を5ミリサイズに縮めた。

 入ってこれない。そりゃそうか、これで入ってこられたら今までも虫なんかが異世界を行ったり来たりしていたはずだ。

「でも、なんか行けそうな感触はあるのに!」

 鏡を叩きながら渉が叫ぶ。それでも耳を澄ましていないと聞こえない音量だ。5ミリサイズ人間、はかない。


「寛太、お前も小さくなって、こちら側から引っ張ってやったらどうじゃ?お主がこの世界とのパスなのじゃから、お主の干渉が必要なのやもしれぬぞ」

「しれにゅぞ!」

 カケルとおまけのリオの提案通りにやってみる。

 するとなんと、出来た。まさかの成功だ。


 元のサイズに戻って、涙の再会。

「柚子!!!」「渉兄、渉兄、渉兄だ!!!」

「とりあえず帰ってみてよ。帰れなかった不成功なんだよ」

「もう帰れなくてもいいよ!」

 僕の常識的な声は、抱き合う兄妹の耳からは入って出てしまったようだ。


「いいから、帰って!」

 僕は無理やり柚子から渉を引き離して、小さくする。あっという間に通り抜けられるようだし、10分魔法でも十分だろうと、僕が魔法をかける。

 柚子がせっかちね、と言う目で僕を見ながらため息をつく。あきらめたような顔をして、鏡に指で渉を押し付けた。が、帰れないようだ。

 緊張しながら僕が代わる。


 帰れた。良かった~。今度こそ成功と言っていいだろう。後は、どれくらいの時間異世界に居ても支障がないかかな?幽体離脱は明らかに長時間は無理だろうって分かるからすんなり帰ってくれているけれど、生身で行き来出来たら帰らなさそうな気がする。それでも大丈夫なのだろうか?


 鏡の前で柚子は、家族にも報告しようと、盛り上がっている。


「寛太、ちょっと話があるで、こちらへ」

 カケル様が僕を宿の外へ呼び出した。

「どうしたの?なんかヤバい感じ?神様?勝手に異世界を行き来して怒らせちゃったとか?」

「いやいや、そうではない、じゃが、鑑定をしてみたのじゃ、渉をの」

「渉兄ちゃんの鑑定?カケル様のフルバージョンでってこと」

「そうじゃ。渉は行き来した分、魂が欠けておった。元に戻るのに二週間ほどかかるとあった。転移は乱用出来ぬようじゃ。じゃが、それを言えば柚子が自分の鑑定には出ていないと気づくじゃろうて」

「カケル様とユズの鑑定は精密さが違うってバレちゃうのはまずいね。神様から神託されたって嘘ついたらダメかなぁ?お願いしてみてくれたりする?」

 神様!変なことばかりお願いしてごめんなさい!と、心の中で詫びながら提案してみた。

「我が神は寛大じゃて、問題なかろう。では、そう言う事で進めるでのぉ」


 集まった家族にカケル様が偽の神託を伝えると一同は、『魂が欠ける』というパワーワードに怯えながらも、二週間で元に戻るなら試してみたいと最終的には乗り気になっていた。

 そんな楽観的な家族に、カケル様は、魂が欠けている状態では、病に弱く、怪我も治りにくくなるので、決して楽観視していいものではないと釘をさしてくれた。優しい聖獣様だ。


 僕と柚子の両親達は、それならなおの事、年を取って体も気力も弱くなっては使えないだろうと、早めに一度やっておきたいと言ってくれた。

 僕が帰ってあげられたらいいんだけど、僕というパスが、ひっぱたり押したりするアクションが必要な現状、僕自身が単独で行き来するリスクは避けたい。

 それに、僕が元の世界に戻った瞬間、異世界とのパスが消滅して、柚子を一人取り残すなんていうのは一番避けるべきことだし。


 そうして、二週間後、僕たちの家族六人が、異世界に『異世界旅行』にやって来ることが決まった。

 折角なら、異世界っぽい場所に案内しようと、何もないランドの町は出る事にしたが、どこへ行くべきか。

 こういった事はピートにお任せになってしまうが……。


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