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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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17/32

17.ステータス オープン!

 ***寛太***


 渉を鏡通信で呼び出して、ゲームのステイタス画面を開いてもらう。そしてカケル様に見てもらう。

「どう?こんな感じで人や魔物を数値や文字で一覧できると便利でしょう?」

「ふむふむ、そうじゃのぉ。こやつは中ボスとあるぞ。自分で中ボスと名乗っておるのか?不思議じゃのぅ」

「いや、ゲームの中の難易度だから、そこは気にしないで。他を見て。スキルや弱点や色々書いてあって分かりやすいでしょう?」

「なるほどのぅ。渉、良いものを見せてもろうたな。感謝するぞ」

「はいはい、いつでもどうぞ~」と言って渉が消えていく。あの人は本当にいつでもゲームをしている。


「ワシが目に力を入れて見る時は、善なる心を持っておるかとか、体に異変が起きておらぬかとか、瘴気が濃くなっておらぬかとか、まあ、そういったぼんやりしたものであったが、あれほど言語化されて分かりやすい指標があるとおぬし等には便利なのじゃろうのう」

 必要です。人類には必要です!特に僕には!どうか、鑑定魔法を作って僕を鑑定して!

「でも、カケル様やり過ぎは禁物よ。個人情報は大事だわ!絶対に!」

 柚子は良い事を言った。確かに自分でも気づかない恋心なんかを表示されたらたまらない。


【気になる人:柚子】

 とか出たら?その画面をみんなでのぞき込んで読んでいる状況を想像してブルリと震えた。

「カケル様、やっぱり鑑定魔法はいいです。遠慮します。個人情報保護は人類に必要でした」と頭を下げた。

 カケル様は、自分がせずともこのような面白そうな魔法は柚子が自作するだろうと指摘してくる。

 うん。柚子はきっと大丈夫。個人情報保護は現代っ子の死活問題だから分かってくれる。

 ちょっと心配だけど……。


 そしてその夜、カケル様は

「できたぞ!」と叫んで俺の周りを飛び回った。小さな翼がピコピコ動いていて可愛らしいことこの上ないが、嫌な予感がする。

「もしかして、鑑定魔法できちゃいました?」

「そうじゃ、柚子が風呂からあがったらお披露目するかのお!」

「まって!まず、僕のステータスを僕にだけ見せて!お願い!」

 僕は必死に頼んだ。どこまでがセンシティブな個人情報かなんて、この子犬に分かるわけがない。絶対に見られたくない情報が載っていると確信のあった僕は、柚子が不在の今、魔法が完成したことを神に感謝した。


「そうか?一人で見るのか。皆、寛太の得意魔法に興味津々であったのに、独り占めかのぉ」

 カケル様はそう言うが、こればっかりは譲れない。


「ステータスオープン!」僕に向かってそう唱える。

 カケル様の前に透明の巨大ボードが表れているのを回りこんで見る。ぎっしり文字が並んでいる。

「ロゼッタストーンかよっ!嘘っ!生まれた時の日付や体重から載っているの?」

 度肝を抜く情報量だった。小学校の成績なんて可愛いもので、

【女の子に泣かされた時に柚子が「私のかんちゃんに何してくれてんの?性格ブスなのクラス中の男子にバラすわよ!」と庇ってくれた】

 なんてことまで網羅されている。そんなことまで書いてあるのだ、当然のように、

【寛太がずっと好きな(最近恋心に気づいた)女の子:柚子】とある。ご丁寧にカッコで注釈までついている。

「カケル様。ダメ。絶対。こういう人の感情面の事は個人情報なの、表に出すのは本人がそうしようと思った時だけなの。分かる?」

「ふむふむ、そうじゃったか。ここは人には見えぬようにしておこうのぅ」

 そう言って消してくれた。

 ありがとう。でも、自分では見られるようにしたままなんだね……。


 その他にもあきらかに要らない沢山の項目の削除を指示して、なんとか、常識の範囲のステータスボードが出来上がった。ホッとため息をつく。

 ちなみに僕の得意魔法は【サイズ変換魔法】だった。

 個人情報保護に懸命になっていたので、念願の得意魔法発見の感動が薄い。


「じゃあ、柚子がお風呂からあがったら、これをお披露目してね。僕も驚くふりをするから。いい?それで、柚子に鑑定魔法を教える時は、これを教えてよ。絶対にそれ以外の情報も手に入ることは教えちゃダメ!出来る?」

「まかせるがよい。ワシにも情けはある。おねしょのことは秘密じゃの」

「……。」

「好きな女子(おなご)のことも秘密じゃの。いつ恋心に気づいたのかも秘密じゃの」

「……。いつか、ポロって全部言っちゃいそうで不安しかない……」

「ふぉっふぉっふぉ。安心するがよかろう。聖獣に二言はないのじゃ!」

 日に日に子犬化している聖獣に胸を張られた。

 もはや楽しい事に一直線の幼子に、超巨大な魔力と魔法を装備させている気しかしない。


 ***柚子***


 お風呂上り、かんちゃんとピートと共に、カケル様の前に座らされた。

「カケル様どうしたの?改まって」

「うほっん。鑑定魔法じゃ!完成したので見せてやろうと思うてのお!」

「えぇ!もう作っちゃったの?かんちゃんに内緒で、カケル様と一緒にやろうと思って楽しみにしてたのに!!」

 私が抗議すると、カケル様は、

「すまぬ、すまぬ。渉に見せられたものが面白そうで、我慢できなんだ」

「柚子、こっそり作る気だったんだ」

 かんちゃんが非難の目を向けてくる。それは許して欲しい。有用な魔法のはずだ。敵が現れた時に弱点が分かるんだし。

 個人情報は……。自分の分は隠すつもりだったけど。かんちゃんの分は……。ごめんなさい。

「好奇心が悪いの!全ては好奇心のせいよ!今日から好奇心を捨て去るわ」

 極端な事を言って煙に巻く、渉兄直伝の手法をとると、かんちゃんは盛大に呆れた顔をしたが、許してくれた。


 そして、カケル様が

「ステータスオープン!」

 私に向かってそう唱えた。

「待って!みんな目をつむって!!!」

 この腐れ子犬!いきなり何すんのよ。私の秘密の情報を見られていたらギッタギッタにしてやるわ!

 二人が目をつむっているのを確認して、慌ててステータス画面を確認した。

【柚子:聖女:無属性魔法】【魔力量:1000】【視認可:オーラ・魔力】【予知:不定期】【守護し合う同盟者:聖獣・寛太】

 などなど、あたりさわりのない項目が並んでいるのを見て安心した。

 やれば出来る子犬だったわ!疑ってごめんね!

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