14.魔力の木の実
***寛太***
僕は、薬草図鑑を片手にチマチマと採取にいそしみながら、この世界の魔法の不思議を考えていた。
『魔法があって、便利な世界だと思ったけど、違うんだよなあ。ユズとカケル様は別格だけど……。魔法でお風呂に入るのにも水源の魔法を得意魔法として持っている人、熱魔法を持っている人、二人必要だし。治癒魔法と呼ばれている魔法はおそらく切れた物を繋ぐ接合魔法だと思う。血管とか筋肉とかの構造を知ればもっと有効に使えるだろうとユズも言っていた。当然毒には効かない。毒は解毒魔法を持っている人が別にいる。細分化され過ぎていて使いにくそうだ。聖女様の凄さが分かる。しかもユズは自力で新しい魔法を作っちゃうんだから』
はあ、と脱力する。自分のお荷物具合を感じないではいられなかった。
ここでは何の役にも立たない、『勉強が苦じゃない』が唯一のスキル?強み?とは情けない、と肩を落とした。
カケル様は僕の肩に飛びのって、
「一人で暗い事を考えとるんじゃあるまいのぉ」と図星を指してきた。
「僕ってさ、アニメに出てくるダメダメな主人公みたいだなぁって思って。その子には未来から来たロボットがついてて色々支援してくれるんだけど、それでもダメダメなんだ。僕がその子で、ユズが未来ロボ。さらにカケル様がいる。カケル様は、さしずめ未来ロボの妹かなぁ。これがまた出来の良いロボなんだよ」とこぼす。
柚子がそれを聞いて、すかさず
「かんちゃんって馬鹿よねぇ。彼は勉強は、からっきしだし、いじめっ子に仕返しする時のえげつなさも相当よ。全くかんちゃんと違うわよ」と、全否定してくれた。その後すぐに、
「運動神経に関しては似てるかも!」と言ってしまうあたりが柚子が柚子たるゆえんなのだろうか。
「しかし、寛太様は自分はダメだとおっしゃいますが、この世界で最強の人物だと思いますよ。カケル様と柚子様が絶対に守ると周りを固めているんですから。どこの権力者だって手に入れられない加護です。ね?最強の人物でしょう?」
「お姫様じゃないんだから、護りの量じゃなくて、中身で勝負したいもんなんだよ」とピートに抵抗してみたが、確かに垂涎の的ではあるかなと考え直す。
「かんちゃんにも魔力があれば、よかったのにねぇ?」
「魔力のぉ。この世界では、生まれた時に魔力量が決められてしまうからのぉ」とカケル様が言う。それに驚いたのが、以外にもこの世界の住人のピートであった。
「そうなんですか!?魔力持ちに関しては、訓練すれば魔力量は増えると、そう思っておりましたが!??」
「それは誤解じゃの。魔力量は決まっておる。成長して十全に使いこなせるようになると増えたように感じるのじゃろう」
「そんなものなのね。動いていない魔力を持っている人が多いのは使いこなせていないのね。ピートももっと頑張ればもう少し使えるわよ。動いていない魔力が三割ほどあるもの」と爆弾発言をしてピートを喜ばせていた。
「さ、さ、三割も!それはどうすれば!使えるようになるのでしょうか?」
「知らないわよ。私は見えるだけだもの。カケル様は知っているの?」
「ワシも知らぬ。持っているのに使えぬという者と親しくしたことがないでのぉ」
サクッと突き放すように言う。規格外コンビはパンピーの気持ちは分からないようだ。
がっくり項垂れるピートをよそに、カケル様も一つ爆弾を落とした。
「寛太。どこかに、【魔力の木】があるはずじゃて、見つけたらその木になった実を食べてみればよい。もしかしたら、異世界人でも魔力が手に入るやもしれぬぞ」
「「!!!?」」
「どういうこと?」
「そのままの意味じゃ。その実を食べれば魔力が体内にめぐるという木があるはずじゃ」
「そのようなことは、聞いたことがございませんが?どこにあるんですか?」
「まあ、魔力持ちが食べても変化はないからのぉ。知られておらぬのかもしれぬ。それに、一本の木に一つだけ実がなり、落果したら枯れるはずじゃ。次にどこに生えるかは誰にも分からぬ。神の気まぐれの木じゃて」
「レアアイテムなんだね。僕、運も悪いし、出会えなさそう」期待した分、ちょっとどころでなく、ガッカリだ。
「かんちゃん!大丈夫。私商店街のくじ引き当たったでしょ!運はあるわ!」と胸を張る柚子に、
「ユズ、別世界に生まれてしまって連れ戻されたっていう運の悪さを披露しておいて、胸張って言わないで」
「なによ!その事を運が悪いっていうなら、商店街のくじ引きくらいじゃ、マイナスとプラスが釣り合っていないわ。この先に乞うご期待よね!」
相変わらずの柚子節で嬉しそうにカケル様に聞いた。
「カケル様、魔力の木は、どんな木で、どんな実なの?それが分からなきゃ話にならないわ」
「う~む、どんなものじゃったかのぉ?丸っこい葉っぱじゃった気がするがのぉ。ちょいと神様に伺ってくるとしよう」と言って消えた。
「聖獣様という存在は、神様の御前に気軽に伺える存在なのですね!」
カケル様が消えた場所を見てピートが感激している。




