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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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13/32

13.結界魔法

 ***渉***


 その夜、柚子はどうしようもない苛立ちをもって通信をしてきた。

「そうだね、柚子の言いたいことは分かるよ。道理がどうこう言うのは神の視点だよ。不死者を作らないのと同じことだね。だからアプローチを変えればいいんだと思うよ」

 俺は、聖獣と意見が合わないという、現代日本ではありえない愚痴を聞かされたが、なんとか兄らしい威厳を保ちながらアドバイス出来そうだと内心ニンマリしながら柚子に話しかけた。

「アプローチ?」訝し気にこちらを睨む顔もハイパー可愛い妹だった。


「そう、柚子の『傷つかない』は、道理を曲げろってことじゃなく、結界のような魔法で守られれば良いだけってことだろ?」

 柚子はハッとして、大きく頷いた。

「理解出来た?そういうことだよ。ちょっとしたすれ違いだ。カケル様と仲直りしてね」

 前向きな思考に一気に振れた柚子の瞳がキラキラし始めた。

 そうそう、これこれ、我が妹はこうでなくてはならない。


 そして、ゲームオタクの本領を発揮してアドバイスをしまくった。実際の魔法に落とし込むのは苦労したが、二人で徹夜して、対物理、対魔法の結界魔法を作り上げた。疲れた。

 寛太を守るという一念においては右に出るものがいない、というか許さない柚子は疲れも見せず、ハイテンションで乗り切っていた。

 柚子、お兄ちゃんは二番手、永遠の二番手なんだね……。

『娘を嫁に出す父親の心境かよ』自分自身にベタに突っ込んだ。


 ***柚子***


 現状、強度的な完成度に納得がいかないまでも、『弱い魔物しかいない』というピートの言葉が本当ならば十分役には立つだろうと、朝一でかんちゃんの部屋を直撃した。


「かんちゃん!起きて!」枕元にいたカケ様ルも一緒に叩き起こしながら、叫ぶ。

「完成よ!渉兄と貫徹したけど、出来たわ!結界魔法よ!」徹夜のテンションについてこられず目を白黒させる二人。


 状況を説明されたカケル様は、

「ふむふむ、なるほど、傷つかない魔法というのは、言葉のあやであって、攻撃を自動で防ぐ盾魔法で良かったという訳じゃの」

「そう!そういうこと……って、盾魔法って既にあるの?私の徹夜っていったい……」脱力した。一気に疲れを見せた私に、かんちゃんは、


「ユズと渉兄ちゃんの結界魔法の方が絶対良いに決まっているよ。僕にそれをかけてくれるんだね?ずっとかけてたら魔力凄く必要になるんじゃないの?」

 空気が読めて、【柚子の操縦法を熟知している幼馴染】と名高いかんちゃんは、すかさず私を立ち直らせる言葉をかけてくる。

「かんちゃん!それは大丈夫!かんちゃんの腕輪に、ちょちょっと細工をして、危険が迫ってきたら、腕輪の魔力を使って結界を発動させる仕組みにしたわ。ただ、毒は防げないの。今まで通り私の浄化魔法がかかったものしか口にしちゃ駄目よ!」と、足と毒の一件以来自認している超過保護発言をためらいなく口にした。


 魔法が付与された腕輪を見て、カケル様は、

「柚子は凄いものを作ったのぉ。流石にこれほど複雑な複合魔法は聖女ならではであろうのぉ」と感心してくれた。

 実験として、まずは自分の腕輪に魔法をかけていたので、そちらも見せて、「こっちもそれなりの出来でしょう」と自慢した。


 朝食の席で会ったピートはあんぐりと口を開けたまましばらく現実逃避をしていた。

 盾魔法は、物理的な障壁を作り出せる魔法のようで、見えない透明な膜のような結界というものは概念すら無かったようだ。

 兎にも角にも準備万端で王都の門を出た。

「なんかちょっと緊張するね」と言うかんちゃんに、ピートさんが大人の微笑みで応えている。


 薬草採取をしている間、カケル様が結界魔法の仕組みを聞いてくるので説明したら、すぐに会得した。流石聖獣だ。

「長く生きておっても、まだまだ不思議や驚きに出会うものよのぉ。いや、うれしや、うれしや」と幸せそうにしていた。

 子犬がキャンキャンいいながらはしゃぐ姿は可愛いしかない。本人に言うと、威厳が損なわれたと反省して、威厳を出そうと胸をそらすが、しっぽがピコピコ揺れていた。それもまた可愛い、が言わないでおいた。可愛いが減るのは惜しい。

 みんな結界があるのにピートだけ仲間外れなのはどうかなと思いいたって、かんちゃんの側で採取していたピートの腕輪にもちょちょっと魔法をかけた。

 ピートは驚いた後、自分の腕輪にもこのような素晴らしい魔法を付与していただけるとは、と泣いていた。

「腕輪はいつも通り普通に魔力を注いでね」そう言わたピートは、大した魔力量ではないから使えないかもしれないと、残念そうな顔をした。

 だが、ピートの自前の魔力でも結界魔法が発動できるはずだと伝えると早速やってみている。

「私程度の魔力量でも、これ程の魔法を維持できるとは……なんということか」

「省エネよ。極力無駄は省かなくちゃね」

「莫大な魔力量を誇る今代の聖女様が、それを言う不思議に目まいがしそうです。天才です」と呟くピートだった。


 簡単に、渉のアイデアの危険察知、危機回避、瞬時作動、鉄壁守護、などをちまちま積み上げた結果だと教えたが、複数の得意魔法を使えるものが聖女以外に居ない以上、説明されても凄さが際立つだけだったようで、ピートはひれ伏しそうな様子だった。

 だがそれも、隣で、「ワシも出来るようになったぞ、見てみよ!」と得意そうに結界魔法を展開するカケル様をみて霧散したようだ。

 このメンバーで、いちいち驚いていてはこの先しんどいと気づいたようだ。噂に名高いチベットスナギツネ顔を浮かべながら、こっそりため息をつくピートを見て、

『ピートは、なかなか空気が読める。いいパーティーメンバーをゲットできたものだ』と、ニシシシ心の中で喜んでいるのは内緒である。



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